名無しの文無し

ちょっとした小話でも書きますね。 顔も知らない、人生の交わらない誰かが読んで下さる、不…

名無しの文無し

ちょっとした小話でも書きますね。 顔も知らない、人生の交わらない誰かが読んで下さる、不思議ですねぇ。

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ノート

僕は小さな頃から大人が嫌いだった。 何をしても怒るし、何を言っても聞いてくれない。 大人はわかってくれない。 なんてノートの端っこに涙ながらに書いてたこともあっ…

愛の掃除屋さん

皆さんこんにちは。私は最近世間一般俗に言う、新興宗教に入って日々が輝きだした、名も無いホテル清掃員です。 こんな仕事をしておりますと、皆さんの人生を垣間見ること…

1人ぼっちのフライデーナイト

華金。 華の金曜日。まったくもって誰が言い出したかわからないが、とにかく今日は金曜日の夜である。 来たる週末に向けて、よぉし無礼講だぁ酒を出せ!可愛いおねーちゃ…

一朗くんは悩んでいる

一朗くんは悩んでいました。 どうしても納得出来ない事がありました。 15歳になった一朗くんは、勇気を出してお父さんに長年の悩みを聞いてみました。 「お父さん」 一朗…

カニの足をさ、むしって齧り付く時ってさ、幸せじゃん?ちょんちょんっと酢醤油につけてさ、幸せよ。茹でても生でも。 カニの甲羅にさ、カニ味噌とほじった足を入れて七輪…

幸せな老後

老後の事考えたことあるか? 僕の生き方を見る友達の言う事はだいたい決まっている。 いい歳して定職にも就かずにフラフラしてるお前を見てると心配になる、との事だ。 4…

密着!仕分け部署(ファッション窓口)

近年深刻な社会問題となっている「身分申告漏れ」。 我々取材班は仕分け最前線の場で奮闘する1人の県職員に密着取材を敢行した。 「本日はどうもよろしくお願いします。も…

2年間の留学を経て思うこと。

これはこの名無しの文無し、の中の人()が、実際に2年間の留学が終わって帰ってきた時の感想と言うか詩と言うか、です。 マジ話ですね。こんなの書いて残すのもこっぱずかし…

千夜一夜物語(アラビアンナイト) 後

なんだこりゃー…… とりあえず船室のベッドに倒れ込んでボンヤリ天井を眺めてみた。 ゆっくりと思い出す。 そう。私は確かあのバンの中をにゅっと覗き込んだんだっけ。 …

千夜一夜物語(アラビアンナイト) 中

「……。ん。」 目を覚ました時、目の前は暗闇だった。目を開けているのに暗闇。 とりあえず立ち上がろうと床に手をつこうとすると…あれ?腕が後ろで縛られている。右手…

千夜一夜物語(アラビアンナイト) 前

見〜せて、あげよ〜う♪ 空飛ぶ絨毯に乗って知らない世界を見せられた私に王子様が歌い出す。 煌く夜空の灯りがほんのり映える幻想的な街。 ムード満点、王子様の顔も近い…

タバコ

いい加減やめよう。 もう数えて25回目にもなる禁煙の誓い。 18の頃カッコつけて吸い始めてから、じつに20年近くの月日が流れていた。 最初は女の子にモテたいとか連れに尊…

オートマ

「オートマ限定免許とか恥ずかしくないの?」 いつものようにドライブデートしてる最中、付き合って半年のマリにふと言われた。 うーん。あんまり深く考えてなかったなぁ…

ノート

僕は小さな頃から大人が嫌いだった。
何をしても怒るし、何を言っても聞いてくれない。

大人はわかってくれない。

なんてノートの端っこに涙ながらに書いてたこともあった。
今にして思えば行き場のない、表現出来ない知らない感情を吐き出す場は、だいたいその時手元に転がってたノートだった気がする。

小説を書いてみた事もあった。

当時流行ってた恋愛小説も書いてみたし、冒険小説、はたまたミステリー小説に挑

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愛の掃除屋さん

愛の掃除屋さん

皆さんこんにちは。私は最近世間一般俗に言う、新興宗教に入って日々が輝きだした、名も無いホテル清掃員です。

こんな仕事をしておりますと、皆さんの人生を垣間見ることが出来て、存外楽しいものです。

アメニティと言うアメニティをこれでもかと一切合切全て持って帰られた部屋。
シーツの1部分が不自然に真っ赤に染め上がった部屋。
大きなクマのぬいぐるみがドン、と部屋の中央に置きっぱなしになった部屋。
蝋燭と

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1人ぼっちのフライデーナイト

1人ぼっちのフライデーナイト

華金。

華の金曜日。まったくもって誰が言い出したかわからないが、とにかく今日は金曜日の夜である。

来たる週末に向けて、よぉし無礼講だぁ酒を出せ!可愛いおねーちゃんとこ行って、羽目を外して乱痴気騒ぎ、とにもかくにも騒ぐんだぁ!

まぁ華金と言うと僕はやっぱりこんなイメージで、実にそのイメージに忠実な40絡みの中年親父4人組が、酒臭い息を吐きながら肩を掠めてすれ違っていった。

心で舌打ちしながら

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一朗くんは悩んでいる

一朗くんは悩んでいる

一朗くんは悩んでいました。
どうしても納得出来ない事がありました。
15歳になった一朗くんは、勇気を出してお父さんに長年の悩みを聞いてみました。

「お父さん」

一朗くんの声に夕食後ソファで小説を読んでくつろいでいたお父さんが顔を上げました。

「どうした改まって。恋の悩みか?」

「違うよ鬱陶しいな。その…僕の名前のこと」

一朗くんの真剣なトーンにお父さんは居住まいを正しました。

「僕の名

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蟹

カニの足をさ、むしって齧り付く時ってさ、幸せじゃん?ちょんちょんっと酢醤油につけてさ、幸せよ。茹でても生でも。

カニの甲羅にさ、カニ味噌とほじった足を入れて七輪の上に置いてさ、日本酒入れてかき混ぜて、沸騰したら食べる時って幸せじゃん?たまんない。

蟹って確かに見た目は気持ち悪いし前に歩けないけどさ、それでも人を幸せにするよな。

その点俺たちエビはダメよ。

エビフライにされる時さ、尻尾食べる

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幸せな老後

幸せな老後

老後の事考えたことあるか?

僕の生き方を見る友達の言う事はだいたい決まっている。
いい歳して定職にも就かずにフラフラしてるお前を見てると心配になる、との事だ。

40も半ばを過ぎてバイト生活に勤しむ僕は社会的負け組であり、誰とも知らない人達から社会人失格の烙印を押される。
恋人はこの10年いないし、別れた理由もこれだ。

あなたといても未来が感じられない。

未来。
確かに。

朝から夕方までコ

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密着!仕分け部署(ファッション窓口)

密着!仕分け部署(ファッション窓口)

近年深刻な社会問題となっている「身分申告漏れ」。
我々取材班は仕分け最前線の場で奮闘する1人の県職員に密着取材を敢行した。

「本日はどうもよろしくお願いします。もちろん申請は済ませてますからご心配なく。はっはは。」

今日の主役である山下浩太さんはグレー地にストライプの入ったスーツに紺のネクタイをひらひらさせながら朗らかに笑った。

今日、6月第一日曜日からの一週間は年に2度の身分申請週間である

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2年間の留学を経て思うこと。

2年間の留学を経て思うこと。

これはこの名無しの文無し、の中の人()が、実際に2年間の留学が終わって帰ってきた時の感想と言うか詩と言うか、です。
マジ話ですね。こんなの書いて残すのもこっぱずかしいですがまぁ、忘備録と言うか。残しとこう、てなもんなので別に無理して読まないで大丈夫です。

で色々あったんですがまぁ楽しかったですよ。
オーストラリアとニュージーランドにそれぞれ1年ずつ。
割といまだにちゃんと英語も喋れます。
この写

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千夜一夜物語(アラビアンナイト) 後

なんだこりゃー……

とりあえず船室のベッドに倒れ込んでボンヤリ天井を眺めてみた。
ゆっくりと思い出す。
そう。私は確かあのバンの中をにゅっと覗き込んだんだっけ。
そしたら誰もいなくてありゃ?と思ったらいきなり後頭部をぶん殴られて…そこから記憶がない。とりあえず疑いようのない事実として、どうも私は拉致されたらしい。アラブ系なんちゃらの過激派に。

「んな、アホな…」

目を瞑ってこれからの事を考え

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千夜一夜物語(アラビアンナイト) 中

千夜一夜物語(アラビアンナイト) 中

「……。ん。」

目を覚ました時、目の前は暗闇だった。目を開けているのに暗闇。
とりあえず立ち上がろうと床に手をつこうとすると…あれ?腕が後ろで縛られている。右手の甲が左手の甲に当たっている。離れない。動かない。動かない!足も!足首がくっついてる!何か荒い紐か何かで縛られているのか、手首も足首もそれが食い込んで痛い。真っ赤になっているに違いない。と言うか。息がしにくい。口を開ける。開かない。開かな

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千夜一夜物語(アラビアンナイト)  前

千夜一夜物語(アラビアンナイト) 前

見〜せて、あげよ〜う♪

空飛ぶ絨毯に乗って知らない世界を見せられた私に王子様が歌い出す。
煌く夜空の灯りがほんのり映える幻想的な街。
ムード満点、王子様の顔も近い。
そのまま顔を引っ掴んでその甘い顔と声の持ち主の精気を吸い込むような熱いキスを交わしたいが、まだ待つ。なんてったって私はお姫様。淑女様だからね。おっと私の出番が来るぞ。

A whole new world〜♪

「あ、ほぅるにぇぅわ

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タバコ

タバコ

いい加減やめよう。

もう数えて25回目にもなる禁煙の誓い。
18の頃カッコつけて吸い始めてから、じつに20年近くの月日が流れていた。
最初は女の子にモテたいとか連れに尊敬されたいとかそんな軽い理由で吸い出したものが、いつしか手から離れなくなって久しい。

今度の誓いこそ本物だ、俺はタバコをやめて健康で豊かな生活を送るんだ…

ポケットに入れていたマルボロの箱をまるで最愛の女との別れの如くじっ…と

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オートマ

オートマ

「オートマ限定免許とか恥ずかしくないの?」

いつものようにドライブデートしてる最中、付き合って半年のマリにふと言われた。

うーん。あんまり深く考えてなかったなぁ。

「別に?今時普通だしマニュアルの車なんて走ってないしさ、みんなそうだしそもそもギアチェンジもクラッチ操作も要らないならマニュアル取る意味無いじゃん。軽トラだってオートマが増えてるでしょ?」

右折待ちの為に対向車の確認をしながら僕

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