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#戦争
映画 『マリウポリの20日間』 : 事実をして語らしめる、 結果としてのプロパガンダ映画
映画評:ミスティスラフ・チェルノフ監督『マリウポリの20日間』 (2023年・ウクライナ映画)
「第96回 アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作」である。
だからこそ、終わりの見えない「ウクライナ戦争」に、いささか倦み疲れてきた私たちの間でさえ、話題にもなり得た作品だ。
だが、「アカデミー賞」が、アメリカ映画界の賞だということを意識した人が、いったいどれだけいただろうか?
例えば、カンヌ映
論文紹介 戦争において国家は敵国とどのように外交を進めるのか?
戦争は他の手段をもって行われる政治的交渉の継続であるといわれていますが、実際に交戦国がどのような交渉を行っているのかを体系的に調査することは難しい状況が続いてきました。戦時中の交渉行動は興味深い研究テーマであり、理論的な分析は行われてきましたが、実証的な分析を進めるためのデータが欠けていました。
Eric Min氏の「戦いながらも、話し続ける:戦時交渉の役割を理解する(Talking While
「この戦争を知りたければ、ウクライナを知れ」 監修新著『美しきウクライナ』の紹介
露宇戦争全面侵略局面が始まって、日本ではウクライナに対する関心が爆発的に生じた。無理もないことで、2014年のクリミア・ドンバス侵略・占領を発端とする開戦後も、日本の多くの人にとってはウクライナは引き続き「よくわからない国」のままだったからだ。多くの専門家が過去1年にわたり、戦争の推移、侵略の犠牲者、地政学的文脈やら機甲やら長射程やらの兵器、あるいは時にはウクライナ人の今の不安や望みについて語って
もっとみるウクライナ人の目の前で「戦争は絶対悪」を説く違和感
先日、NHKの報道特集において、ある高校生が主催した「ウクライナの学生と戦争を無くすための議論をしようぜ」的な趣旨のイベントが紹介された。
特集の中で紹介されていたのはそのごく一部であったため、全体としてどのような議論が交わされたのかは分からないものの、その切り出された質疑の一部分がひどく違和感を覚えるものだった。
質問者は、どういう神経で同世代のウクライナ人を目の前にしてその質問をぶつけたのか