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【短編小説】永遠

出会い

幼稚園の同級生。

君とはそんなありふれた出会いだった。

君は僕の家から歩いて7分くらいのところに住んでいて、
幼稚園生の僕からすると近所と言っていいのかわからないけど、
2回ほど近所の君の家に遊びに行ったね。
男の子と女の子で何をして遊んだのだろう?
今となってはあまり覚えていないけども、かくれんぼでもしたのかな。

・・・

小学校に入ると君とはめっきり会話することもなくなって、登下校でたまに見かけるくらいだった。

田舎で2クラスしかない小学校だったから、きっと同じクラスになったこともあると思うんだけども、6年間ほとんど会話した記憶がない。

僕が病気がちで、生きるのに必死だったからかもしれないね。

同級生の中華料理店で卒業式の打ち上げをやったときに、
君が僕を見ている写真があったんだけども、よそ見してただけだよね。

給食の牛乳

中学校に入ると、2年生の頃に君と一緒のクラスになった。
君は牛乳が苦手って言って、給食の牛乳を毎回僕に飲ませていたね。
そのおかげで18cmも身長が伸びました。ありがとう。

クラスの席替えの時は、いつも僕より後ろの席を所望して、くじが外れると
毎回僕と交換して、僕より後ろの席を確保する筋金入りのヤンキーだったね。
・・・ヤンキーは嘘です。僕は先生の話が聴きやすいから前の方が良かったんだけども。前にいる僕とかで黒板が見えにくくなるんじゃないかな?って少し気にしてたんだよ。だから僕は授業が終わるとすぐ席を立って黒板を写せるようにしてたんだけども気づいたかな?
本当は教室に戻るときに君を見たいから席を立ってた。というのは今だから白状する。

僕と言えば、やっぱり病気がちで何日か学校を休むことがあって、試験前に君がノートを貸してくれたことは本当に感謝してる。読みやすい字で綺麗にまとめてあったね。

中学校3年になると部活動も終わって暇になる(受験は?)から、授業が終わると帰宅途中に道草して、いつも男友達の恋愛相談を聞いていた。相談と言っても僕には経験がないから、知ったかぶりでアドバイスというか相槌あいづちうつくらいで、たわいもない会話をしていた。
本当は君が親友の子と一緒に帰るのを知っていたから、それを横目で見ていたのは僕だけの秘密。今だったら帰宅経路で待ち伏せってことになるのかな・・・危ない危ない。

2月、中学卒業間際のバレンタインデー。
僕は初めて女の子からチョコレートを貰った。クラスの僕のロッカーにそれは置いてあった。でも差出人の名前は無かった。
メッセージカードが入っていて「本命です。お返しは要りません。」とだけ書かれていた。

確証はなかったけども君からだと思った。だってノートと同じ、読みやすいあの字だったから。
でも僕には勇気がなくて、何も出来ずじまいだった。

高校受験も終わり、君とは進路が分かれて別々の高校に行くことになったね。
入学前の春休み。突然、君の親友から電話があって僕は初めて告白された。
君は何か知ってたの?
僕は君の親友に「友達から」というズルい回答をして。結局、高校にあがると自然消滅で、どちらともなく電話も会話もすることが無くなった。

・・・

君は高校に入って、風のうわさで彼氏ができたと聞いた。
僕と言えば男友達と青春を謳歌おうかして、スケボーやったり、お泊り会やったり、桃鉄ももてつやったりバカばかりやってた。告白は何回かされたけども、遊ぶのが楽しかったのか彼女は居なかった。

そんな僕だけども要領が良かったのか県外の有名な大学に合格した。一応滑り止めで防〇大学校にも合格していたのだけども、母親からの強い反対で辞退した。まぁ病弱な僕が卒業できるとは思えなかったのだろう。

大学入学前の春休み。引っ越し直前に一人暮らしをするための携帯電話を親に買ってもらった。

それで、僕は勇気を出して君に電話した。
君はこころよく会ってくれた。
君に会うと開口一番、今は彼氏が居ることを教えてくれた。
僕は「わかった。ごめんね、会ってくれてありがとう。」
そんな、感謝とも恨みとも知らない複雑な感情を押し殺し言葉を吐いた。
その後、急に君が謝ってきたから、なんとか平静を装って短い時間だったけども昔話ができた。
楽しかった。

君は記念だからと、当時流行りだしていたプリント倶楽部(プリクラ)を撮ろうと言ってきて。一枚だけ、僕と君の初めての思い出ができた。
こんなに君が近くに感じられるなんて、それが永遠に続いて欲しい。
そんな一瞬だった。

・・・

別れ

大学に入ると、僕は一人暮らしで不摂生ふせっせいたたったのか、急に病気が悪化し入退院を繰り返すようになった。
大学も休みがちになったので、2年生から休学することにした。
もうその頃は、退院がめっきりなくなってずっと入院をしていた。
何度か携帯電話で君に連絡しようとしたんだけども、毎回直前まで悩んで止めた。病気のことを話したくなかった。

家にも帰れないから、恥ずかしかったけど母に君とのプリクラを持ってきて欲しいとお願いした。
母が持ってきてくれたプリクラは感熱紙の質が悪かったのか、ほとんど真っ白な紙切れに変わっていた。

このプリクラで僕は君を感じていたのに。苦しくても君との思い出にすがっていたのに。
僕には何もなくなっていた。
僕はもう君には会えないと思った。永遠にずっと。

・・・

もう僕はこの世には居ないけども、君には幸せになってほしい。

・・・

あぁ思い出した。
幼稚園生のころ君の家で遊んだ時に僕が言ったんだ。

「僕とずっと一緒に居てほしい。」







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【メッセージ】
最後までお読みいただき感謝いたします。

拙い文章ですが、ロジカルな文章よりも感情を揺さぶるような文章を書きたいと思っています。
これからも、是非ともよろしくお願いいたします。
余韻のために最後は1ページ程度の空白を置いています。何か感じていただければと。
今日は楽しかった、悲しかった、悔しかった、嬉しかったなど、そういう感情が動く体験は、
記憶され、そして未来の判断になんらかの影響を与えると思います。そうだといいな。

【プロフィール】
2児の父です。 駄文・乱文ですみませんが、普通の人生を記していきます。コッソリと・・・ 
凡人なので、フォロバ100です。人としては、フォローされるよりフォローできる人間でありたい。 
頑張ってスキ1000回目指しますので、是非ともスキしてみてください。
ちなみに自己紹介にスキはフォローOKと受け止めます。 
あと、noteにも感謝です。
見出しの写真やイラストはnoteユーザー様のを使わせて頂いています。こちらも感謝いたします。



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