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安房直子「もぐらのほったふかい井戸」小川未明「野ばら」太宰治「待つ」を語りました。

2022716日八王子の喫茶馬天使にて、秋元紀子ひとり語りのライブをやりました。

馬天使の空間は、声が良く響く。

晴れ女の力で、雨もちょいとやみ、心配していた集客も思いがけずお客様に恵まれ、一安心。

日頃からあたためてきた物語を聴いていただきました。

最初は、小川未明「野ばら」
100年前に書かれたこの話が、今のこのご時世に物申すとは、、、

国境に1人ずつ老人の兵士と青年の兵士がいて、敵味方ながら仲良くなる。野ばらの匂い、集まるミツバチの羽音、遠い山並み、太陽、湧き出でる清水、囀る小鳥。その中にいて、2人は仲良く将棋をさす。

しかし、この2つの国に戦争が始まる。

老人の兵士は、私の首を持っていけば出世が出来るから、自分を殺せと青年の兵士に言う。

「どうして、私とあなたとが敵どうしでしょう。私の敵はほかになければなりません」と言って、青年の兵士は去る。

居残った老人の兵士は、青年の兵士の身を案じていたが、やがて旅人から、青年の兵士の国は負けて、兵士は全員殺されたことを聞く。

老人の兵士は、うたた寝の中で青年の兵士に会う。
そして、、、

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今年は、この作品をたくさん語るつもりです。

この後、723日秋元紀子朗読教室の発表会

923日は宇都宮市東生涯学習センターのホールで語ることが決まっています。

が、まだまだ機会があれば、語り、多くの人たちと共有したいと思います。
ぜひ、呼んで下さい。

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2つめは、太宰治「待つ」
戦争の最中、買い物帰りに駅のベンチに腰掛け、何かを待っている二十歳の女性の話。

私は、何を待っているのでしょう。と何度も繰り返していますが、最後にその答えを言っていると私は解釈します。

ま、人それぞれの解釈があるとは思いますが、が、太宰は女性をこういう風にみているのね、とちょっとひっかかりますねー。

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少し休憩を入れてからの、発声のレッスン。
口の周りの筋肉、舌の動き方、ノドのゆるめ方などをマスクの中で試してもらいました。


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最後は、安房直子「もぐらのほったふかい井戸」を聴いてもらいました。

子供だったもぐらのモグ吉は、拾った銀貨で地主さんから土地を買い、1人で苦労して井戸を掘ります。

やっと井戸を完成させ、青年になったモグ吉は、井戸水一杯で銀貨1枚の商売を始める。

商売は繁盛し、穴あき銀貨をあけびのつるに通して、首にぶら下げ、日に日に重くなっていく。

いく年も過ぎたころ、字の読めない子ねずみが、銀貨1枚を知らないで井戸水を頼む。

銀貨の代わりに、井戸水を汲む手伝いを3日間することに。

そして、その3日の間に子ねずみが井戸の中に雲や月や星を発見する。

「ぼく、わかった。おじさんの井戸の中には、空があるんだよ。」

下は地球のしんまで、上はお星さまにとどくまで自分の土地だと思っていたモグ吉は、驚きます。

自分のものではない、だれか知らない大きなー地主さんなんかよりももっと大きな持ち主のものなのだと。

が、それを振り切るようにして叫び、井戸の中に身を乗り出したとたん、落ちてしまいます。

「おれは、たいへんな思い違いをしてたんだ。そして思い違いをしたまんま、つまらないことをたくさんしていたんだ、、、。」

と、悟るのでした。

あゝ、誰かさんもお願いだから、気づいて欲しい!!

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