質の悪い相場。ー ”買っては投げ、売っては踏み...” の繰り返し。
「何じゃこりゃ...。」
最近ビットコイン(BTC)の相場を見ていて正直な感想。2023年初来で見ると確かに+70%を上回る "大暴騰" なのだが、その過程で▼8%も急落した翌日、翌々日には+6%、+3%と急反発。ポジションを保有していない「損切丸」でさえ何か愚弄されている気分なのに、短期売買のトレーダーは ”買っては投げ、売っては踏み...。” の繰り返しになっている可能性が高い。
長期でBTCを保有している人でも2021年に@60,000万ドル台を見た後で2021年末には@16,000ドル台に急落。一時@30,000ドル台まで回復したが、それでもまだまだ納得はいっていないはず。この2年では未だ▼40%のマイナスだし、@10,000ドル以下で買えていた投資家も ”売りそびれた” 。
この思いは例えば " .com 企業" の株を買っていた投資家も同じ。回復したといってもナスダック指数は2021年末比でまだ▼24%近い ”損” だし、銘柄によってはもっと酷いことになっている、e.g., テスラ 1年間▼47% ↓ 。拘りすぎて失敗したファンドもたくさんある。
この酷い状況は、実は米国債など金利市場も同様。FRBの「利上げ」を読み間違えて長期米国債に早過ぎるタイミングで投資してしまい破綻したシリコンバレー銀行(SVB)が筆頭格だが、せっかく売り(=金利上昇)で上手く入ったのに、今度は*米地銀の経営不安で怒濤のショートカバーで大損をこいたファンドも多数ある。
2019年までの相場のように「過剰流動性」が主導した「売りっ放し」「買いっ放し」の ”ガチホ” はもう通用しない。特に今のようにどこでデフォルト=倒産・破綻が起きるかわからない時代には適さない投資戦術だ。
これは ”原油減産” を言いがかりに@81ドル台まで上げておいて、知らぬ間に@74ドル台まで下げているWTI(NY原油先物)もそう。こういうボールドマーケット(Bold Markets、規模が小さく市場流動性の低い市場)では少数の大手参加者が意図的に相場を振り回すため、あまり "理屈" に拘るとドツボにはまる。特に今のように「お金持ち」まで振り回されている状況では注意が必要だ。
筆者も30年近く投資銀行に従事したが、5~6年に1回、こういう「質の悪い相場」がやって来る。サイクルは外資系の「首切り」と連動しており、生き残りを賭けた「潰し合い」が繰り広げられる。だからマーケットでも必死に「損してくれる人」を探す。ニューカマー(New Comer、新規参入者)などは恰好の餌食である。
「お前、今日大分損したらしいな」
前に聞いた話だが、競争の厳しい米系の投資銀行では、例えば**ドル円のトレーダーを3人配置して、半年毎に成績の一番悪いトレーダーの首を切るという。そうなると ↑ のように損したトレーダーを貶めるような言葉を浴びせかけ、調子を落とそうと画策する輩も出て来る。今もそこまで厳しいかどうかは不明だが、逆に現在の状況だと「3人のうち1人」のような甘い措置ではなく、収益を上げられなかったトレーダーは全員「首」になる。
まあしかし理不尽な相場にイライラしてばかりでも始まらない。きちんと「インフレ」が収まるまでは金利相場も安定しないし、じっくり取り組む他ない。中途半端にボラティリティー(市場変動)があるため儲かりそうには見えるが、これは一種の "罠" 。特にボールドマーケットでは彼らの餌にされないよう気を付けるしかない。
そうでないとSVBのように慌てて長期債に手を出して「金利」に殺される様な事になりかねない。これはFXでもコモディティ(商品市場)でも然り。「休むも相場」ではないが、少なくとも自分が納得がいくまで待つのも相場のうち。「勝負」に行くのはもう少し ”道筋” が見えてきてからで遅くない。チャンスは必ず訪れる。
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