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ワインジャーナル

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ワイン科学を軸に、マーケティング、ブランディング、テイスティングなど幅広くワインについて語るジャーナル。書き手は国内外の大学、大学院でワインを研究してきた3人。
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KDP第2弾『ワインと微生物学』

KDP第2弾『ワインと微生物学』

お久しぶりです。

最近更新できていなかった理由です。

本を書いていました。

なるべく仕事がはじまる前に終わらそうと思っていたので、なんとか2月中にリリースできてよかったです。

今回は前回のワインリテラシーとは全く別の系統の話。

醸造における微生物の話です。
アマゾンの方にもるのですが、目次はこんな感じです。

内容はこのnoteに書いてある酵母やブレタノマイセス、酢酸菌の話を中心に、乳酸

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天ぷら つな八から学ぶ「魚介とワイン」論

天ぷら つな八から学ぶ「魚介とワイン」論

天ぷら。天ぷら(てんぷら・天麩羅・天婦羅[1])は、魚介類や野菜等の食材を小麦粉を主体とした衣で包み、油で揚げて調理する日本料理である[2]。「江戸の三味」の一つ[注 1]であり、江戸料理、江戸(東京)の郷土料理となっている[3][4]。現代では、天ぷらは日本国内外に広がっている。

そんな江戸っ子の定番ともいえる「天ぷら」とヨーロッパ諸国から今や世界で愛されている飲料である「ワイン」が出逢う物語

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「ワイン おすすめ 本」の決定版15選

「ワイン おすすめ 本」の決定版15選

最近Twitterやらnoteやらぽつぽつとフォロワーは増えているにも関わらずなんの発信もできておらず。

以前少し話題になっていたオススメの本というものを私なりに紹介できたらなと思ったので久々に筆をとっています。

色んな人向けに紹介していきます。ここには私自身が読んだことはないけど、いろんな人が話題にしてる本とかも含みます。

①ワインを楽しく飲みたい人向け。Twitterを見ていても、話を聞

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自然発酵はワインを殺し得る 〜Hanseniaspora 属という酵母〜

自然発酵はワインを殺し得る 〜Hanseniaspora 属という酵母〜

ワインにおける自然発酵とは、

工業的に選抜され(元々は天然・野生酵母で醸造環境中からの分離・培養等を経ているという意味)、ワイン醸造への適性が高く、世界中で普遍的に利用されている乾燥活性培養酵母(ADY : Active Dry Yeast)を添加せず、ブドウ果皮や梗、場合によってはワイナリー設備に「蔵付き化」している酵母を「天然酵母・野生酵母」として、彼らにアルコール発酵(AF : Alcoh

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第12回山梨大学国際ブドウ・ワインセミナー まとめ

第12回山梨大学国際ブドウ・ワインセミナー まとめ

2月20日、山梨大学にて「第12回山梨大学国際ブドウ・ワインセミナー」が開催されました。

余談ですが、山梨大学ワイン科学研究センター主催の「国際ブドウ・ワインセミナー」は、例年、7月頃(日本ワインコンクールの審査に合わせて)、2月頃(フランス・モンペリエ農業科学高等教育国際センター⦅SupAgro⦆の来学に合わせて)にそれぞれ行われます。

大学のHPで事前に情報を公開しているので、興味のある方

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ワイン兄さんとは

ワイン兄さんとは



はじめまして。ワイン兄さんと申します。

普段は山梨で大学院生をやっております。
研究室は発酵微生物の部屋で、ワイン微生物について研究しており、普段はワインについて研究しながら、科学しながら、ワインを楽しんでおります。

※2021年3月で大学院修了

趣味は筋トレと食事制限によるボディメイクです。
筋トレは週に3回、【胸・背中】day、【肩・脚】day、【腕】day の3分割で行っています。

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奈良発!木谷ワイン!~美味しいワインを目指して~

奈良発!木谷ワイン!~美味しいワインを目指して~

今日は奈良の木谷ワインさん(ワイナリーはまだ出来てないので畑だけなんです)を訪ねてきました!

前回の高知に続き、大阪のワイナリーはろくに回らずに、他県から攻めてます。

というのも大阪のワイナリーってサイズ感もしっかりあって、個人でなかなか行きにくそうなんですよね…込みいった話ができないなら行く意味もあんまりないし…

なので今回もかなり小さなワイン畑の紹介です。

木谷ワインのはじまり。
木谷

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高知初ワイナリー!ミシマファームワイナリー探訪記

高知初ワイナリー!ミシマファームワイナリー探訪記

先日高知県の土佐町にあるミシマファームワイナリーに伺ってきました。
ワイナリーとの出会いはこの”note”。

私がせっせと専門記事を書いているのを面白く思って頂けたようで、初めはマガジン(更新停止中)の購入とそのお礼メールから始まったように思います。

そんなミシマファームワイナリーさんとオーナーさんである山中敏雄さんについて今回は紹介させていただきます(夫婦で営農されているのですが、今回は残念

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ワインの「だし感」を考察してみた。(後編)

ワインの「だし感」を考察してみた。(後編)

更新が滞っておりました。

前回はどういったワインで出汁っぽさを感じることがあるのかとか、出汁感ってそもそもなんなのかなんていったことを見てきました。

その上で、栽培されたブドウの含有するアミノ酸量が一般的な出汁に含まれるアミノ酸量よりも多いなんていうことも見てきました。

一方で、ブドウにアミノ酸が多量に含まれていても、そこからの醸造の工程でそれらの量は大きく変わっていくことになります。

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ワインの「だし感」を考察してみた。

ワインの「だし感」を考察してみた。

ワインに出汁感??
ワインを表現するときの「出汁感」という単語を聞いたことがあるでしょうか。

ワインの主要産国の歴史にフォンドボーのようなものはありますが、旨味という概念や、それを重んじた出汁感なんていう概念がないであろうことは想像に難くないと思います。

そのため恐らくワイン業界の共通語でもないだろうと思います。

ただ私たち日本人にとって「出汁感」と表現することがしっくりくるワインというのが

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ワインの価格高騰を嘆く若者へ

ワインの価格高騰を嘆く若者へ

今日はこんな記事を見かけました。

「ブルゴーニュワインの現在とこれから」

週末は平日よりむしろパソコンを開かなかったりで読み物が溜まっていたりしますね。

価格編なので値段の高騰について触れられています。

私はお酒が飲めるようになったのは4年前ですから、もちろん1990年代はおろか2015年ほどまでは全くワインの値段なんて気にしたこともなかったことになります。

そんな我々世代のワインに興味

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ワインを醸すマイクロカプセル化酵母

ワインを醸すマイクロカプセル化酵母

今回はワイン製造に関する技術の話です。

カプセル化酵母とするか、固定化酵母とするか、個人的にはコーティング酵母なんていうのも悪くない名前だと思ったり。

日本語訳があまり定まっていないような印象を受けるこの技術。

英語だと"encapsulated yeasts"というそうです。

日本語で色々と調べるとLALLEMEND社の情報ページがありました。

特にワインに特化して書かれているというわ

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ワインを飲むときのスワリングの仕方

ワインを飲むときのスワリングの仕方

みなさんワインを飲むときはどうやって飲んでいるでしょうか。
ワイングラスのボウルの部分は持たないとか、注いでもらうときは手を添えないとか色々とマナーとして言われているかと思います。

そのなかの所作の1つであるスワリング。
どうやっているでしょうか。

少し思い返してみてください。

右回りの人、左回りの人。
勢いよく回す、静かに回す。
手にもって回す、テーブルの上で回す。

色々とあると思います

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香りを感じるメカニズム

香りを感じるメカニズム

香りは嗅覚によって感知されているのは皆さんご存知だと思います。

この嗅覚は味覚や触覚などと同列の五感に分類されますが、どうも軽視されています。

そのため嗅覚に関しては味覚以上に研究が遅れていると言われているのですが、現状でどういったことが香りの世界にあるのだろうと思い調べてみました。

私自身も香りを意識する機会なんてほとんどなく、ワインのことを学び始めてから少しずつ意識するようになった程度の

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