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#読書
人生、やり切った感ありすぎ。『まるごとインドな男と結婚したら』鈴木成子
タイトルからすると、今風の若くて強い女性が、インド人の彼と結婚してドタバタ、でもほんわかな『中国嫁』のインド版みたいなのを想像してたら、全然違いました。かなりハードモードです。
著者の鈴木さんは私より20歳以上年上。海外旅行が手軽になる以前に青春を迎えたはず。それなのに、旅行先で知り合ったインド人の彼と一年後に結婚。旦那さんは就職しておらず、鈴木さんは英語しかできない。でも、すぐに子供ができて、
で、なんで待ってるのかわかりまてん!『ゴドーを待ちながら』(サミュエル・ベケット)
TBSラジオ、ライムスター宇多丸さんのムービーウォッチメン「桐島、部会やめるってよ」の映画評。
たしか「シンボルとなる人物が劇中の最後まで登場しない」という共通点で本作がかるく紹介されていて、ずっと気になっていました。
不条理演劇の代名詞にして最高傑作。デュシャンの泉のようなメインに対するカウンター的存在が、いつの間にか演劇史のなかでどっしりと鎮座している、そんな印象。
本書の解説にある通り
現代の寺田寅彦による科学読本!『波紋と螺旋とフィボナッチ』(近藤滋)
星の動きなど宇宙の出来事を数式で記述する学問が物理学。そして、生物の形態や模様を数理モデルで記述するのが理論生物学。著者は生物の方の第一人者。
著者は「現代の寺田寅彦」と称される。タイトルにある通り、生物にまつわる事柄を、数学的目線とボケを入れながら柔らかく語ってゆきます。
自然界に存在している生物の多種多様な模様を目にすると、その複雑さに思わず「神様の創造」を信じたくなったりしませんか?それ
解釈しがいのある古典!『デミアン』(ヘルマン・ヘッセ)
ジェームズ・キャメロンは「12歳の子供とスタンフォードの45歳の英文学教授が楽しめる、二つのレベルでうまくいく映画をつくろうときめた」と言った。『教養の書』に登場する、あるエピソード。
ハリウッド映画における古典の引用を散りばめたような作品とはちがうけれど、表面には見えない作者の深層心理や想いを発見し、それらを解釈する喜びは『デミアン』にも共通しそうです。
話の大筋は複雑ではありません。少年時
書評 読んだふりしたけどぶっちゃけよく分からんあの名作小説を面白く読む方法 三宅香帆 本を読む楽しみを倍化させる。三宅式の読書術が示されていた。総論より各論の方が楽しい。
本書の目的は、小説を面白く読むための方法を示すことだ。
大雑把に説明するとmetaphor。つまり、比喩に注目する。
この話しは何を言おうとしているかを読み取ることが大切だと述べている。
第一部は、小説の読み方をレクチャーしているのだが、それよりも第二部の各論。
実際に名作を例にとり、どの部分に着目し読むと楽しいかの具体例が良かった。
芥川と川端のところが、とくに秀逸で読みながら何度も「そ
大聖堂の描き方(短編の名手レイモンド・カーヴァー)
Raymond Clevie Carver Jr.
自分の読書が長編中心なのは作者の世界観をじっくり味わいたいからで、短編だと、世界観を理解したぐらいで終わってしまうのが寂しかったりします。
だから、短編しか書かないレイモンド・カーヴァーみたいな作家さんは、自分にとって、苦手ではないけれど没入できるほどには読み込めない作家だと思っていました。
カーヴァーは、村上春樹さんがその著作の全
読書紹介 ファンタジー 編Part7 『ねずみの騎士デスペローの物語』
どうも、こぞるです。
本日ご紹介するのは、2004年にニューベリー賞という、世界的な児童文学賞を受賞したケイト・ディカミロ作『ねずみの騎士デスペローの物語』です。
素敵な装丁の本だなあと思い手に取ったのですが、大正解でした。
作品内容
人間の姫に恋をして、ハツカネズミ社会を追放された小さなネズミ、デスペロー。地下牢の暗やみでくらし、光にあこがれとにくしみをいだくドブネズミ。
いつか自分が
時間旅行者たちの系譜(コニー・ウィリスの史学生シリーズ)
Time travelers
今夏の課題図書としていた、コニー・ウィリスの時間旅行SF『ブラックアウト』と『オールクリア』の読了を記念して "note" したいと思います。
時間旅行と聞いて、ちょっとトキメク感じがするのは、自分が映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」にハマった世代だからですかね....。
今回読んだ『ブラックアウト』と『オールクリア』は、H・G・ウェルズの『タイム・マ
読むと元気が出る手紙集。『まことに残念ですが・・・不朽の名作への「不採用通知」160選』アンドレ・バーナード
これは無名だったパール・バックが、『大地』の原稿を見せた出版社から受け取った不採用通知。信じられないけれど、本当だとか。あの壮大な物語が、こんなきつい一言でボツとは信じられない。数年後にノーベル文学賞を受賞した作品が、ほぼ読まれもせずボツ。ああ……
他にも、この本には文学史の教科書に出てくるような『白鯨』や、誰もが知っている『アンネの日記』、映画化された『チャタレイ夫人の恋人』や『宇宙戦争』、の