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死の灰(詩) ―岡本太郎『死の灰』を見て―

死の灰が降り注ぐ
人間は引き裂かれ、人間を燃やし尽くし、影だけの存在になった

死の灰が降り注ぐ
建物は崩れ落ち、燃えカスとなり、無機質な地面に積み上げられた

人間が人間でなくなる瞬間を見た人はどれだけいたのだろうか

形としての人間の滅亡
有機物としての人間の消滅
そして、魂としての人間の行方

人間の人間による人間のための政治がもたらした悲劇
人間が人間の存在を道具にした政治がもたらした喜劇
悲劇と喜劇がひとつのものだと気づかされた愚か者の歴史

悲喜劇が再び繰り返されるとき、それをただ見ているだけでいいというのならば、それでいいだろう

しかし、見終わったときに自分自身が存在する保証などどこにもないことだけは承知しておかなければいけない

なぜならば、あなた自身がストーリーの登場人物に繰り込まれているのだから

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