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【癌と笑顔】母親の嫌なところ【1月20日】

はじめに

アメリカに来て4週間くらいが経った。初めはドタバタしたし、色々とショックなこともあって心の均衡というか、なかなか冷静でいられなかったのだけれど最近は収まってきた。
典型的な病人(失礼な表現かもしれないけど、鼻からチューブとか、寝たきりとか)のイメージと違って、母は割と元気に見える。昨日はショッピングモールに行ったし、自分で歩いたりも出来る。おしゃれだってする。
ただ、やっぱり薬の効能とか、身体機能の低下とか、『状態異常:癌』ってかんじなのでそこまで元気でもないんだけれど、思っていたよりかはひどくない。

書こうと思った理由

ぼくが書こうと思った理由
・『不謹慎』とか『親孝行しろ』とか『優しくしないといけない』とか、無責任に周りから言ってくる第三者が嫌。
・同じような状況(あるいは僕よりもっとひどい状況)にいる人に「もっと楽をして欲しい」と言いたい。
主にこの2つである。
タイトル通りなんだけど、癌の母に対して嫌に思うところがある。そして、そういった状態の人には優しくしないといけない『風潮』みたいなものがある。
先にも言ったが、奴らは割と元気だ。しかし正常ではない。そのような状態の人間と四六時中行動をともにしているとどうなるかというと『こちらも少し正常では無くなってくる』
もちろん母を愛しているし、決して憎いわけではない。結婚生活の中でパートナーに、または子供に、なにか思うこともあるはずだ。それと違いはあまり無い。
だからたまには愚痴みたいなものを出してもバチは当たらないと思う。
僕たちは病人の奴隷じゃないのだ。

嫌なところ

・メンタルが一定ではない
 朝から元気なときもあれば、いきなり怒り出すときもある。
 砂糖が入った食事を隣人が持ってきた際に、怒ってしまって皿を割ってしまった。
 こいつ、やりやがった!と思ったし、その後すぐにベッドルームで寝始めたので、こっちは隣人のケアやら皿の片付けやらでめんどくさかった。
 

・すぐ寝込む
 タイミングがつかめない。誰かのメールを見て、内容というか、文面に気になるところがあったらしくショックで寝込む。
 また激しく元気な時間の後も高確率で寝込む。ぼくが母と話してる最中に、タバコを吸うため席を立って、戻ってきたら寝込んでいた、なんてこともある。
 ショッキングだし、できればやめて欲しい。

・物事を忘れやすい
 名前を呼ばれたと思ったら「なんだっけ?忘れちゃった」と言われる。何!?
 解凍のため、冷蔵庫から外に出しておいたお肉を忘れている。調理中も醤油を入れるようにしつこく言われるんだけど、醤油はすでに入れているから量を多く作ったりする。(これはいらない気遣いかも)

・全然ねれない
 8時間ごととか5時間ごととか3時間ごととか、色々な種類の薬があるので服用の時間も不規則になる。
 流石に3時間ごとはやばかったので、医者と相談して5時間ごとに調整してもらったが、それでも色々と状況は変わるわけで。
 また、いきなりしんどそうに息を荒げだすのでこっちもビビる。
 「寝てました。すいません」では済まないのでまぁ慢性的に眠りは浅い。

・部屋が臭い
 病人の部屋は臭い。空気の入れ替えとかしても臭いもんは臭い。

・お金の消費が激しい
 免疫力アップの食品。行動サポートの補助器具。お医者さんの診療費とか大学病院へのアプローチ、新薬治験など。
(盲点だったんだけど、医療行為に関わることに保険代はおりるけど、それ以外のことにおりない。『それ以外のこと』の判断が保険会社側に委ねられているので結構な割合でおりない)
 すごいかかる。母は母で「同じように苦しむ人たちのためになるなら」とか思ってるから、どうにも天使と悪魔の板挟み状態みたいになってる。
 お金が少なくなっていくのはやっぱり怖いところがある。

良いところ

・話すことが増えた
 色々なことを話すようになった。多分そのうち母の初体験のこととかも聞くような気がする。それくらいボーダーが薄くなってきている。

・感謝を伝えやすくなった
 なにかと「ありがとう」とかを言うようになった。ただ、多すぎるとそれはそれでおかしなことになるので、ほどほどに。

・色々なことをするようになった
 今、母の周りを離れるわけにはいかないのでそんなに大それたことは出来ないが、庭の装飾、新しい料理、絵を書いて渡してみるとか、そういうことをするようになった。母も楽しいしぼくも楽しい。

・毎日笑顔
 笑顔は百薬の長、という言葉もあるように楽しいのは良い。
 ナチュラルキラー細胞は、自然免疫の主要因子として働く細胞傷害性リンパ球の1種であり、特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に重要である。また、体内NK細胞による癌細胞の縮小作用が認められている。
 笑顔は癌に効く。

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からくりサーカス、大好きな漫画です。

まとめ

 どうだったでしょうか。べつにぼくはマザコンってわけでもないので、嫌なところは嫌だし、別に言ったっていいと思います。
 「本人だってなりたくてなってるわけじゃないのにヒドイ!」
 わかる。ていうか別にひどくていいし、家族の問題だし、ぼくたちは奴隷じゃないんで、やりたいようにやります。
 家族の介護に疲れたことによる心中など、世間では暗いニュースが目立ちます。
 もちろん、事情は人それぞれあると思いますが、それほど気張らなくてもいいのかなーと、個人的には思います。
 

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