MagnifiqueDawn

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記事一覧

実存

入学当初には既に垣間見、結局は卒業間際にラスボスとして顕現した論理命題。 遍く現象を手掛かりに実存を洗い出そうとしたが、叶わず。 今思うに最も重要な概念は、その…

No.15 苦痛と悲哀と甘美の想い

大学生の頃、美しさについて勉強していた夏がある。ノスタルジアという言葉を耳にするといつも、私は「美学」という講義を思い出す。 美学の巨匠である教授曰く、Nostalgi…

No.14 花束

『花束』2019年2月頃 僕の心にあなたの眼差しが泳ぐ。 僕の夢にあなたの眼差しが泳ぐ。 冷たい風が心地よくて、温かい雨が懐かしい。 あなたの語る山が雅で、あなたが待つ…

No.13 雨は歓んだ

『雨は歓んだ』2017年10月頃 雨は歓んだ。繰り返し彩られる悦楽に。 手のひらで世界を転がす自分の器用な才覚に。 支配的に踊り子を糸で弾く実感に。 馨(かおり)と愛し…

No.12 心の港

随筆『心の港』2019年3月頃 パリに行って私がしたこと。 それは日常そのまま。街の音に耳を澄ませ、街角の風に身を寄せて、手元で新しい言葉、新しい物語を紡ぎ続ける。…

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No.11 パープルアイ

『パープルアイ』 瞳から時おり 紫の雫 希望に満ち溢れる 懐かしいプラネタリウム 大空に並ぶ青写真 絶望しかねない未来に 塗りつぶされる空想 2人が出会った日本橋 完…

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No.10 夕陽のミザンセーヌ

『夕陽のミザンセーヌ』 通学列車の窓の外 流れゆく景色の先に 夕陽の輝く海がある 美しい岬 美しい灯台 私の想像では 聖なる海にカモメはいない ただ弾けるピアノ音…

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No.9 19歳の夏

『19歳の夏』 雨が降る台北の街 息が詰まりそうな異国の午後に 僕たちは狭い部屋から外を眺める 燻んだ小さなビル群が曇天を支え 朱色のカーテンに彩られたこの窓辺で 静…

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No.8 甘い葉の記憶

『甘い葉の記憶』 美しさが問題視された昼下がり 彼女は妖しく髪を掻き上げ 大胆不敵に二度回った 私は8年前の駅のホームに降り立ち 出会った日の夕景に手を翳す オレン…

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No.7 神でもない

同じ空を飛ぶのはいいけれど、お互いの翼を捕えてはならない。 浮気について 浮気しないことを相手に求めることって、すごく「甘え」な気がしています。 恋人って、自分…

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No.6 死について

『死について』2019年9月 眠りと死は似ている だから夢から覚めたときは少し悲しい まだ人生の途中だったね この心地よさが死ではなく 小さな眠りだったなんて ひとつぶ…

No.5 あなたを好きになることが

『あなたを好きになることが』2019年春頃 あなたを好きになることが 桜並木の下で 新しい家にときめき 新しい風にときめき 新しい声にときめくことであるならば 私はあ…

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No.4 核融合、自己組織化する宇宙

人間と地球と宇宙には似ている部分があるね。 そりゃ地球だって人間だって、宇宙の一要素なんだもの。 中学か高校くらいの時から、ときどき「自分は何のために生まれてき…

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No.3 モンタージュ

夏の到来を鐘で知らせるような、澄み渡った空。カフェの窓際に座って読書をしていた。PM06:30。 葉の陰から差しこむ夕日に突然、私は既に失った碧き少年時代の彩りをみた。…

No.2 せかいをのぞく

10歳の誕生日には顕微鏡を、 11歳の誕生日には天体望遠鏡を、 12歳の誕生日にはカメラをもらった。 誕生日のプレゼントは予算内で希望を伝えておける。本格的なカメラを欲…

No.1 わたしのおもちゃ箱へ

7月14日深夜 書きたいことは山ほど溢れる。覚書や詩、そして不完全な戯曲の多くは書き貯めていても光浴びず。あとはSNSで日常の感動や、作品批評、社会批評を無い頭なり…

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実存

入学当初には既に垣間見、結局は卒業間際にラスボスとして顕現した論理命題。

遍く現象を手掛かりに実存を洗い出そうとしたが、叶わず。

今思うに最も重要な概念は、その実存と現象の影を行き来する事象の点滅。

総て物事は出現と消滅を繰り返すという捉え難さ。

瞬きするような間隙に潜む小さなエントロピー。
#随筆

No.15 苦痛と悲哀と甘美の想い

大学生の頃、美しさについて勉強していた夏がある。ノスタルジアという言葉を耳にするといつも、私は「美学」という講義を思い出す。

美学の巨匠である教授曰く、Nostalgiaとは17世紀においては病気と見做されるものであったという。

ギリシャ語のNests(故郷への帰還)とAlgos(痛み、悲しみ)の合成語であるNostalgia(独語)。
それは「帰郷痛」と訳され、芥川の短編でも綴られた。

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No.14 花束

『花束』2019年2月頃

僕の心にあなたの眼差しが泳ぐ。
僕の夢にあなたの眼差しが泳ぐ。
冷たい風が心地よくて、温かい雨が懐かしい。
あなたの語る山が雅で、あなたが待つ海の白さが美しい。
頬に照る夕日は艶やかで、その瞳にひかる宇宙が愛しい。
登りきった先の窓からは青い地球のかけらがのぞき、
振り返った踊り場には、命の始まりが静かに広がる。
あなたは朝早く起きるのが好きで、僕は朝に眠るのが好きだけ

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No.13 雨は歓んだ

『雨は歓んだ』2017年10月頃

雨は歓んだ。繰り返し彩られる悦楽に。
手のひらで世界を転がす自分の器用な才覚に。
支配的に踊り子を糸で弾く実感に。
馨(かおり)と愛し愛される肉体の確かさに。
それからまるで唾液を幾度となく転がすように酩酊した。
世界にエゴイスティックな八角の花を撒き散らす中毒に。
鳥になって勝ち誇ったその絶景に。
#詩 #雨 #快楽 #優劣 #錯覚

No.12 心の港

随筆『心の港』2019年3月頃

パリに行って私がしたこと。

それは日常そのまま。街の音に耳を澄ませ、街角の風に身を寄せて、手元で新しい言葉、新しい物語を紡ぎ続ける。贅沢な過ごし方だねと言う。それでもパリを背にした日常の営みは、私の手を経由し、私の内部から初めて出会う彩りの数々を引き出していった。その言葉と物語を宝箱のように持ち帰り、情熱に滾るこの胸が復路の空からパリを慕ぶ。

ノートルダム大聖

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No.11 パープルアイ

『パープルアイ』

瞳から時おり
紫の雫
希望に満ち溢れる

懐かしいプラネタリウム
大空に並ぶ青写真
絶望しかねない未来に
塗りつぶされる空想
2人が出会った日本橋
完熟した夢に飲み込まれ
一段飛ばしに火に入る若さ

にぎった拳に詰め込まれた光
宇宙空間で引き裂かれるふたり

映写機との間で無限の往来を繰り返す心
夏の日に 互いのすべてを思い出す2人
おもちゃの地球に立ちあがる
夕日が差した日本

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No.10 夕陽のミザンセーヌ

『夕陽のミザンセーヌ』

通学列車の窓の外 流れゆく景色の先に
夕陽の輝く海がある
美しい岬 美しい灯台

私の想像では 聖なる海にカモメはいない
ただ弾けるピアノ音のように 空が鳴いている
砂浜に差す夕陽はどこか懐かしさに満ちている

安らぎとドラマティック
夕暮れになると私を誘う静かな世界
記憶の底で響くオルゴールのような存在様式

そんな憧憬よりも速い速度で
私をさらってゆく特急列車
夜の橋

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No.9 19歳の夏

『19歳の夏』

雨が降る台北の街
息が詰まりそうな異国の午後に
僕たちは狭い部屋から外を眺める

燻んだ小さなビル群が曇天を支え
朱色のカーテンに彩られたこの窓辺で
静かな映画の音だけが二人の緊張を代弁していた

雨の止んだ17時
出掛けたいと言ってリップを塗った彼女につられ
じっとり汗をかくような 八月の二週目

日の沈んだ小さな繁華街
アイアンブルーの夜風に吹かれて
僕たちは 若い胸の高鳴り

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No.8 甘い葉の記憶

『甘い葉の記憶』

美しさが問題視された昼下がり
彼女は妖しく髪を掻き上げ
大胆不敵に二度回った

私は8年前の駅のホームに降り立ち
出会った日の夕景に手を翳す

オレンジ色の泡となって消えていく彼女

予告の無い南風が 私から涙を奪う
#詩

No.7 神でもない

No.7 神でもない

同じ空を飛ぶのはいいけれど、お互いの翼を捕えてはならない。

浮気について

浮気しないことを相手に求めることって、すごく「甘え」な気がしています。
恋人って、自分の保護者じゃないし、神様でもなければ牧師さまでもない。
ただ自分の人生を、一番高い頻度で支えてくれる人だと思う。

それでもただの一人の人間だし、私と合同ではない自分自身の人生を持った、一人の人。

「恋人として寄り添い合うもの同士は

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No.6 死について

No.6 死について

『死について』2019年9月

眠りと死は似ている
だから夢から覚めたときは少し悲しい

まだ人生の途中だったね
この心地よさが死ではなく
小さな眠りだったなんて

ひとつぶの涙
霞んで遠ざかる さっきまでの場所

現実的にはアンバランスな夜空

また安らかな時間に戻るまで
暗い部屋を照らして
一杯の水で喉を潤して

死のときまでは
#詩 #死

No.5 あなたを好きになることが

No.5 あなたを好きになることが

『あなたを好きになることが』2019年春頃

あなたを好きになることが
桜並木の下で
新しい家にときめき
新しい風にときめき
新しい声にときめくことであるならば
私はあなたを想って 花になりたい

あなたを好きになることが
青い潮風の前で
大きな船におどろき
大きな雲におどろき
大きな手におどろくことであるならば
私はあなたを追って 鳥になりたい

あなたを好きになることが
金木犀の香の中で

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No.4 核融合、自己組織化する宇宙

No.4 核融合、自己組織化する宇宙

人間と地球と宇宙には似ている部分があるね。
そりゃ地球だって人間だって、宇宙の一要素なんだもの。

中学か高校くらいの時から、ときどき「自分は何のために生まれてきたのか」を考えて、よく悲しくなった。ひと一人は、どれくらい瑣末な存在なのだろう?私の人生にはどれほどの意味があるのだろう?
そんな卑下な問いが、自分を何かへの使命感や憧れに駆り立てた。いや、みんなそうなんじゃないかな。意味のある何者かであ

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No.3 モンタージュ

No.3 モンタージュ

夏の到来を鐘で知らせるような、澄み渡った空。カフェの窓際に座って読書をしていた。PM06:30。
葉の陰から差しこむ夕日に突然、私は既に失った碧き少年時代の彩りをみた。悪気もないその燦然とした夕陽に透かされ、私は詩を綴った。

『終息』

ありとあらゆる詠嘆をも枯れた荒野にて
曇天の雨を鏡に 失った良心の数をかぞえる

葉の陰から覗く少年時代は既に いとも冷厳に打ち砕かれた
肩を横切る鳥々の賛歌

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No.2 せかいをのぞく

No.2 せかいをのぞく

10歳の誕生日には顕微鏡を、
11歳の誕生日には天体望遠鏡を、
12歳の誕生日にはカメラをもらった。

誕生日のプレゼントは予算内で希望を伝えておける。本格的なカメラを欲しがった私は両親に価格交渉をする。
(何と可愛気の無い子供だ!)

しかし12歳の子供に大きな予算は与えられない。
どうしてもカメラが欲しい私は
「27枚撮りの写ルンですを12個ください」という。

そうして12歳のわたしは、せか

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No.1 わたしのおもちゃ箱へ

No.1 わたしのおもちゃ箱へ

7月14日深夜

書きたいことは山ほど溢れる。覚書や詩、そして不完全な戯曲の多くは書き貯めていても光浴びず。あとはSNSで日常の感動や、作品批評、社会批評を無い頭なりに表現していたかも。

正直とても無造作で無意識的で粗雑な癖のようだった。それは見つけた蝶を虫籠に入れ続けるように。それとも見つけた宝物をおもちゃ箱に投げ入れていくように。

ところで、それをなんとなくnoteにしてみようかなと思っ

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