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海外就職活動②10年ブランク、英語の話せない、パニック障害、シングルマザー

最後の会社のビルのインターホンをおし、英語で返答があった時すでにもう私にこの面接を耐え抜くのは無理だと思いました。
でもドアは開き、スタッフが迎えにきて応接室に通されました。

この冷たい感じ、、大きなビル、ビジネス街、、今の私には別世界でした。
独身の時はスーツにハイヒールで満員電車に乗り、毎日夜遅くまで働いていた頃を思い出しました。

でも今はもうあの頃のような体力も希望もない。

面接官が入ってくるまでの数分の間に何度も逃げ出そうと思いました。
でも体が動きませんでした。
”どうか誰も来ないで”
自分で自分の心臓の音が聞こえていて、今にも心臓が飛び出しそうでした。

そしてノックがあり、3人の面接官が入ってきました。
その会社は誰もが知る会社なので、調べなくても何をする会社かは知っていました。
私は自分のパニックをどう抑えるかという対策しかしておらず、企業研究など一切していませんでした。
その頃面接に行った企業については、その企業のウェブサイトすら見ていませんでした。
その代わりに私は毎日瞑想やエクササイズの動画を見て、ひたすら近所を歩くことに集中していました。
企業研究をしようとしてもパニックになって息ができなくなり(できなくなるような気がする)集中できなかったからです。

そんな希望も何もないまま、面接は始まり、今までの経歴を聞かれできる限り明るく説明しました。
感情など全くなかったのですが、無理して明るくポジティブに見えるように話し続けました。
かなり一人でしゃべりすぎたようで、一息ついた時に面接官の一人に
”終わったかな?”と言われました。。

その人が他の二人の面接官に、何か彼女に聞きたいことはあるか?と聞きましたが二人ともないと言ったのでこれはもう落ちたな。。と悟りました。

その後その二人は席を外し、一番上のボスだけ残り二人で話をしました。
彼は私がやる予定の仕事の話をしましたが、
”募集要項見た?経験10年程度ある人を募集してたんだよ?”
と言われてびっくりしました。
全く見ていませんでした、とりあえず求人が出ているから応募しただけでした。
そのため、もし入社してもらうとあなたのためにポジションを作ることになります、と言われました。

それでも私はさらに強気に、他に内定をもらっているからそちらに今日中に返事をしなければいけない。だから今日中に返事をくださいと言いました。
もう自暴自棄のような状態でした。
どうせ落ちるのだ、でも第一希望(企業研究もしてないないくせに)だから一応最後まで希望を捨てたくない。

ボスは、あともう一人あなたの次に経験者が面接に来るので、その方が終わり次第連絡しますと言われました。

終わった、、、と思いました。

私は面接が終わるとすぐにカウンセラーに電話をしました。
彼女は私の面接の内容を話すと、いい反応だよ、好意を持ってくれてる。
ただ仕事だからそのあと経験者が来るということだから、会社としては経験者をとりたいのは間違いない。

私が返事をくださいと指定した時間は5時。
もう緊張でまだ心臓が飛び出るんじゃないかという状態で運転していた時、ついに運命の電話がなりました。

その最後に話した面接官からでした。
彼がその支店のジェネラルマネージャーでした。

そして彼は、
”正直にいうと決定するのにもっと時間が欲しい。決めかねている。あなたにしようか最後の人にしようか、会社としては小さな決断ではないから今日答えは出せない。
だからもしあなたが待てないなら、他に内定をもらっているところにお返事してください。”

私はどっと疲れが押し寄せ、もう生きていけないかもしれない。。
それほど一瞬にして一気に穴の底まで、何にも当たらず落ちていく自分が見えました。
でも薬を飲んでいるせいでそこまで頭には絶望感があるのに感情は表に現れてきませんでした。

そしてボー然としながらも、5時までに内定をもらってる会社に電話しなければと思った瞬間、また電話が鳴りました。

なんとまた今日面接に行った会社からでした。
ジェネラルマネージャーは、
”もう内定もらってる会社に電話しちゃった?
もしまだだったら、あなたに決めたので是非うちに来てください。”

”え?”

”仕事内容は今日説明したのとは少し変更になるが、またあなたの希望も考慮して考えたいと思ってます”

私は泣きたかった。
泣き叫びたかったけど、喜びを感じることも泣くこともできなかった。
頭では嬉しくて、嬉しくて、嬉しいどころの話じゃなくて、ただただ夢のようでした。

私はすぐにカウンセラーに電話して受かったことを伝えました。
彼女は悲鳴を上げ、掠れ声で、、泣いていました。
私の代わりに喜び、泣いてくれました。
彼女と二人三脚でここまできました。

そして私の10年ぶりの就職活動は幸運にも1ヶ月で終了し、ギリギリ家を借りるまでに3ヶ月前からの収入が必要という条件を満たせることになったのでした。

でもこれで終わりではありませんでした。
この後、就職よりもさらに大きな試練がやってくるのでした。

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