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きらきらドラマ「無脳シリーズ」第8話〜アノマロカリス〜

  3秒で書いて3秒で読めると話題の無能シリーズ。今回は深海に魅せられた女の子と、男の子のお話です。

  ミルは幼い頃、よく研究室に出入りしていたらしい。彼女は、アノマロカリスが好きだった。
「私のね!私の将来の夢は、お嫁さんになることと、しんかいせーぶつがくしゃになること!」
そう言っていたらしい。
  彼女が、今のようになってしまったのは、小学生の頃のいじめが原因だった。
  ランドセルに、アノマロカリスのキーホルダーをつけており、からかわれた。彼女のそばかすも、それの一因になったらしい。
  また、水泳の授業の時、彼女から少し、"出て"しまったらしい。

「ゆうすけ、雨の日にタバコを吸うと、まるで海中にいるみたいね。」
  雨の日は、学校の屋上で、彼女とタバコを吸う。それは決まりごとだ。
「ミル、きみの身体はみんなと違うし、もうタバコは控えた方がいいんじゃないか?」
「大丈夫。  大丈夫って、この子たちが言ってる。」
  ミルの体には、ミトコンドリアのような、海洋微生物の集合体が5匹いる。その子たちは、ミルが水に触れると、出てくる。
「まぁ、どうでもいいけど。」
「それより、明日海に行かない?」
「でもまだ6月だよ。」
「いいの。この子たちが、遊びたがってる。」
  そう言うとミルは立ち上がり、屋上の蛇口をひねる。腕をまくり水に濡らすと、ミルの身体から、水色、朱色、薄紫色の、海洋微生物たちが伸びてくる。
「綺麗だね。」
「ありがとう。」

  ミルのバッグには、アノマロカリスはついていない。

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