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#189 【調査結果】○○歳以降、仕事に対する意欲が急速に低下する。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が昨年12月に発表した「人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」を読んでメモ。


1、どんな調査?

独立行政法人労働政策研究・研修機構がその研究の一環として以下を目的として実施したものです(出典:同機構HP)。

長寿社会の進展に伴い、働く人一人ひとりが長期化する職業人生を展望してキャリアを設計していくことが求められている。また、こうしたもとで労働政策を的確に企画・立案していくためには、人生100年時代に向けた企業の雇用管理の動向や今後の課題を把握することが不可欠である。
本調査は、これらの社会的課題に応えるとともに、労使間で検討することができる資料の提供を目的として、厚生労働省からの要請によって実施したもの。

対象、調査方法は日本に所在する従業員規模30人以上の企業(2万社)を対象にアンケートを送付する形で実施し、2,640社から得た回答をまとめたものです。

「主な事実発見」として

1、企業が予測する「人生100年時代」のイメージ
2、日本企業の雇用管理と長期勤続化の課題
3、キャリア形成のための諸制度とその動向
4、ワークライフバランスに向けた諸対応

の4つ項目について調査結果とともに解説がされています。

実際の報告書は資料編も含めると273ページにもなりますが、調査結果の概要(26ページ)だけでも十分な内容です。

以下、個人的に特に興味深かった2つのデータについてご紹介したいと思います。


2、人生100年時代に求められる能力は?

1つ目のデータは、企業に
「これまで重視してきた能力」
「人生100年時代に求められる能力」
をそれぞれ聞いたもの
です。

みなさまは、この質問でそれぞれどんな能力を思い浮かべるでしょうか?



結果は以下の通り。

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これまで重視してきた能力上位3つは以下。
☑️ 経験をもとに着実に仕事を行う能力(67.3%)
☑️ チームの一員として自らの役割を果たす能力(64.6%)
☑️ 自ら考え、行動することのできる能力(54.4%)

今後重視される能力上位3つは以下。
☑️ 自ら考え、行動することのできる能力(55.3%)
☑️ 柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力(53.5%)
☑️ 特定の分野における専門的・技術的な能力(47.1%)

いかがでしょう?

これまで、と、今後、で共通する能力は1つだけ、です。

つまり、ガラッと変わる訳です。

もちろん、これはある日急に変化する、ということではなく、足元ですでに起こっていること、と言えます。

ジョブ型へ転換、の流れは、現在のメンバーシップ型で重宝される、「チームの一員として〜」がなくなり、「専門的・技術的な能力」が求められることに表れていますし、VUCAの時代に適応するためには、前例踏襲型の「経験をもとに〜」より、「柔軟な発想〜」が求められることに表れているのです。


3、正社員の意欲・能力・キャリア形成は?

2つ目のデータは、企業に自社の正社員が
「意欲を持って働いているようにみえる割合」
「十分に能力発揮できているようにみえる割合」
「積極的にキャリア形成に取り組んでいるようにみえる割合」
を年齢別に聞いたものです。

題名にもしましたが、何歳以上から「意欲」が低下していると思いますか?



結果は以下の通り。

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「意欲を持って働いている(ようにみえる)人の割合」は、男性正社員では40歳台以降、急速に低下しています。
管理職になっている場合には、落ち込みは緩やかですが、50歳台以降に減少することは変わりません
一方、女性はともに落ち込みは緩やかになっています。

さらに落ち込みが顕著なのが、「積極的にキャリア形成に取り組んでいる(ようにみえる)人の割合」です。
こちらでも特に男性の落ち込みが急であることが分かります。


4、まとめ

先日、「会社」の溶け方、という投稿で、電通やタニタの、退職するものの、引き続き一定の仕事を元の勤務先から保証される形で独立する「第三の選択肢」をご紹介しました。

また、中間管理職は「AI分業コーディネーター」に真っ先に職を奪われる!?という投稿で、中間管理職が真っ先にAIに置き換わり、社内外含めて仕事を割り振るという話題もご紹介しました。

従業員からもそうですが、実は、会社の方がこれからの時代、競争を生抜いていくために、40歳台以上の社員が重荷になっている、という側面も見え隠れします。

むしろ、会社側がそのために副業や独立を「良いもの」としてプロパガンダしているようにも思えます。

個人的には会社は、お互い利用し合うもの、という意識でいます。

「みんなやっているから」「会社員というだけでは不安だから」「今の時代いくらでも稼げる方法はあるから」というだけで、飛び出したり、本業とは無関係な副業に時間を割いたり、というのは、「会社のオモウツボ」なんではないか、と。

一方で、私も40歳台です。

こんなヒネクレタ見方ばかりしていると、お荷物、と言われかねません。

年末に書きましたが、VUCAの時代、染み付いてしまった成功体験はリセットして、「柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力」を磨いていきたいと思います。



最後までお読みいただきありがとうございました。

調査結果のご紹介でしたが、何か参考になるところがあれば嬉しいです。

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