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水木三甫の心葉♡♧詩集

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心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを… もっと読む
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2022年11月の記事一覧

真っ赤なマグカップ(詩)

真っ赤なマグカップ(詩)

真っ赤なマグカップが置いてある。

会社の流し台の上に戸棚があって、
そこに真っ赤なマグカップが置いてある。

外側が真っ赤で、中は真っ白なマグカップ。
取っ手の外側は赤く、内側は白いマグカップ。
他のマグカップよりひとつ頭の高い存在感のある真っ赤なマグカップ。
色のバランスも、戸棚の中のバランスも無視して、自己主張しているマグカップ。

ある日、誰かが誤って落としてしまった。
割れた真っ赤なマグ

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女の子と一本の矢(詩)

女の子と一本の矢(詩)

その女の子には、ちっぽけな幸せの後にはいつも、大きな苦しみがやってきました。

ちっぽけは幸せが三つあれば大きな苦しみも三つあります。

幸せと比べて苦しみの量がどんどん増えてきて、女の子はつらさのあまり泣き出してしまいました。

女の子の心の中は苦しみでパンパンに膨れていました。

もうだめ、私の心は潰れてしまうわ。

そう思ったとき、空から一本の矢が飛んできて、女の子の心を打ち抜きました。

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結果論(詩)

結果論(詩)

結果がすべての時代になり、
結果だけを求めて右往左往する。
過程などどうせ評価されないのだから、
どこかで一発、好結果という宝物を掘り出さなければならない。
だけど、結果なんてそんなにたくさん落ちていないし、簡単に見つけられるものでもない。
運良く結果を見つけ出した人だけが成功者となり、
その他大勢はまわりから山師と呼ばれ、軽蔑される。
誰もがゴールドラッシュを夢見ては、夢に破れ、泥だらけの姿で、

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前触れ(詩)

前触れ(詩)

誰も気づかない
誰もが他人事だと思い
誰もが忘れ去っている

日常が変わることなど誰も信じない
自分は自分のままに生きていく
それが当たり前

テレビでは毎日のように、
東ヨーロッパの戦争の、中央アジアや南米の大洪水の、中国やイギリスの渇水の、朝鮮半島のミサイル発射のニュースが流れ、
北極や南極の氷は解け、南洋の島は姿を消されようとし、地球の二酸化炭素は増え続け、気温上昇が原因の死者が増え続け、国

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輪廻転生(詩)

輪廻転生(詩)

手をつないで歩こう。
離れ離れになるといけないから。
手をつないでさえいればこの世は過去から未来につながっていくから。

歩調を合わせて、リズムに合わせて、スピードは控えめに。

昔から人間はそうやって生きてきたんだ。たかが1千年でそれを変えようなんて思うのは傲慢というものだよ。

無理したツケは必ずやってくるから。

慌てず、騒がす、冷静に。そして笑顔で歌いながら歩こう。

手を離してはいけない

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一杯のコーヒーを飲むあいだに(詩)

一杯のコーヒーを飲むあいだに(詩)

たかが一杯のコーヒーを飲むあいだに、
人生ってなんなのか、なんて漠然とした君の質問に答えられるとは思ってもいないけど、君が聞きたいのなら、僕は僕なりの答えを出してみようと思う

人生って複雑なようで単純なもので、
人生って苦しいようで楽しいもので、
人生って難しいようで簡単なもので、
人生って短いようで長かったりして、

結局、人生って矛盾なんじゃないかな
だからみんな、それなりに苦労もしている

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死の灰(詩) ―岡本太郎『死の灰』を見て―

死の灰(詩) ―岡本太郎『死の灰』を見て―

死の灰が降り注ぐ
人間は引き裂かれ、人間を燃やし尽くし、影だけの存在になった

死の灰が降り注ぐ
建物は崩れ落ち、燃えカスとなり、無機質な地面に積み上げられた

人間が人間でなくなる瞬間を見た人はどれだけいたのだろうか

形としての人間の滅亡
有機物としての人間の消滅
そして、魂としての人間の行方

人間の人間による人間のための政治がもたらした悲劇
人間が人間の存在を道具にした政治がもたらした喜劇

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自由についての話(詩)

自由についての話(詩)

伊豆のシャボテン公園に行ったんだ
冬だったけどお客さんは多くて、その理由はカピバラだった

カピバラが温泉に浸かりながら、飼育員が置いていったエサの野菜や果物をポリポリと齧っているのを見たんだ
そう、テレビでもこの季節によく見る場面だね
それを生で見たくて、こんなに大勢のお客さんが集まった

そんなカピバラを見ていて、ふと思ったんだよ。自由って何だろうって

自由を奪われて、こんなところに閉じ込め

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希望がもてなかった頃に(詩)

希望がもてなかった頃に(詩)

希望が持てなかった頃に、僕は流れ行く雲を見た。
どこへ向かおうとしているのかわからない雲を見た。
途中で蒸発してしまうか、あるいは雨となって地上に落ちてしまうであろう雲を見た。
決して希望の場所にたどり着けないだろう雲を見た。
それでも、
風に乗って勢いよく流れていく雲を僕は見た。

希望が持てなかった頃に、僕はアジサイのつぼみを見た。
葉っぱの奥でひっそりと身を隠しているつぼみを見た。
淡い緑の

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後悔(詩)

後悔(詩)

出会わなければ良かったと思う女性(ひと)がいる。
大好きだったのに打ち明けられずに終わった恋がある。

ただ勇気がなかっただけなのに、
自分なんかと付きあったら、僕の不幸を移してしまう、なんて
そんなこじつけた言い訳で自分から逃げた。
そして、卒業式は過ぎ去った。

大学生になって、偶然地下鉄でその女性(ひと)と会った。
相手は気づいていないみたいだった。
彼女が笑顔を僕に向けてくれたなら、
「久

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ユメナシ(詩)

ユメナシ(詩)

夢を持てない男の話。
重い夢を引きずりながら、いつか前に進むこともできなくなるよりも、
何も持たずに身軽に歩いたほうがいい。
希望がなければ絶望することもない。
夢は必ず叶うなんて、夢を叶えたヤツしか言わないから。

夢をあきらめた男の話。
夢を叶えることに必死になって、疲れ果てた体をさらに酷使するのなら、
夢を捨てて身軽に歩いたほうがいい。
希望がなければ絶望することもない。
夢は必ず叶うなんて

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人生って(詩)

人生って(詩)

人生は凸凹道を後ろ向きで歩くようなもの
過去はいつまでも視界から消えず、
将来は見たくてもまったく見えない。

何度も転び、転んでは立ち上がる
起き上がったとき前を向けばいいものの、
どういうわけか再び後ろ向きになってしまう

忘れたい過去から逃れられず、
どこに行き着くかはわからない
不安だけを背中に負って、
立ち止まることもできない

だから生き地獄の中、
夢や希望といった、
頼りない灯りに頼

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変身(詩)

変身(詩)

子守唄の聞こえなくなったベッドで、
眠ることもできず、起き上がることもできずに
ただ横たわっている。

カラスはとっくの昔に寝床へ帰り、
太陽は地球の裏っ側を彷徨っている時間に、
ただベッドの中で天井を見つめている。

流れていく時間の音。
流されていく心臓の鼓動。
流れることもできずにいる空間。
内と外に挟まれて、身動きできずにいる自分。
世界から取り残された自分。

何もできない自分。
変われ

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素直(詩)

素直(詩)

素直だねって人に言われると、なんだかバカにされた気になる
なんでだろう?
素直って良い言葉のはずなのに

それなのになぜか、人から素直だねって言われると、悪口を言われた気分になる
なんでだろう?
素直って褒め言葉のはずなのに

たぶん、それは私が素直でないことを知っているから
素直じゃない私に素直だねって言う人は、本当の私を知らないくせに、口からでまかせを言っているだけだから
だから、きっとイライ

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