マガジンのカバー画像

アメリカ渡航日記/母の癌の諸々や体験/ノンフィクション

19
12月24日、外国に住む母の癌を知りました。 約90日の滞在記です。更新1〜3日間隔で現在連載中。
運営しているクリエイター

記事一覧

[勉強]壺を買った話[人生で一番いらないもの]

[勉強]壺を買った話[人生で一番いらないもの]

ご挨拶こんばんは。ホローです。アメリカからお送りしています。もう少しで帰ります^^

この度、母が息を引き取りまして【悲しみに暮れている一人の男スタイル】で日々を過ごしていたわけですが、とはいえ現実的に何もしないというわけにもいかないので葬儀屋に行ってきたわけです。ネガティブな記事ではありません。

で、遺体の処理の方法や、最後の衣装、その他諸々の事柄を決めてきたわけなのですが、そこで壺を買いまし

もっとみる

[2/17]母が死んだ日

2月17日 AM7:40
母が息を引き取りました。
最後のひと呼吸で終わり。
スッっと息をして終わりました。

[感情]
言葉にならない部分が多い。
何を言っても陳腐に思えるし、口を開く必要もなかったりで口数は少ない。
猫の声がうるさい。
破壊的な衝動を胸、みぞおちの上に感じる。
死体は物だし、塵は塵へという考え。魂が抜けて母はどこかに行った。
幽霊とかを信じることもない。
息苦しい。物理的に息が

もっとみる
【企画】余命1〜2日の母にブーツが届いた

【企画】余命1〜2日の母にブーツが届いた

ご挨拶こんにちは。もうそろそろ母も死にそうです。
おかげさまでまだ生きていますが、会話も出来るような状態じゃなく、時折悲鳴にも似た声を出すので、その度にビクビクと反応している毎日です。
ここ最近の母は、ベッドの上で毎日を過ごしており、酸素チューブを鼻に繋いでいます。
パッと見はザクかターンAガンダムか、といったところで、美意識の高い母は我慢ならないと思いますが拒否することも無いのでそのまま受け入れ

もっとみる
母の命の灯はプラスチックチューブと可動式ベッドによって支えられている

母の命の灯はプラスチックチューブと可動式ベッドによって支えられている

ご挨拶どうも。ホローです。
母の体調が悪いと聞き、ぼくがアメリカに来てから1ヶ月ほどが経ちました。
当初は毎日の日記のようにしようと思っていたのですが、あまり書くこともないし、備忘録のようになり、他のこともちらほら書いたりして、そんなことをしながら、なんと8週間の連続更新だそうです。noteに褒められて嫌な気はしないですよね。素直に嬉しいです。
とはいえ、母の病状のことなんてあんまり書きたくないわ

もっとみる
【人を変える方法】がん患者にできる、たった一つの冴えたやり方

【人を変える方法】がん患者にできる、たった一つの冴えたやり方

最近、母の元気がない。どうしたもんかな。

分析と考察もちろん癌なので体調は常時、良いとは言えず、一日中寝てばかりのときもある。
そして食欲もない、というよりかは喉が細くなってしまい、食べ物を飲み込みづらくなっているので満足に食べることが困難、といったほうが正しい。飲み込むためには、必然的に咀嚼回数を増やす必要があり、そのせいで満腹中枢が刺激され、結果量を取ることが困難になる。

ダイエットには良

もっとみる
【アメリカひきこもり録】ここ最近で一番頭が痛い日【1月25日】

【アメリカひきこもり録】ここ最近で一番頭が痛い日【1月25日】

1月25日
今日はひたすらに頭が痛い。 自分のやりたいことだったりとか、やらなければいけないことに脳が圧迫されている感覚がある。
こういったモラトリアムに頭が支配されるのは、小さい頃からの僕の癖と言うか、いわば性質なのだろうと思う。 常に頭の中でぐるぐるぐるぐると、明日には忘れてしまうようなことが流れ続けている。
あくる日になれば「あの時の感覚は何だったのだろうか」と、大抵はそう思う。
そう思うの

もっとみる
【癌と笑顔】母親の嫌なところ【1月20日】

【癌と笑顔】母親の嫌なところ【1月20日】

はじめにアメリカに来て4週間くらいが経った。初めはドタバタしたし、色々とショックなこともあって心の均衡というか、なかなか冷静でいられなかったのだけれど最近は収まってきた。
典型的な病人(失礼な表現かもしれないけど、鼻からチューブとか、寝たきりとか)のイメージと違って、母は割と元気に見える。昨日はショッピングモールに行ったし、自分で歩いたりも出来る。おしゃれだってする。
ただ、やっぱり薬の効能とか、

もっとみる
【アメリカ渡航】母の旦那さんの話【1月16日】

【アメリカ渡航】母の旦那さんの話【1月16日】

ここ最近母の体の調子が良くなったり、悪くなったりと、差が激しい。
一日のうちの活動時間がどんどん減っている。
ご飯と薬を飲む時間以外、だいたい3〜4時間ほど喋ったりするが、ほとんど寝ている状態の母を見ているのは、なんというか暇だ。
この状況にも慣れてきた。はじめの方はアレコレといらない世話を焼いていたが、どんな状況下でも人は人で、執拗に構われ続けるとうっとおしくもなってくる。
それは母も同じで、ぼ

もっとみる
【12/23】母親が危篤状態の話

【12/23】母親が危篤状態の話

12/23 18:51 僕に一つのメールが届いた。

C**** K****(プライバシー保護)
12月23日(月) 18:51 (1 日前)
私たちは彼女の状況を改善するために疼痛管理を試みています。 お母さんのがんはもっとひどいです。 あなたが来たいなら、航空券を送ることができます。

 差出人は僕の母親の旦那さん。元米軍のパイロットで、リタイア後はアメリカの*****(プライバシー保護)で暮

もっとみる
【12/25】母親とビデオ通話した話

【12/25】母親とビデオ通話した話

前記事からのつづき。https://note.com/nekohawai/n/n2907c1ed81cb

12/25 00:32 10:30
おしっこが出ない。腎臓 肩にも転移。
痛みで死にそう。ジャンキーみたいになっちゃった。モルヒネくちから。
方が痛くてうごかせない
はじめは脱臼かと思った。痛みを放射線治療でとる。
嫌だ。食べられなくなるし喋れなくもなるし。国際免許をとってきたほうがいい。

もっとみる

【12/29】渡航前夜。

今ぼくはいとこの家のゲストルームにいる。
明日、ぼくといとこは国外へと旅立つ。理由はあってないようなものというか、母が死ぬから看取りに行くのだ。

12/23とかその辺りに報せを受け、色々と準備を済ませ今に至る。
報せを受けた直後は冷静ではなかった。今すぐに行動しなければならないという焦燥感や、襲いくるネガティブと他人への羨望に支配されていた。
ただ、いっても仕方がないことだしと、その頃に比べると

もっとみる
【12/30】渡航〜飛行機

【12/30】渡航〜飛行機

これから飛行機に乗る。随分久しぶりなので緊張する。いとこがいてよかった。やっぱり人がいると安心する。母へのお土産は黒豆をチョイス。
お正月といえばおせち、ぼくは黒豆とかが好きだ。お土産なんて買うことが滅多に買うことがないぼくは、なんだか大人っぽいなぁ、なんてことを考えている。

これから飛行機に乗る。随分久しぶりなので緊張する。いとこがいてよかった。やっぱり人がいると安心する。母へのお土産は黒豆を

もっとみる
母親を亡くす予定の男の渡航備忘録

母親を亡くす予定の男の渡航備忘録

ここ数日間、様々なことがあり、また不慣れな土地ということもあり書く余裕がなかった。なので完全に忘れてしまう前に備忘録として、手記を参考に出来事を書き記したいと思う。

12月31日
飛行機から降りるとそこはアトランタ空港。気温は16度で、少し肌寒いが日本よりは暖かい。到着時刻は現地時間で17時前後(記憶が曖昧なため詳細は不明)。時差ボケの心配をしていたが、飛行機内の窓のシャッターが閉じられてい

もっとみる
12/31-1/1 家と心に土足で踏み入られる話

12/31-1/1 家と心に土足で踏み入られる話

(前に12月31日の出来事を書いたかもしれない。時差やその他もろもろの原因でこの辺りの日付が正確ではない。話の前後に関して は間違いないので、 後で整理することにする。)

12月31日
 この日はジョージアに着いてから1日目。 母が階段から落ちたと旦那さんから聞いた翌日の話だ。1日を通して何をしたかほとんど覚えていない。
 ただ、夕食を旦那さんの息子一家と共に食べた。その時の話をする。

もっとみる