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価値観の素

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粗く、未熟な言語化を通り、私の今の確かな価値観は作られていったのだと思う。
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文字の話

文字の話

国語の評価はいつも良かった。

本を読むのも、自分の言葉で感想を書くのも好きだった。

主人公の気持ちに当てはまるものに〇をせよ、という問いに対して正解を選ぶことができていた。

いつからだろうか

文字に、ネガティブを乗せるようになったのは。

ネットにはもともと疎かった。

同級生はブログや、mixiで熱心に言葉を綴った。

自分はケータイ小説の中の文字を追いかけていた。

高校の入学式で、ブ

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ヘルペスによって感情を表現していた思春期の話

ヘルペスによって感情を表現していた思春期の話

ヘルペスという、物体に侵され始めたのは15歳の頃。

Herpes(疱疹)とは、小水疱(小さいみずぶくれ)が集った急性炎症性皮膚疾患のこと。

同級生がニキビに悩むなか、私の肌は特に同じモノが現れることはなかった。
だから、最初口周りにデキモノができた時、特に気にもとめていなかった。

始めの方は、ニキビと同じように1週間程で、治っていた。赤く腫れて、少し痒い時期を乗り越えれば、朝起きれば消えて

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シュークリームとサングリアの不協和音

メロンソーダとプリンとか

みかんと炬燵とか

カルピスと青春とか

世の中には、AといえばBだよねなんて物事が山程ある。

だから、AにはCだと不自然だよねなんてことも起こりうる。誰が決めた訳でもなく、なんとなくこの世の中に小さなルールとして存在している。

しかし、AとBの組み合わせが決まって「カッコいい」訳でもなければ、AとCの組み合わせが「ダサい」という訳でもない。前者は自然なまでに人類の

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言語化をしたその先の未来

言語化をしたその先の未来

私達は、国語という授業を受けながら、筆者の気持ちだとか、主人公の想いだとかを汲み取る練習をしてきた。

要約や、感想を書くことは、自分の「考え」ではない。

問題提起、そして解決までの過程、結論を迎えても、

自分の頭で、違う方法や、違う視点からの考えを発表する場を与えられてこなかった。

だからどんな物語にも当てはまるような、文字ばかりを書くことを覚える。

「悲しかった」だとか、

「可哀そう

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「そんなキャラだったっけ」と言われた君へ

「そんなキャラだったっけ」と言われた君へ

「陰キャラ」と「陽キャラ」なんてくだらないスクールカースト判定。

他人にとっての「あなたらしさ」が存在している。他人によって判定される自分の「キャラ」というもの。

キャラに沿って生きれば、自分の個性は剥奪され、自分らしさと、他人が定めるキャラとの間に広がる溝に苦しむことになる。

一方、自分らしさを全面に出せば、他人の思うキャラと違うということから、からかわれたり、色んな苦痛を伴うことになる。

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「矛盾」と「不条理」で埋め尽くされたこの世界で

「矛盾」と「不条理」で埋め尽くされたこの世界で

「矛盾に厳しい人」だと自身の性格を的確に指摘された日の出来事は、記憶に新しい。

そして、この世に溢れる不条理を目にしていく中でもまた、世の不条理について論理的且つ、正しく解いている本にも出会った。

人間は、生活に、仕事に、人を愛することに、誰かを大切にすることに、

忙しい。

忙しいが故に、何かを疎かにする。

そして、そこで嘘をつくことを覚え、

責任転嫁する方法だって身につけてしまう。

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傷つけられた分だけ、強くなれるとかいう戯言

傷つけられた分だけ、強くなれるとかいう戯言

「アスファルトに咲く花」のように、この社会は頑張らせることが大好きだ。

弱音よりも、虚構の強さを善とする。

傷つけられることが当たり前かのような、みんな強くなれるよというメッセージ。傷つけられてきた人間は、弱く居る強さを知るのだ。

弱くも強くもなれずに、踠き、

やっと、自分の痛みを誰かの所為にできた時、

弱い自分と出会うことができる、強さを知る。

強さなど、何にも比例しない。

測るこ

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この本を読めばわかるという暴力

この本を読めばわかるという暴力

知識を手にした暴力家。
是非とも読書を共にしたいと願う。

そして、共に読書感想文でも書き、読み合おうではないか。

10分間タイマーで測り、その間にじっくりとお互いの言葉という感性に触れる。

さて、そこにはどんな言葉が溢れているだろうか。

このままではいけないと思ったという焦燥感か、この事実を早く広めなければいけないという正義感か、それとも、これが言いたかったんだ、誰もこれを言ってくれなくて

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お葬式という「悲しさ」の演出

お葬式という「悲しさ」の演出

涙を流しても、目の前の人の命は戻ってこないということを、誰しもが理解しているはずだ。でも、「死」という現実を受け入れられず、涙を流す。

私は、祖父が亡くなった時、涙一つ流さなかった。

ただただ、喉の奥に溜る痛みに耐えた。

確かに、人の死を目の前にした時、後悔したり、その人との思いでを思い出したり、色んな感情が交差することだろう。

自分の感情に身を任せ、涙を流すことは悪いことだとは思わない。

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アイデンティティの在りか

アイデンティティの在りか

最近こんな話をした。

「インターナショナルスクールに通っている子のアイデンティティって、よく分からなくなっていると思う」

考えたこともなかった視点だ。

自分は言語を勉強してきたが、言語習得の先には、日本人として、そして自分というアイデンティティの中に幾つかのツールとして多言語が存在していた。

しかし、小さい頃から日本でインターナショナルスクールに通う子ども達はどうだろうか。

そもそもイン

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「価値観」の強さの話

「価値観」の強さの話

「強い価値観をお持ちですね」

そんなことを言われた。

そもそも、価値観に強さとか、弱さとか、量的なものは存在するのだろうか。価値観、つまりは自分がどんなものに価値を認めるのか、また価値がないと判断したりする基準のようなもの。数字で表すことのできない基準値。

そんな曖昧な存在である価値観に対して向けられた「強い」とは何だったのだろうか。

そして同時に、「価値観を持っている」ということが会話に

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「酒」の力。

「酒」の力。

「酒を飲まないとやってられない」

そんな言葉をよく耳にする。それは、この社会に対してなのか、仕事の上司へのものか、はたまた自分自身に嫌気がさしているのか、知る由もない。

「アルコールは合法化されたドラッグだ」そんなことを、ついこの間東京の赤羽で飲み歩きながら友人と話していた。

アルコールを摂取すれば、個人差はあれど気分がある程度良くなる。顔が赤くなる人もいれば、いつもより饒舌になる人もいる。

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付加価値の話。

付加価値の話。

昨日、差別と区別の話を書きながら別のおじさんの話を思い出した。

特に、関連性はないんだけど。こんなこともあったなあてお話です。

そのおじさんとは、岐阜県の旅館で知り合った。

私はというとロシア放浪の前に寒さに慣れておこうなんていう、くだらない理由で岐阜県の奥地へと足を踏み入れた。

そしておじさんのいる旅館でアルバイトをすることになった。

その旅館は一泊2万5千円もするような老舗旅館だった

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差別と区別の話

差別と区別の話

あるおじさんが、こんなことを言っていた。

「差別と区別は違う。」

「日本には差別はないが、区別はある。」

「日本ほど差別がない国はない。」

「区別はされても仕方がない。」

そもそも、「差別が存在しない」と判断する人は、自分が差別をされたことがないだけだと私は思っている。

どの問題も言い切ることはできない。

こんな人はいない。

そうやって言い切ることは、自分が100年生きた後でも何の

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