安房直子

結局おとなにできることは、手段を伝えることだけなんだと思う

絵本のを会を開催する時、必ず持って行く絵本があります。
『はるかぜのたいこ』。いつも必ず読むわけではないけれど、子どもたちが充分に絵本の世界を満喫して、大人たちもちょっと落ち着いて聴けそうかな、という状況になった時に、「大人のかたに味わってもらいたい本」として読む、私の定番。

さむくて さむくて たまらない うさぎのために、くまのがっきやさんが、楽器を使って、あたたかくなる方法を教えてくれます。

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今日も嬉しい気持ちでいられますように。
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失われた羽を求めるように─さすらい駅わすれもの室「もう片方の靴」

もしも、おとぎ話の主人公がわすれもの室にやって来るとしたら。

2018年の秋、音楽と言葉の朗読ユニット「音due. 」の5th Live「Classical Stories」に書き下ろし作品を2つ寄せた。

ひとつはお菓子の家の前で「赤ずきん」のオオカミと「白雪姫」の王妃が出会う「音due.の森のヘンゼルとグレーテル」。

もうひとつは、「さすらい駅わすれもの室」の新作。若い女性が靴を探しにやっ

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ありがとうございます。末広がりなワンカルビをどうぞ。
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心の傘を開いて─さすらい駅わすれもの室「雨傘の花畑」

「傘と心は開いたときが一番役に立つ」は、今井雅子の2本目の映画脚本作品、『風の絨毯』のプロデューサー・益田祐美子さんが英会話のレッスンで出会った例文"The umbrella and the mind work best when open“を日本語にしたものだ。

初めての映画プロデュースでいきなりの日本イラン合作。戸惑うことだらけの益田さんを大いに励ましたこの言葉は、のちにわたしの講演の常連に

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最初から完璧なものなんて─さすらい駅わすれもの室「幸運のクローバー」

子どもの頃から幸せのハードルは低いほうだった。喘息持ちだったので、発作が出ると、咳で背中が割れそうになるし、お医者さんにぶっとい注射を打たれる。普通に息ができるだけで幸せだった。

高校生のとき、同級生のことも文房具も何でもかんでも「可愛い」とほめていたら、「あんたの可愛いはあてにならへん」と呆れられた。「おめでたすぎる」とも言われた。

幸せのハードルが低いということは、その分、守備範囲が広い、

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ありがとうございます。アップルパイにはアイスを添える派です。
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「ライラック通りのぼうし屋」

小学校の図書室で、何度も借りた本。
図書室のどの辺りにあったかも、
初めて手に取った時のことも覚えている。

何を借りようかと、部屋の中をぐるっと
本棚に並んだ本の背表紙を眺め歩いていた時に、
目に留まった「ライラック通り」の文字。

低学年のコーナーにあったけれど、
「ライラック通り」という言葉の響きに
心惹かれ、手に取った。

「ライラック」とは花の名前であることがすぐに分かった。
とても淡く

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ありがとうございます☆
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王さまの本棚 40冊目

『銀のくじゃく』

安房直子作/赤星亮衛絵/ちくま文庫

学生時代、本屋でバイトをしていました。地元駅前のショッピングモールに入っている、普通のチェーン系中型本屋。
というわけで、学生にしちゃ生意気にも、古本にはちょっと抵抗がありました。だって作者に印税入らないじゃない。図書館をちょくちょく利用していたので、まあ、まあ、もう、一緒なのですが。知った口きいてすみません、北欧のどこかの国が「図書館で本

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【かんたんエルフ語】ハンノンレ(ありがとう)
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なくしたのは魂だった─さすらい駅わすれもの室「まいごの音符たち」

noteで公開中の掌編シリーズ「さすらい駅わすれもの室」春色3部作。「世界にたったひとつの帽子」「指輪の春」に続いて、最後の一篇は「まいごの音符たち」。まずは本文を。

今井雅子作 さすらい駅わすれもの室「まいごの音符たち」さすらい駅の片隅に、ひっそりと佇む、わすれもの室。そこがわたしの仕事場です。 ここでは、ありとあらゆるわすれものが、持ち主が現れるのを待っています。 

傘も鞄も百円で買える時

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時が運んでくれる再会─さすらい駅わすれもの室「指輪の春」

春は「思い出しもの」の季節

葉がすべて落ち、枯れてしまったかと思った桃の木が蕾をつけ、次々と花開いた。

なんだ、眠っていただけだったんだ。

ベランダの隅に置いたザルの中では、チューリップの球根からニョキニョキと芽が出ていた。昨年の春、イベント会場を彩るはずだったのが行き場をなくしたチューリップを富山から迎えた。花が終わった球根を土から掘り出し、暖かくなったら植えようと思いつつ忘れてしまってい

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ありがとうございます。カフェオレどうぞ。
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本のこと。…児童書編

夢は図書館の本をぜーんぶ読むことでした。こんにちはりちゃんでございます。

実際作者名「あ」から読み漁ってた時もあったくらい笑。それはそれはワクワクしたもので。

今でも本屋さんとか行くと読みたい本が沢山見つかりすぎて目移りしすぎて混乱してくる。ああ、全部読めないなんて…と謎に落ち込むことすらある。どんどんどんどん、新しい本が発売されていくことに焦りを感じてみたり。

さてさて。

今回はお気に入

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[天声人語]ー2021年2月28日ー

カレーを一口なめただけで、スパイスの種類や量をぴたりと言い当てられる人はいるだろうか。「しょうがにニンニク、シナモン、クローブ.....」。安房直子さんの童話『まほうをかけられた舌』の主人公、洋吉にならできる。
地下室に住むこびとが舌に木の葉を乗せ、呪文を唱えて魔法をかけた。この舌があれば、高級レストランの自慢料理もたちだころに再現できる。すごい、私も欲しいと、幼いころに夢中で読んだ。
そんな記憶

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