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#詩

短夜

短夜

逢いたいと願う時
夜は私の背中を押し
私は夜に注ぐのです

炭酸を抜くように
氷に当てて注いでく
忘れた素振りをして
ウイスキーを注ぐのです

陽炎がグラスに浮かび
世界が渦巻く
氷も水も全てがぼやけて
グラスに雫を創るのです

そうして
私の顔にも創るのです

今日も私は
空っぽの何かを埋める為
失った何かを代わりにして
静かに煽るのです。

小説?|ブルーハワイ・フロート

小説?|ブルーハワイ・フロート

前置き
 文学的な問題は一切孕んでいません。

本編
 午後一時半の中心業務地区は酷暑と言っても差支えがないほどに大気が煮えていて、アスファルトの照り返しが私の脚をストッキング越しに刺す。何故こうも高層ビルばかり空を埋め尽くすように建っているのか――それは地価が高い以上そうせざるを得ないのだ、そんなことわかってるのに――ただ、これではまるでコンクリートの雑木林と形容せざるを得ない。植林地でもいい。

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私はひまわりサンフラワー

私はひまわりサンフラワー

(初出;2022.6.5 前橋ポエトリーフェスティバル)

置かれた場所でうまく咲けなかった
みんなと同じになれない
いつもいじめられた
人と何かが違う事で いつもいじめられた
隣の人より背が低い 太ってる 足が遅い

そんな時 だれかが言ったの

「あなたには どんな花が似合うのだろう
どんな花でも
それは あなたの花
どんな花でも
あなたはあなた」

私には
向日葵という名がついてるの
それは

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輝

貴方みたいになりたいと思ってた
貴方はずっと 私の憧れだった

でも どれだけ真似ても貴方のようにはなれなくて
貴方の背中は私が走れば走るほど 遠ざかった
苦しくて こんな沼から早く抜け出したくてもがいてももがいても 首は締まっていった

貴方はいつも 私とは違って輝いていた
貴方の輝く笑顔を見るのが 辛くなった

身勝手な嫉妬に狂った醜い獣はある日 全てを捨てた
薄っぺらなプライドも 貴方のよう

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ネモフィラ

ネモフィラ

ネモフィラの
青い吐息が
空にも響いていた
形容詞だった僕に
動詞になることを
後押しする青
蒼く葵く変化する
深い黒にならぬよう
川面に響く喧騒を
耳と肌で感じながら
触れなくてはならぬ

【詩】失っても

【詩】失っても

床に倒れこむようにひれ伏す

窓の隙間から細く光が射し

本の一頁を照らす

何もかもが全て崩れ落ち

何もかもが消え

誰もいなくなる

信じていたものは何

頼っていたものは何

委ねていたものは何

周りにうず高く積んで

これが全部自分のものと

声を出さずに見せつけていた

決して自慢ではない

決して見せびらかしてはいない

決して見下してはいない

それでも崩れる時は

一瞬に崩れて

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【詩】船と年輪

【詩】船と年輪

「何かを捨ててきてしまった僕ら」

***

僕らは年輪みたいに
毎日少しずつ大きくなっていくものじゃなくて
多分 川を下る舟みたいな存在なんだろう
誰もが同じスピードで流されていくしかなくて
いろいろなものを拾いながら、
いろいろなものをどこかに落としてきてしまったんだ
でも それに気がつくことができなくて
僕らは
昨日持っていたものに今日拾ったものを加えて
そうやってまた少し大人になったのだと

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傲慢な私

傲慢な私

瑠璃に必要なことは、「謙虚さ」だね。と、夫に言われた。
そう言われて反論できなかった理由は、確かに私は傲慢な女だから。

とびっきり美しいわけでもないのに、もちろん聡明なわけでも、
甘やかされて育った家庭環境とそれなりにうまくいった人生は
私の自己肯定感、というなの傲慢さを育むのに十分すぎる環境だった。

友達は言う。
「でも、たった一人の人生のパートナーくらいは、とびっきり甘やかしてくれてもいい

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【詩】一滴の温かさ

【詩】一滴の温かさ

辛苦の眠りから覚めるわたし
純粋な雫が胸の奥で
一滴落ちる

見たくないだけだった
聞きたくないだけだった
触りたくないだけだった

永い眠りの中で
飛び散る細かい粒が
新鮮な旋律とともに
わたしの中で響きだす

逃げ出した先の翳りの中で
安息なんてなかった
苦しさの中の永い眠り
聴きたかったのは美しい調べ

冷たい思ひが溶けて
心のドアをそっと開いて
くつろぎたかっただけ

逃げても追いかけてく

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【カオリ】letter

【カオリ】letter

一人きり

朝日差し込む部屋のカーテン閉め切り

いつかの夢に

囚われる

望んで囚われてる僕

気付いちゃいない君は

僕なりのこれ以上ない

愛 お伝えしても

迷い

悩み

どこか

遠くへ

突き進む

止める術も

引き留めておくような生き物でも

ない僕だけど

君だけには

気付いて欲しかった この気持ち

気付いたとしても

それでいいんだって

言ったのは

僕なのに

いい

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恋の終わりに咲く想い

恋の終わりに咲く想い

太陽の下
手を繋いで歩いて
木漏れ日の中で
隠れるようにキスをした

未来を信じてた
あなたを想ってた
まっすぐ見つめてた
あなたを愛してた

出逢いは必然だった
別れは必至だった
ひとつ嘘を吐いた
優しい嘘を吐いた

好きじゃなくなったわけじゃない
曖昧に誤魔化した言葉の裏に
隠れているのは
二度と言えないアイラブユー

出逢えてよかったなんて
まだ思えない
楽しい時間をありがとうなんて
まだ言

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お気に入りの一番を探す

お気に入りの一番を探す

幸せは捉え所がなくて形は様々

人の姿や声音、色彩

場所や関係、空気感に物理欲

組み合わせて響く心地よさ

並べて過ごす事の贅沢

幸せに浸された空間で

目を閉じれば

夢の内容も変わっていく

幸せになりたい

脳みその願いを叶える為に

今日もぼくは街に繰り出す

お気に入りの一番を探し出す

【詩】不良にもなれない

【詩】不良にもなれない

ブルーハワイのかき氷
お前の唇を濡らしている夏
一枚レコードを出して
解散したバンドの歌が流れる
ガレージの真ん中に
修理中のモンキーバイクが一台
オイルの香りが充満している
不良でもヤンキーでもない
中途半端に逆立った俺の髪
強いものより弱い物に憧れて
生まれて5秒で家出したのさ
色褪せたグリーディングカード
毛先がボロボロの絵筆
窓辺から向日葵が話しかけてくる
ミツバチがダンスを踊っている

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夢と希望を持って

夢と希望を持って

生まれてくる時に

神さまが 持たせてくれる

プレゼント

右手には夢 左手には希望 を

小さな手に 握りしめて

人になる為 小さな魂は

試練の旅に 出るのだ

誕生の 瞬間

泣くと 同時に はじまる 

肺呼吸に 驚いて

固く 握っていた手も

開いてしまうから

夢と希望は その手の中から

どこかへ 飛んでいってしまう

それを探す旅が 人生なら

それも 悪くない

まるで 鬼

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