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短文朗読用の台本

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#声劇

【短文朗読】こころ ころころ

【短文朗読】こころ ころころ

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

こころ ころころ
風に ころころ

きみと 歩いた あの道で
こぼれる 花を ゆらした風だ

こころ ころころ
波に ころころ

きみに 送った あの写真
波音ざざざ
夕景色

こころ ころころ
音に ころころ

きみと聞いた 眠れぬ夜の
虫の声
ころころ りんりん
秋の夜

こころ ころころ
ころがって

きみに届かぬ
わたしの手

ほろり ほろほろ
流るる

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【短文朗読】想う影の色

【短文朗読】想う影の色

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

想いを届けたくて

手紙を書こうと思いました

想いに当てはまる言葉が見つからなくて

誰かの言葉を借りようと

文字の世界を探しました

素敵な言葉に出会えましたが

どうしても

心の隙間にピタリとハマることがなく

今度は色を探しました

すると

どの色を見ても

想いが重なるのです

悲しくも

嬉しくも

消えそうにも

永遠にも感じられるけれど

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【短文朗読】悲しみの引き出し

【短文朗読】悲しみの引き出し

☆所要時間:2分
☆人数 :1人用

比べることなんてない

比べることなんて できないのですから

「誰にでも」辛いことがある

「誰にでも」悲しいことがある

その誰にでもという「誰か」は

どれだけ「あなた」に
影響するというのでしょう

「誰か」が
とてつもなく酷い目にあったからといって

あなたの悲しみが
悲しくない、なんて
そんなことはないのです

あなたの悲しみは真実

あなたの辛さ

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【短文朗読】朝

【短文朗読】朝

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

おぼろげで
輪郭がはっきりしない
朝のひととき

白んできた空
黄みを帯び
橙が濃くなっていく壁面
黄金色にきらめく窓枠

青に染まっていく空 空・・・

天を仰ぎ
息を吸い込み
地に足をつけて

今日の自分に
立ち向かう

End

【短文朗読】金木犀とキミ

【短文朗読】金木犀とキミ

☆所要時間:2分
☆人数 :1人用

金木犀の香りに包まれながら、
キミは去っていった。

西日で見え隠れして、
最後のキミの表情がどんなだったか
思い出せない。

この季節になると、香りの主(ぬし)を探しながら、キミの残り香を思い出す。

最後は、八方塞がりのようになってしまった二人の日々。

好きなのに、苦しい。
好きなのに、受け入れてもらえない。
好きなのに、助けられない。

お互いがそう思

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【セリフ】誓いの責任

【セリフ】誓いの責任

「病める時も健やかなる時も」

なんて

美しく

健気で

残酷な言葉でしょう

誓いを立てた過去に


その誓いの責に悩める
あなたに
選択肢を差し上げましょう

心は清らかなままに続く
針のむしろの道

罪悪感に苛まれ続ける
甘美な道

それとも

誓いを棄てて

己ひとりで自由となるか

何を背負って生きたいか

何から逃れ生きたいか

その身に刻むものを

ゆめゆめ忘れぬように

しか

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【短文朗読】今は離れた夢の道

【短文朗読】今は離れた夢の道

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

あの時確かに
並んでいた目線

互いに研鑽(けんさん)し
微かに見え始めた階段に

共に喜びあっていたことも
励ましあった言葉も

いつしか気付かぬうちに
温もりをなくしていて

キミには
もう
ワタシの枠組みしか見えなくなってしまって

ワタシから見えていたはずの
キミの夢も
野心としか映らなくなってしまった

互いのこれからを
1番近くで応援したかったけれ

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【短文朗読】重ねた音を忘れない

【短文朗読】重ねた音を忘れない

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

遠い遠い
見知らぬその土地で

キミは歌っていました

遠い遠い
手の届かぬその土地で

キミは世界と戦っていました

ボクは
キミのほんの一部しか知らなくて

深い深い
キミの痛みも
ほんの僅かしか気付けなかった

交わることのない
この世界で

ボクとキミの境界線を
消してくれたのは

音楽だったと思うんだ

キミの心を暗く染めた理由を
全部は分からない

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【短文朗読】その音こそが

【短文朗読】その音こそが

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

明るい音も
頭に入ってこない夜

空気が突然
重くのしかかり

心が
ひしゃげそうになる

バラバラになりそうな心を
繋ぎ止めるように

流し込む
ピアノの音色

あの時の「どうして」が
心を占(し)めて

頭の中を
嵐のように風が吹き荒れ
記憶をかき乱す

蘇る悲しみは
心を冷やし

震えるワタシは
もう

その場から逃げることも
隠れることもできなくて

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【短文朗読】あなたが芽吹く頃

【短文朗読】あなたが芽吹く頃

☆所要時間:2分
☆人数 :1人用

疲れた
って、言っていいよ

大丈夫
って、言わなくていいよ

誰かのために
がんばらなくていいよ

真っ直ぐで
いなくてもいいよ

崩れているように見えても

倒れているように見えても

今は

あなたが

新しく芽吹く前なんだ

何も見えなくても

何も聞きたくなくても

それは今が

冬芽(ふゆめ)のように

固く自分を守り

新しい世界に

新しい自分

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【短文朗読】キミの添え木のように

【短文朗読】キミの添え木のように

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

5年前のボクは
まだキミと出会っていないから

キミの小さな躓(つまず)きにも
気付くことはできなくて

キミが俯(うつむ)いた瞬間も
もしかしたらボクは
笑っていたのかもしれない

キミが涙をこらえて上を向いていた時も

キミが心を曇らせ笑顔を見せていた時も

ボクは知らなかったんだ

そう
知ることが
まだ出来なかったんだ

知らなかったことを
知ってしま

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【短文朗読】ジオラマの空

【短文朗読】ジオラマの空

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

夢にも飛んでいけないボクは

ジオラマのウソの世界で寝転んで

ブロックの奥に隠した願い事も

いつの間にか忘れてた

この線路を辿って走る電車は

キミの街まで行くのかな

煌びやかなジオラマの世界でも

空だけは

ホントの世界と繋がってる

それじゃあボクは

雲になろうか

それとも

風になろうか

ホントのキミに

ホントのボクの声を

届けられる

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【短文朗読】祝福

【短文朗読】祝福

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

丁寧に
そっと
やわらかに

ほんのわずかにも
不快にならぬように

ありったけの
愛情を
伝えられるように

包み 抱く

これが
愛おしい
ということ

ようこそ

よくきたね

あなたに
出会えることを

みんな みんな
楽しみに
待っていたよ

これからの
あなたの
成長が

健やかであり
幸せに満ち満ちているように

わたしたちは
全身全霊で
あな

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【短文朗読】棘

【短文朗読】棘

☆所要時間:1分
☆人数:1人

私は彼に
トゲを刺す

彼が痛むと
知っているのに

彼の中の
私の居場所を
確認したくて

彼が

胸を痛めるか

愛おしさに涙するか

ワタシだけを欲しているか

愛の深さを

まさぐるように

そのトゲを

さらに深く

奥へと突き刺す

彼の罪を
思い知らせるように

私の過ちを
知らしめるように

罪悪感を
埋めるように

彼の優しさに
涙しながら

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