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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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#デフォルト

 "チャイナプレミアム" の出現と中国の苦況

"チャイナプレミアム" の出現と中国の苦況

 かつて日本のバブル崩壊後 "ジャパンプレミアム” という現象が起きた。筆者は英銀に転職した後だったので邦銀にドルを貸す立場になったが、社内でも邦銀向けのエクスポージャー(貸出資産)を厳格に管理する方向に転換。特に無担保でドルなどを貸し出す資金枠は厳しくなり、奇しくもグローバル管理を任される立場になった

 最悪期で "ジャパンプレミアム” は@LIBOR+100~200BPにも及び、特に地銀など

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溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...

溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...

 2023年、シリコンバレー銀行(SVB)やシグチャー銀行を吹き飛ばした米国債の "暴風雨” 。早期「利下げ」騒ぎで「逆イールド」を形成したが今や完全に行き詰まり。相場のダイナミズムを失っている。大やられした米銀もFRBの監視の目が厳しくなり米国債の "器" は一杯。商売あがったりである

 低調な米国債市場と歩調を合わせるように、相場を牽引してきたナスダックや ”マグニフィセント7” も上が詰ま

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「インフレ」は人を駆り立てる。

「インフレ」は人を駆り立てる。

 正直目を疑った。パレスチナから5,000発ものミサイルがイスラエルに撃ち込まれ「戦争状態」に陥ったという。「行って欲しくない方に動く」相場の原理Ⅲ。ー 「インフレ」はまだまだ続く。|損切丸 (note.com) なんて投稿した直後だったが、最も ”行って欲しくない方” である。

 こういうのを見るとやれ「円安」とかウォール街のボーナスとかは「金持ちの戯れ言」に過ぎないと思い知る。 ”首” とか

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「デフレ」の沼に落ちた中国。

「デフレ」の沼に落ちた中国。

 遂にCPIがマイナス圏に突入して「デフレ」の沼に落ちた中国。不良債権問題の深刻さが徐々に明らかになってきた。

 恒大集団(エバーグランデ・グループ)の債務総額は約2.4兆元 ≓ 47兆円と伝えられ、債務超過に転落。投資銀行と不動産会社の違いはあれど、破綻したリーマンブラザーズの負債総額が約64兆円。日本でもそうだが保有不動産を競売で「損切り」すれば「半値八掛け二割引」で評価額の3分の1になるの

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質の悪い相場。ー ”買っては投げ、売っては踏み...” の繰り返し。

質の悪い相場。ー ”買っては投げ、売っては踏み...” の繰り返し。

 「何じゃこりゃ...。」

 最近ビットコイン(BTC)の相場を見ていて正直な感想。2023年初来で見ると確かに+70%を上回る "大暴騰" なのだが、その過程で▼8%も急落した翌日、翌々日には+6%、+3%と急反発。ポジションを保有していない「損切丸」でさえ何か愚弄されている気分なのに、短期売買のトレーダーは ”買っては投げ、売っては踏み...。” の繰り返しになっている可能性が高い。

 長

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続・世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)と「インフレ」という禁断症状の苦しみ。

続・世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)と「インフレ」という禁断症状の苦しみ。

 2022.10.5. 世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)は並大抵ではない。|損切丸|note からの続編。

 マーケットが藻掻いている。前編では英ポンドの異変でMPC(英中銀金融政策決定会合)で決定していた国債▼800億ポンド売却≓▼12兆円「資金吸収」 → 緊急買入≓+20兆円「過剰流動性」投入への急旋回で、英国債をはじめとした国債金利の急低下、株価の急反発が起きた。

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3京円もの「大借金」のツケは一体誰が払うのか?。ー 急浮上した銀行の「信用問題」。

3京円もの「大借金」のツケは一体誰が払うのか?。ー 急浮上した銀行の「信用問題」。

 まずは出たばかりの米雇用統計。時間当り賃金は上昇しているものの、失業率は上昇、NFPの増加数は前月から減っているし3/22FOMCでの+0.50%「利上げ」観測は後退している。

 それよりも急浮上したのが*銀行の「信用問題」だ。カリフォルニアに拠点を置くシリコンバレー銀行(SVB)が国の管理下に入り実質破綻。一気に「信用不安」が拡大している。元々「高金利」を謳い文句に預金を掻き集めていたようだ

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「ドル高問題」再び。ー 「ドル建債務」が重くのし掛かる。

「ドル高問題」再び。ー 「ドル建債務」が重くのし掛かる。

 FRBが重視している個人消費支出価格指数(PCE)だが、もろに 米CPIの ”反転リスク” Ⅲ。ー 金融政策効果の ”タイムラグ” をどう読むか。|損切丸|note が裏目に出てしまった。いかに物価指標が遅効性でタイムラグがあるとはいえ、少なくとも「利下げ」を論じられる状況ではない。

 これを受けて米国債は売り込まれ、年内「利下げ」はほぼ消滅。政策金利 > 2年米国債の「逆イールド」も3ヶ月振

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「お金」も「信用」も失う時は一瞬。ー 「危機」は突然やってくる。

「お金」も「信用」も失う時は一瞬。ー 「危機」は突然やってくる。

 「あ~、俺何やってんだろうなぁ…」

 これはFXや株をやってる人は実感できると思うが、儲かっている時はトレーディングほど良い仕事はない。結果さえ出せば時間的拘束もないし「自由」を満喫できる。筆者も若気の至りなのだが、とかく20代は ”全能感” があり、相場の読みがピタリと当ると自力で何でもできる気になってしまう。

 だが世の中そんなに甘くない。「危機」は突然やってくる。

 ポンド危機で筆者

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米CPIと新興国の「通貨切下げ」。ー 「利下げ」幻想の消滅がもたらすもの。

米CPIと新興国の「通貨切下げ」。ー 「利下げ」幻想の消滅がもたらすもの。

 FRBの「利上げ」局面では恒例だが、「ドル高」で自国通貨が「切り下げ」になってデフォルト危機に瀕する新興国が急増する。既に ↑ 3カ国が「通貨切下げ」を実施したが、まだまだ続きそうな不穏な気配。ドルで多額の「借金」をしている国がほとんどで「ドル高」は負担を重くする。

 年初まではFRBによる「早期利下げ」期待で「逆イールド」が形成され、ほっと一息ついていたのも束の間。ドル金利の反騰でまたも「通

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聞こえてきた「資金繰り」の "悲鳴" 。ー もう "お金” や "銀行" が「真ん中」ではない。

聞こえてきた「資金繰り」の "悲鳴" 。ー もう "お金” や "銀行" が「真ん中」ではない。

  アメリカの*FF市場での取引が急増している。QE(量的緩和)の影響で1,000億ドル以下に減っていたが、QT(量的引締)、「利上げ」により銀行の「資金繰り」がタイト化。直近の取引高が急増し1,200億ドル(≓15.6兆円)を超えている( ↑ 標題グラフ)。

 FF市場の主な貸し手はFHLB(連邦住宅貸付銀行)。「利上げ」による金利上昇で余剰資金を同市場に積極的に振向けている。一方借り手側は国

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"変化しない時代" の終焉と「金利変動リスク」- 鍵は「コスト」「資金繰り」。

"変化しない時代" の終焉と「金利変動リスク」- 鍵は「コスト」「資金繰り」。

 ドル円が▼10円以上暴落するきっかけになった日銀の決定は市場を揺るがしたが、たった+0.25%でなぜこんなに動いたのだろうか。対になるFRBの「利上げ」はもう+4%以上に達しているのに、である。

 これは取りも直さずマーケットが「将来価値」を取引しているから。ドル金利のように「利上げ」を十分に織り込んでいればそれは既に ”終わった事実” であり取引材料にならない。対照的に全く予想外の日銀のアク

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立ちはだかる「金利の壁」。- 世界経済は何%まで耐えられるのか。

立ちはだかる「金利の壁」。- 世界経済は何%まで耐えられるのか。

 バタバタと売買いが繰り返される中、気が付くと結構国債の金利が上がっている。ドイツは@2.5%を超え、フランスが@3%台、スイスも@1.5%、かつての「高金利国」イタリア、ギリシャ、オーストラリアも@4%台。

 その割には堅調さを保っている株式市場だが、「金利」「インフレ」が強力なライバルとして急浮上する中、単に値が上がればいいと言う訳でもない。ファンドは「金利」やCPI、e.g., アメリカ@

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粘着質なアメリカ経済の「需要」「インフレ」 vs 「ゼロ金利」の泥沼にはまり込む中国。

粘着質なアメリカ経済の「需要」「インフレ」 vs 「ゼロ金利」の泥沼にはまり込む中国。

 昨日(12/23)のPCE、新築一戸建て住宅販売 ↑ を見て、いつものことながら改めてアメリカ経済の「需要」と「インフレ」の根強さを痛感させられる。PCEは確かに低下傾向だが、それでもまだ@+5%台。物価連動債(TIPS)が示すBEI(予想物価率)の+2.2~2.3%には程遠い。

 住宅市場も30年ローン金利が@7%を割っただけで息を吹き返すのだから、前稿 日本人にとっての「最適投資」2023

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