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ワインジャーナル

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ワイン科学を軸に、マーケティング、ブランディング、テイスティングなど幅広くワインについて語るジャーナル。書き手は国内外の大学、大学院でワインを研究してきた3人。
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#ヨーロッパ

KDP第2弾『ワインと微生物学』

KDP第2弾『ワインと微生物学』

お久しぶりです。

最近更新できていなかった理由です。

本を書いていました。

なるべく仕事がはじまる前に終わらそうと思っていたので、なんとか2月中にリリースできてよかったです。

今回は前回のワインリテラシーとは全く別の系統の話。

醸造における微生物の話です。
アマゾンの方にもるのですが、目次はこんな感じです。

内容はこのnoteに書いてある酵母やブレタノマイセス、酢酸菌の話を中心に、乳酸

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英語講座での質問一覧7月3~4週

英語講座での質問一覧7月3~4週

ここ2週間の参加者が少なく思いのほかうまく進まなかったので2週分にまとめてあります。

雹害って実際どんな感じ?
ワインの産地に起こる天候による被害で最も有名なのは霜害かと思いますが、雹も実はブドウに大きなダメージを与えると言われています。
実際に3週間ほど前私の滞在している南仏でも雹は降りましたし、その一週間後にはドイツで醸造をしている方も雹が降ったという報告をしていました。
その方も最近not

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朝ワイン英語講座でのQ&A(7/8~12)

朝ワイン英語講座でのQ&A(7/8~12)

今週から新たに山梨の若手醸造家が1人加わり5人態勢でやっています。
まだまだ人増えても問題ないと思うので、気になる方は是非参加してください。
お試しでとりあえず1回とかだけでも大丈夫ですよ。現在も皆さん参加頻度はまちまちなので。

ということで今週のハイライトです。
ブドウに関する環境要因や成長サイクルなんかがメインの章になっています。
半分ぐらいしか進んでないので来週も引き続き5章を進めていきま

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ブドウの養分動態分析法~葉柄分析~

ブドウの養分動態分析法~葉柄分析~

今回は葉柄分析という手法に関してです。
分析結果を眺めて土壌や樹勢との相関や因果関係を仮説から導き出すのはなかなか面白いです。

葉柄(ようへい、英語:Petiole)は、植物において葉と茎を接続している小さな柄である。 通常は茎と同じ内部構造を持つ。 葉柄の両側に伸長した部分は托葉といい鞘状に巻いているものは托葉鞘という。

今回はこの葉柄部分を使った分析を紹介する。

これは一度調べたのだが、

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コルクとスクリューキャップの比較テイスティング

コルクとスクリューキャップの比較テイスティング

前回の栓の選択というところに絡んだお話です。

夢は家に飲んだワインのコルクでアートを作ることです。
どうもおくむらです。

いつもは論文とかデータを重視しているので堅い文章になりがちなのですが、今回は経験に基づく話をします。

こういった話の方が読者の方にとっては面白いのではないかなとは思いますし、書きやすいのですが、こういった方向性を多くしてしまうと、重い方をそっちのけでやってしまうのであまり

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ブドウ栽培での灌漑のタイミングと影響

ブドウ栽培での灌漑のタイミングと影響

今回が灌漑の準最終回です。

最終回は実験結果が出て、友人の論文を主にしたものになると思います。

灌漑のタイミング
灌漑のタイミングによって色々な効用がある。

タイミングは大きく分けて3パターン。

もちろんその3パターンのうちどのタイミングで水分ストレスがかかっているかといったことはその年の気候によっても違うので、タイミングに関しては前述の記事を参照にしていただけたらと思う。

まずその3パ

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ブドウ栽培での灌漑方法と特色

ブドウ栽培での灌漑方法と特色

前回は灌漑のおおまかな背景と灌漑をする際の水分ストレスの指標についてみてきた。

今回はそのストレスを軽減するための灌漑の方法について見ていく。

灌漑の方法(冠水とスプリンクラー)灌漑の方法は多岐にわたる。
原始的なのは「Border(区画)方式」、「Furrow(畝)方式」、「Flood方式」の3つだ。

前者の2つは畝やプロットの周りの溝を冠水し、それによってブドウに水分を与える方法になる。

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世界の酒窓から~ウオッカ in ポーランド~

世界の酒窓から~ウオッカ in ポーランド~

このタイトルシリーズ3回目になるんですけど、お酒の世界は限りなく深くて少しワインをとか日本酒をかじったぐらいではまだまだスタートラインにも立てていないなぁと思っている次第です。

そして今回は男2人ヨーロッパぶらり旅で見つけた最後のお酒。

「ウオッカ」

馬じゃないですよ。って馬のウオッカのほうが知名度低いですよね。
競馬ファンなら9割以上の方が知っていると思いますが。

それはそうと今回はスピ

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世界の酒窓から~コニャック in プラハ~

世界の酒窓から~コニャック in プラハ~

前回はドイツ、チェコそしてポーランドで出会ったビールの話をしました。
サワービールとピルスナーのセミダークとダーク、そして無濾過のビールの個性と面白さ、味わいなどについてでした。

そして今回は旅で出会ったお酒たちについての続きです。
ブランデーについて取り上げていきます。

ブランデー。
ブランデーはブドウからできる蒸留酒であることもあり、今まで比較的飲む機会が多かった蒸留酒でもあります。

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世界の酒窓から~サワービールとダークピルスナー~

世界の酒窓から~サワービールとダークピルスナー~

友人が転職するとのことで、その有給休暇と私の春休みとがうまく噛み合ったので旅に出ていました。

男二人ぶらり旅inドイツ、チェコ、ポーランドです。

なにをしてきたかというと
ビール、ブランデー、ウオッカの奥深さを知るともに、ドイツと言えば?のスパに行って参りました。

他にも色々と回っていますが、この記事の読者が興味を引きそうな部分だけを軽くまとめていきます。

今回の記事ではまずビールについて

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Viniferaプログラムのメリットデメリット

Viniferaプログラムのメリットデメリット

ここまで色々とプログラムの内容についてを投稿してきました。
今回はそれを踏まえたうえでのメリットデメリットについてになります。

Viniferaのいいところ・国際色がかなり豊か

世の中には色々な留学プログラムがあると思うのですが、ここまでバラエティーに富んだものはなかなかないのではないかなと思います。
「ワイン」に特化した人たちが一同に会して、共通言語としてワインを持っているのでそういう点では

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Vinifera Euro Master-ドイツ&研究編

Vinifera Euro Master-ドイツ&研究編

更新頻度を上げて、このトピック記事を早めに終わらせたい。

ここからは2年目についてですね。

ドイツを選択した理由
前回の話で2年目はフランス以外の4か国から選ぶということを話しました。
その中から自分はドイツを選んだので、ドイツのことしか話せませんがその点はご理解ください。

まず選択に際して、なぜドイツを選んだのかというところからはじまります。
・イタリア人の英語の発音がかなり聞き取りにくか

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Vinifera EuroMaster-モンペリエでの生活

Vinifera EuroMaster-モンペリエでの生活

今回はフランス、モンペリエの生活編ですね。

まずモンペリエは生活するにはかなりいいところです。
人も多すぎない、いい具合の都会。
自転車なんかも公営のレンタルできる設備ですし、バスとトラムの10回券が10€、1300円ぐらいで買えます。

大学の寮からであれば歩いても旧市街と言われる中心地に行くことができます。

寮は安くて月300€、35000円程度。

CAFというフランスの住居支援制度もあ

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ブドウの均一熟度がワインの質となる

ブドウの均一熟度がワインの質となる

集中講義と銘打っときながら忘れたころにしかリリースされない7回目です。

実は6回目まではある程度書けていた状態で順次リリースしていたのですんなりと行けたのですが、テストと帰国等慌ただしくしており、着手する時間が取れませんでした。

6回目の最後にワイナリーの均一化ということについて説明するということを書き残していたので、今回はワイナリーの均一化についてです。

そもそも均一化は収穫時の熟度のムラ

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