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ウィーンと私

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ウィーンに住んでいたときの気持ち
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#音楽家

画家 Hirooki Hatori に出会って

画家 Hirooki Hatori に出会って

「これ、プレゼントです。」

正体不明の初対面の男の子から渡された絵には、演奏中の私の姿。

自己紹介よりも先に、彼の絵を見て、“あ、きっといい人だ”と確信した。

芸術には垣根がない。
素晴らしさを分かち合い、すぐに打ち解けられるときは、芸術に携わる分野の人間でよかったと思える瞬間である。

2019年の夏、私はウィーンで最後の演奏を済ませて、コンサートを聴きに来てくれた友人たちと外で飲

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誰かが決めた世界一の価値とは?

誰かが決めた世界一の価値とは?

音楽の世界は競争社会だ。

オーディションやコンクールなどでふるいにかけられてその時の1位を決める。

もちろん、審査員も人間なので公平の名の下に私情が入ることも少なくはないだろう。

日本のとある国民的アイドルがかつて歌っていた、1番じゃなくても誰かの特別なオンリーワンになればいいんだという類のフレーズがあるが、それだけでは腑に落ちない小学生時代を送っていた。

中学生になってからコンクールやオ

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どこにいても同じこの状況を逆手に取る

どこにいても同じこの状況を逆手に取る

ウィーンからの完全帰国を決めたのは昨年7月。

本来なら9月からドイツに住もうと計画を立てていた。約束は1年だったが、2年目までいようと思っていた。

でも夏に参加したい音楽祭が2つあり、費用もかかること、また私がウィーンが大嫌いになり精神的に疲れ切ってしまったこと、ドイツに1年住むにしてもめんどくさい書類の手続きもあり生活に慣れるのに時間がかかること、新天地で1年なんてできることが限られ

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