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本や映画のおはなし

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大好きな本や映画、作品にまつわる「人」のお話。
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#映画

辻仁成とコン•ジヨン。日韓作家のコラボ小説が生まれるまで

辻仁成とコン•ジヨン。日韓作家のコラボ小説が生まれるまで

ポッドキャスト第32話を配信しました。今回は以前noteに書いたお話のつづき、日韓の作家が共同執筆した小説『愛のあとにくるもの』がなぜ誕生したのか?その裏側がよくわかる辻仁成さんのエッセイや、関連映画•本をご紹介するとともに、韓国の女性作家、コン•ジヨンさんとはどんな方なのか?などについてお話ししてみました。

2月6日付けの辻仁成さんの滞仏日記によると、ついにソウルでドラマの撮影が始まったようで

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ついにドラマ化確定。辻仁成、コン・ジヨン著『愛のあとにくるもの』

ついにドラマ化確定。辻仁成、コン・ジヨン著『愛のあとにくるもの』

 実は昔から定期的に読み返したくなる本や、見返したくなるドラマや映画があるんですが、その中の1つが1999年に初版が発行された辻仁成・江國香織共著の小説『冷静と情熱のあいだ』です。断捨離ブームに乗っかって一度手放したこともありましたが、やっぱりまた読みたくなり、数年前の一時帰国中に買い求めました。

 今から5年前、まだ息子が生まれて2か月の頃も、映画『冷静と情熱のあいだ』を見返したくなったことが

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韓国と縁深い役者たち ~上野樹里、三浦春馬〜

韓国と縁深い役者たち ~上野樹里、三浦春馬〜

 7月7日の七夕になると、毎年思い出す大切な映画があります。それは、亡き佐々部清監督の作品『チルソクの夏』(2004年公開)。

1970年代の山口県下関市と韓国・釜山を舞台に、関釜陸上競技大会を通して出会った日韓の高校生の淡い恋や友情が描かれています。

▲映画『チルソクの夏』予告編。(予告編を見ただけで泣けてくる)

 この映画に出演していた上野樹里さんは2006年、ドラマ『のだめカンタービレ

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続ける勇気がわいてくる。韓国映画『不思議の国の数学者』

続ける勇気がわいてくる。韓国映画『不思議の国の数学者』

 20~30代半ばまでは、映画館で映画を観ることが大好きでした。大学時代の後半を過ごした札幌では講義をさぼったり、さぼらなかったりしながら、「シアターキノ」や、今はなき名画座「蠍座」によく通ったものです。

 関西に戻ってからは、神戸の「元町映画館」や「シネリーブル神戸」に足繁く通ったり、神戸100年映画祭で過去の貴重な名作を大スクリーンで鑑賞したり。大阪の「シアターセブン」「シネリーブル梅田」「

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映画『アジアの天使』が導いてくれた出会い

映画『アジアの天使』が導いてくれた出会い

 札幌で過ごした学生時代から、韓国に移住するまでの十数年。私の趣味は「映画館で映画を観ること」だった。ところが、韓国で妊娠・出産・育児を経験してきたこの4年。映画館にはたった3回しか足を運ぶことができなかった。

 最後に出かけたのは2年前だ。当時1歳になったばかりの息子を産後初めて夫に任せ、一人で韓国映画『82年生まれ、キム・ジヨン』を観に行った。

 物語の中盤、私の目から涙がこぼれ落ちそうに

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『魔女の宅急便』のキキが双子の母になっていた

『魔女の宅急便』のキキが双子の母になっていた

 子育てをしていると、すっかり忘れていたはずの子どもの頃の気持ちが、ふと蘇ってくることがある。

 例えば、木からポトンとドングリが落ちてきた時。そのドングリを1つずつ集めている時。落ちている枝を拾い、砂に絵を描く時。ナツメを収穫し、籠にポイっと放り投げる時。

 そうやって夢中になっている息子の背中に、幼い頃の自分を重ねながら、一緒になってワクワクしていると、ハッとする瞬間があるのだ。私は今日ま

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