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短編小説集

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3秒で書いて3秒で読めると評判の脳を無にして書いた「無脳シリーズ」をまとめたよ!
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かぷかぷドラマ 第17話走れディオニス後書き。

かぷかぷドラマ 第17話走れディオニス後書き。

反骨と調和

何もかもが馬鹿馬鹿しい。
タバコを吸い、自分の周りの人間や自分にすら馬鹿馬鹿しさを感じながらも、どこかで自分を肯定し、周囲と自分を割り切れないでいる。くだらないことで喧嘩を売って、損な役回りを強いられ、ここまでされておいてそいつらに自分の価値を委ねている自分自身が、馬鹿馬鹿しい。
馬鹿は元々だが、馬鹿でも賢いということがある。馬鹿に見せておいて、結局得を取り、プライドがな

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かぷかぷドラマ17話 走れ、ディオニス

かぷかぷドラマ17話 走れ、ディオニス

みなこ≪上野で飲んでる。もう酔っちゃった~~!!!! 世界なんてマジ滅んでしまえ!!!!!!れ!≫
みなこ≪{画像を送信しました}≫

 たっちゃんとの十一か月記念日。わざと男の子と肩を組んで、自分から写真を撮っている画像を送りつけてやった。

タツト≪なにこれ 楽しそう≫

でもたっちゃんは、まったく嫉妬のかけらもしてくれない。
みんなの前なのに、ちゃんと楽しそうにしなきゃいけないのに、脳

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ぐるぐるドラマ「無脳シリーズ」16話〜テルコのお尻〜

ぐるぐるドラマ「無脳シリーズ」16話〜テルコのお尻〜

今回は星のお話です。

今日は水曜日。テルコは学校に行きたくない。朝ごはんは食べない。ボサボサのボブヘアーを解くか解くまいか、10分ほど悩む。
冷たいミルクに口をつけるが、はたして、これを飲むことにより今日一日腹痛に悩まされるのではないか。と、変な不安が居心地悪そうに脳内を歩き回る。結局ミルクは飲まず、トイレにも行けずに家を出る。

学校に着くと、まずは除光液をロッカーから取り出し、机の落

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ガタゴトドラマ「無脳シリーズ」第15話〜まあどうでもいんですけどね。〜

ガタゴトドラマ「無脳シリーズ」第15話〜まあどうでもいんですけどね。〜

投稿頻度あげるとは言ったものの、こんなに早く書くとは思いませんでした。本筋の夜行性OLもちゃんと執筆しています!!

揺れる電車。アサは頑なに吊革に掴まり続ける。似合わないスーツが体のラインからぼやけて、しゅわしゅわ溶けていきそうな錯覚を覚える。吊革に掴まり続けるのは、まだ大学時代にしがみついていたいという現れなのかもしれない。

大学時代、彼女はアサと同じキャメルを吸いながら、「でもね、

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ぶらぶらドラマ「無脳シリーズ」第14話〜ビールとマフラーと寒波、また、古着屋。〜

お久しぶりです!現在タバコをやめているので、たぶん文章が錯乱しています!!また更新頻度高めっぞ!!!

終わらせ方がわからなかった。適当に右手を振って、持ってた缶ビールの残りがピチャピチャ鳴って、それに気づいた君は、一瞬だけとても悲しい顔をして、俺の方へは振り返らなかった。

大阪。心斎橋の、アメ村食堂の向かいの古着屋で、色付きの丸メガネを見ていた。入った瞬間から古着屋特有のツンとした匂い

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ドキドキドラマ「無脳シリーズ」第13話〜彼の毒と私の恋〜

ドキドキドラマ「無脳シリーズ」第13話〜彼の毒と私の恋〜

こんにちは。朝比奈です。メッロメロで、キュンキュンです。それ以上でもそれ以下でもありません。でも、死ぬほど切ないです。恋って死ぬほど辛いですよね。

彼は致死の毒を持っている。一昨日デートした時だって、私が彼を好きにさせるはずだったのに、彼にもっと好きにさせられた。こうして、一人ワンルームでぼーっとしていると、胸が苦しくて苦しくて、張り裂けそうで、今にも泣き出してしまいそうなほどには、彼の毒に

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夕立ちドラマ「無脳シリーズ」第12話〜嗚呼〜

夕立ちドラマ「無脳シリーズ」第12話〜嗚呼〜

無能シリーズも12話を迎え、久しぶりに酒を飲まずに書きました。枇杷の木と男の物語です。

そういえば、うちの庭の枇杷の木が、ぽってりとした黄色い実をつけました。もう、そのような季節なのでしょうか。ついこの間、初夏を迎えて、爽やかな青空と積乱雲が、まるでクリームソーダみたいだなんて、二人で言い合い笑い合っていたのを思い出します。
メイドの竹さんが、今年で66歳を迎えました。緑寿です。彼女はい

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ぼんやりドラマ「無脳シリーズ」第11話〜あはは、さむっ。〜

ぼんやりドラマ「無脳シリーズ」第11話〜あはは、さむっ。〜

すみません。泥酔状態で書きました。今回の無能シリーズ、女の子の思い出話となっております。暑い夏。まだまだこれからの夏。たまにはこういうのもいいんじゃないでしょうか。


今日は寒い。日本は最低気温を更新したらしい。ただコンビニに行くだけなのに、化粧をバッチリ決めて、もこもこ緑のマフラーを巻いて、家を出る。人は気温が下がると、人肌恋しくなるなんていう迷信が蔓延っているが、それはあながち間違っ

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さわやかドラマ「無脳シリーズ」第10話〜夏の表紙〜

さわやかドラマ「無脳シリーズ」第10話〜夏の表紙〜

3秒で書いて3秒で読めると話題の無脳シリーズ。今回は、昔の恋が忘れられない女の子が図書館に行く話です。

アミはよく、街の高台にある図書館に向かう。住宅街から坂を上がると、中くらいの公園があって、カラフルな丸いジャングルジムから、子供たちの声が聞こえる。アミは、上水沿いの小道を選んで、正解だったな。と、はにかんだ。もう少し行くと、狭い並木道。若草色の葉っぱから、木漏れ日が降り注ぐ。アミはこの道

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ぷかぷかドラマ「無脳シリーズ」第9話〜りこのおしっこ。〜

ぷかぷかドラマ「無脳シリーズ」第9話〜りこのおしっこ。〜

3秒で書いて3秒で読めると話題のドラマ「無脳シリーズ」。今回は女の子とお風呂のお話です。18歳未満は変な性癖がつく可能性があるので慎重に読んでください。

りこはお風呂でおしっこをする。お湯を止め、湯船に浸かった瞬間、今までこれっぽっちも無かった尿意が、一気にりこの頭を支配する。脳みその鎖を解いてやると、ジュワッと、黄色い粒子が扇状に広がり、「これがアンモニアか」と、気づいた時には、溶けてなく

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きらきらドラマ「無脳シリーズ」第8話〜アノマロカリス〜

きらきらドラマ「無脳シリーズ」第8話〜アノマロカリス〜

3秒で書いて3秒で読めると話題の無能シリーズ。今回は深海に魅せられた女の子と、男の子のお話です。

ミルは幼い頃、よく研究室に出入りしていたらしい。彼女は、アノマロカリスが好きだった。
「私のね!私の将来の夢は、お嫁さんになることと、しんかいせーぶつがくしゃになること!」
そう言っていたらしい。
彼女が、今のようになってしまったのは、小学生の頃のいじめが原因だった。
ランドセルに、

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ふんわりドラマ「無脳シリーズ」第7話〜朝の下駄箱から。〜

ふんわりドラマ「無脳シリーズ」第7話〜朝の下駄箱から。〜

3秒で書いて3秒で読めると話題の無脳シリーズ。今回は中学生男子の恋のお話です。

「ユウサク、おはよう!」
おれを下の名前で呼ぶ女子は、ミズミだけだ。おれがたまに陸上部の朝練に行くと、下駄箱で出会う。
ミズミはいつも、そのときは、吹奏楽部の大きなカバンを持っている。
「うん。」
チラ、とミズミを横目に見て、決して「おはよう」とは返さない。それは恥ずかしいからじゃない。そのままおれは

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パチパチドラマ「無脳シリーズ」第6話〜DAY DREAM〜

パチパチドラマ「無脳シリーズ」第6話〜DAY DREAM〜

3秒で書いて3秒で読めると話題の無脳シリーズ。6話目はバンドマンの彼女と彼氏のお話です。

「今日もみんな来てくれてありがとう……!!このままわたしたちと一緒に!!武道館まで来てくれるかあああああ!!!」
マチの声は、俺の心臓まで轟き、そして、握りつぶした。
観客たちは皆、涙しながら、一斉に声を上げ、手を高く突き出す。
俺は……。
「次が最後の曲!」
じゃあ、俺は……。
「DAY

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なつかしドラマ「無脳シリーズ」第五話〜ペイブメントは、夜更の通り雨。〜

なつかしドラマ「無脳シリーズ」第五話〜ペイブメントは、夜更の通り雨。〜

「ユウサク、おはよう!」おれを下の名前で呼ぶ女子は、ミズミだけだ。おれがたまに陸上部の朝練に行くと、下駄箱で出会う。ミズミはいつも、そのときは、吹奏楽部の大きなカバンを持っている。「うん。」
チラ、とミズミを横目に見て、決して「おはよう」とは返さない。それは恥ずかしいからじゃない。そのままおれは校庭に駆け出す。

「ユウサク、今日はコンビニ寄って帰ろうぜ。」「あー、いいよ。」
もう冬だ

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