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希望がもてなかった頃に(詩)

希望が持てなかった頃に、僕は流れ行く雲を見た。
どこへ向かおうとしているのかわからない雲を見た。
途中で蒸発してしまうか、あるいは雨となって地上に落ちてしまうであろう雲を見た。
決して希望の場所にたどり着けないだろう雲を見た。
それでも、
風に乗って勢いよく流れていく雲を僕は見た。

希望が持てなかった頃に、僕はアジサイのつぼみを見た。
葉っぱの奥でひっそりと身を隠しているつぼみを見た。
淡い緑のつぶつぶが丸く集まっている、誰も見向きもしないはずのつぼみを見た。
梅雨が終われば枯れ果て、切り落とされてしまうであろうつぼみを見た。
それでも、
梅雨が来るのを待ちわびながら大きくなっていくアジサイのつぼみを僕は見た。

未来に希望を持つことの虚しさを僕は見た。
はかなく消えていく希望の亡骸を僕は見た。
それでも、
希望に向かって、前向きな自然の風景を僕は見た。

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