脚本家・今井雅子(clubhouse朗読 #膝枕リレー)

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脚本家・今井雅子(clubhouse朗読 #膝枕リレー)

clubhouseでの朗読どうぞ作品の他メディアでの使用についてはご相談ください。著作権法では「非営利・無料・無報酬での上演について作品の使用許諾は不要」となっていますが、コメントにてお知らせいただけるとありがたいです。 https://lit.link/masakoimai

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最近の記事

誰かが誰かのアシカになれたら

7月20日(土)、脚本を書いたFMシアター「アシカを待つあした」が放送された。 このnoteを書いているのは放送後。 でも、大丈夫。聴き逃し配信がある。 逃してしまった人も、もう一度聴きたい人も、らじるらじるでどうぞ。7/27(土)22:50まで。 聴き逃し配信がなかった頃は、聴けるチャンスは一回きりだった。今は何回でも聴いてもらえる。いい時代になった。 放送後、名作noteをたくさん書かれているかわい いねこさんが感想をつぶやかれているのを見つけた。 《誰かが誰か

    • 「世にも奇妙な物語」に選ばれなかった物語

      そのクッキーを見るたび、ニマニマしている。 文庫本を開いたサイズの平たいクッキーに「HAPPY BIRTHDAY ひざまくらちゃん」とアイシングでメッセージが書かれている。 メッセージのまわりを色とりどりの花やハートやリボンや風船が音符が取り囲み、オレンジの風船には「3」、黄色の風船には「さい」の文字が躍る。 「ひざまくらちゃん3歳」のお祝いのクッキーだ。 3歳をお祝いして「なよたけでひざまくら」「ひざまくらちゃん」とは短編小説「膝枕」に登場する箱入り娘膝枕のこと。

      • 『九十歳。何がめでたい』をめでられてめでたい

        映画『九十歳。何がめでたい』を観てきた。 監督は、わたしの映画脚本デビュー作『パコダテ人』の前田哲さん。函館港イルミナシオン映画祭に応募した原稿を見つけてくれ、表紙にあった電話番号にかけてくれ、映画化までこぎつけてくれ、いろんな人につなげてくれた。 音楽は『嘘八百』シリーズの富貴晴美さん。出会ったときから巨匠の仕事ぶりだけど素顔の天然っぷりとのギャップが最高。会うとたくさん笑わせてくれ、本人もケラケラとよく笑う。 企画・プロデューサーは『子ぎつねヘレン』で出会った石塚慶

        • その鳥の名は、本といいます。

          物を手放すより、その存在を忘れているほうが罪は深い。ということに気づかせてくれた『人生がときめく片づけの魔法』をバイブルに家の中の地層を掘り返す作業を続けていたある日、昔使っていた手帳が発掘された。 ルーズリーフ形式のものがバラバラになっていた。いつ書いたか思い出せないどころか、書いたことすら忘れていたメモが地層から引っ張り出された。 一枚、また一枚。 どれも悪筆の走り書きで読みづらい。その一枚の解読を試みた。 最後の2行「book どこにでもとんでいける」から、カン

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        • 「膝枕リレー」楽屋
          38本
        • 短編小説「膝枕」と派生作品
          238本
        • 日本語という天才と遊ぶ
          27本
        • みんなのバリアフリー
          13本
        • Clubhouseでの朗読どうぞ
          32本
        • 入社試験もコンクールのうち
          13本

        記事

          かがみ人間との遭遇─「かがみの世界」3

          小学6年生のとき授業中にせっせと書いていた小説「かがみの世界」の大学ノートを掘り起こした(経緯はこちら)。その文字起こし。第1章、第2章に続いて、第3章。表記の誤りなどは後ろでツッコミを入れます。 今井雅子作「かがみの世界」3気がつくと、そこは冷たい、いすの上だった。 まわりがいやに、さわがしい。見るとピカッと反射するものがあちこちから、目をおさえつける。さすがは、ゆう子である。それが、かがみであるということを、とっさに感じ取った。 「気が付きましたようですな。かがみ女

          かがみ人間との遭遇─「かがみの世界」3

          かがみが深呼吸したら─「かがみの世界」2

          小学6年生のとき授業中にせっせと書いていた小説「かがみの世界」の大学ノートを掘り起こした(経緯はこちら)。その文字起こし、第2章(第1章はこちら)。表記の誤りなどは後ろでツッコミを入れます。 今井雅子作「かがみの世界」2事件がおこった。 それは、木の葉が残り少なくなった寒い日。夕方になって、とつぜん、かがみに呼び出しが来たのである。 話によれば、「冬になると、命をしまっておかないといけないというのに、数が足らない。おまえが命を持っているなら、すぐ返しに来てほしい。」とい

          かがみが深呼吸したら─「かがみの世界」2

          成り上がりパート主婦noteの後日談

          2020年8月、「マツコの知らない世界」に出演する野望を叶えた友人・小早川愛さんのことをnoteに書いた。 時は流れ、愛さんは流されることなく進み続け、2024年7月5日、Eテレの「あしたも晴れ!人生レシピ」に出演。 見逃し配信は7月12日20:44まで。再放送は7月11日。成り上がり主婦noteを訪ねてくれる人も増えるかも。と読み返したところ、 長い! 元々1万字超えだったところに後日談が加わり、膨れ上がっている。 ということで後日談を切り離し、こちらに。 タイ

          成り上がりパート主婦noteの後日談

          変な少女と不幸なかがみ─「かがみの世界」1

          小学6年生のとき授業中にせっせと書いていた小説のことを思い出し、noteに書いた矢先、実家で大学ノートを発掘した。 その経緯はこちらに。 タイトルは「かがみの世界」。 全部で13章あり、なかなかボリューミーなので少しずつ文字起こしを公開することに。表記の誤りなどは後ろでツッコミを入れます。 今井雅子作「かがみの世界」1とにかく、ゆう子ほど、かがみを見るのが好きな子はいなかった。なにしろ、学校から帰ると、本当なら、 「ただ今」と、言うところを、この子ときたら、かがみの前

          変な少女と不幸なかがみ─「かがみの世界」1

          念ずれば何とやら─43年前の授業中に書いた「かがみの世界」発掘

          あるもののことを考えていたら、そのものが現れる。 ということがよく起こる。 遭遇確率が跳ね上がるからくりは単純で、「アンテナを張るようになるから、引っかかりやすくなる」のだが、待ち受けていたかのようなタイミングに運命めいたものを感じてしまう。 「あの原稿」があった先日、「元の世界に戻れないかもしれない」というnoteを公開した。 noteを書いていて、小学生の頃に書いた「元の世界に戻れないかもしれない」話のことを思い出した。 「あの原稿は今もあるだろうか」 そのn

          念ずれば何とやら─43年前の授業中に書いた「かがみの世界」発掘

          月を想う膝─「なよ竹膝のかぐや姫」

          こちらのnoteで公開している作品は、2021年5月31日から朗読と二次創作のリレー(通称「膝枕リレー」)が続いている短編小説「膝枕」の派生作品です。 2024年6月24日、「なよたけでひざまくら」会で膝開き(初演)できるよう書き下ろし、上演後にnoteを公開しました。 今井雅子作「膝枕」外伝「なよ竹膝のかぐや姫」今は昔、竹取の翁という男がいた。野山に分け入って竹を取るのを生業にしていた。一日の仕事を終え、妻に膝枕をされるのが翁の楽しみだった。 ある日、いつもの山で翁は

          月を想う膝─「なよ竹膝のかぐや姫」

          元の世界に戻れないかもしれない

          5月のある日、赤い薔薇が咲き乱れる薔薇園に行った。 赤い薔薇ばかり見て、赤い薔薇の香りばかり嗅いでいたら、無性に他の色の薔薇を見たくなった。ピザをお腹いっぱい食べたらラザニアやニョッキが食べたくなってしまうように。 明くる日、古河庭園に行った。数十年前に一度訪ねたきりだ。 望み通り、色とりどりの薔薇が咲いていた。 薔薇の色がふえた庭は、人もふえていた。 薔薇と人でにぎわう区画を離れ、階段を下りると、人がどんどん減った。どこかに続く小道がのびている。ベンチで語らうカッ

          起立と規律─「全員、孤立!」

          今井雅子作「全員、孤立!」チャイムの音。 日直「孤立、礼、着席」 山田「日直の人、いま、孤立って言った? 言ったよね? 起立じゃなくて孤立って。あれ? シカト? もしもーし、日直さーん?」 日直「孤立と言いました」 山田「わざと?」 日直「は?」 山田「わざとボケたの? 起立じゃなくて孤立って」 日直「だから、孤立と言いました!」 山田「言ったよね。それはわかってる。なんで孤立?」 日直「先生、転校生の山田君が孤立してません」 山田「え?」 先生「転校生の山田君、どうして

          「空虚」と「虚空」の空しくも虚しくない関係

          2年前の春、2022年3月20日に「空虚をひっく返すと虚空」みたいな言葉をTwitterで募集した。 集まったものをざっくり分類したものの、わざわざ公開することもないか、と下書きに放り込んだまま2年あまり。 先日公開した「印度象と印象度」のnoteを面白がってもらえたので、こちらも出してみることに。 熟成すること2年あまり。ウィスキーか! 変身アクロバティック年中 中年 所長 長所 会社 社会 見立 立見 色物 物色 中心 心中 日中 中日 本日 日本 象印 印象 人

          「空虚」と「虚空」の空しくも虚しくない関係

          いかにもがさつな感じの水

          「コップちょうだい」とダンナが手を伸ばしてきたので、ささっと洗ったコップを手渡すと、「水が残ってる!」と騒がれた。わたしがきちんと水を切っていなかったせいだけど、そこまで目くじら立てなくても……。 ダンナは「いかにもがさつな感じの水が残っている」とのたまい、「今のって、詩みたい」と付け足した。 「いかにもがさつな感じの水」が詩なのか?  この人にとっての詩の基準って、詩のイメージって、どうなっているのだろう。 会食の席で海老が出たというので「海老がどうなってたの?」と

          返事町の住人

          少し前のnote「ぜんぜん血糊なくてごめん」に誤変換のことを書いたとき、過去の自分のツイートで「誤変換」を検索したら、「返事町」という言葉が目に留まった。 青い鳥がいなくなるずっと前のTwitterで、ある脚本家さんがつぶやいたのだった。《返事町だとお風呂にも入れない》と。 返事町 「返事待ち」の誤変換で偶然生まれた言葉。初めて目にしたみたいにキュンとした。「へんじまち」の響きがかわいい。「返事町」の字ヅラがかわいい。絵本に出てきそうな名前。「待ち」が「町」になると時間

          ジョンと男と女と誰か

          青い鳥のいなくなったTwitterで見つけた英文法クイズに「chatGPTも間違った問題を君は解ける?」と挑発された。 組合の著作権ワーキンググループ担当になって以来、AIの勉強会にちょくちょく参加しているので、「chatGPTも間違った問題を君は解ける?」と言われたら身を乗り出してしまう。 どれどれ見せてもらおうか。 who was there 3連発以下の英文を訳してくださいという問題。 John told the man who asked the woman