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"巨大てるてる坊主"を吊るして、ライブステージングの概念を変えちゃおうぜ!【ネガティブリアクションズ②】

頭がおかしくなっていくのがわかる。"精神病、引きこもり、女装者の気持ちに立って曲を作っていこう"
そこに"シュールレアリスムとは名ばかりの、無意識、超現実、暴力、狂気"を用いて。

そんな目的でドラムとギターの2人組バンドを組んだ。
名前は"ネガティブリアクションズ"


2005年3~4月。

"少し悲しいけれど、俺たちフィリピンには撒かれていない枯れ葉剤たちだろ?(仮)"

という名前で活動するつもりが、あまりの長さから、周りに"フィリピン"と呼ばれてしまう。

前売りチケットの印字も"フィリピン"に。

俺たちの表現が一気にバナナに寄ってしまいそうだった。
このままじゃ、お笑いコミカルバンドになってしまう...


ここまでが前回のお話。

今回は、結成後2回目のライブに至るまでをお届けする。
俺たちが世界を変えるしかないんだ。

ファーストライブに向けて

前述した"フィリピン"名義でのファーストライブ。

前身バンドであるジャイアントジャンカーの頃から出演していたライブハウス アメ村新神楽 にデモ音源(もしかしたらドラムの鼻でか君による電話連絡だけかも?)を渡して、出演日が2005年4月に決まった。

ライブハウスによるブッキングイベントで、対バンは大学生のコピーバンドばかりらしい。

面白いじゃないか!
俺たちも大学生だ。そしてクソ童貞だ。

持ってる曲は充分に完成していた。

世界にPUNKソングは多くあるし、2人組バンドも多くあるだろう。
そのまま演奏するのもつまらないし...

よし!この俺らが、見たことのないようなステージングをしてやろうじゃないか。

ファーストライブに向けて②

ステージングについて考える上で、まず俺たちが2人組だというところに注目した。

ギターとドラムと、2人の獣のような叫び声。
ベースアンプの前だけ、ガラガラに空いている。

舞台の真ん中にギターが立ち、ドラムの前を塞いでしまうようにはしたくない。
でも一般的な、真ん中にドラム、ギターを上手にすると、下手だけ空いてるのが気になる。

ベースアンプの前に何か置いてみようと考えた。
ある程度、候補を練って、ドラムの鼻でか君にどれがいいか聞いていく。

「例えば猫ちゃん100匹置くっていうのは...?マイク立ててニャーニャー入ったら良くない?」

「いや、集められないし糞尿問題で賠償金払わなあかんくなりそうやん」


鼻でか君は冷静だ。

「客席にまで延ばした流しそうめん装置は...?そこにマイク立ててリバーブかけて、すごい音で包まれた中で食べようや!」

「いやいや、水を使うのは電気関係の多い場所では賠償金に繋がるやん。衛生的にもアウトやし」

なんやねん!賠償金って。
ぶっ壊して払ってもおもろいやんけ!

とも思うが、そこまでやるのは大切な機会に取っておくか。

「じゃあ巨大てるてる坊主を吊るすのは...?当日めっちゃ雨でもおもろいし」

「おっ!ええやん」

「テーマは心の奥の奥。その思考の行き着く先は自殺だろうし。メンバーがリアルタイムで死んでいってる光景っていうのと」

「うん」

「メンバー募集中っていうのと、単純な空間埋めと」

「うんうん」

「中から猫ちゃん100匹出てくる可能性も残しておけるし。一匹だけワンチャンいても面白くない?」

「どうやって集めんねんな。町中でももう見かけへんやん。巨大てるてる坊主はいけそうやし面白いな。やってみよう」

こうして、ライブ中に巨大てるてる坊主を吊るすことに。

今思えば、"心が晴れることを願って"くらいの意味合いでもいけたな...笑


巨大てるてる坊主・制作

てるてる坊主を作ったことのない画伯ちゃん。

布地を買って、中に紙を包めば作れるのかな?と考え、今は亡き阪急庄内ダイエーの1階にあった布地専門店へ。

店員さんに、巨大てるてる坊主を...と伝え、俺ら2人を包み込めるくらいの白布を選んでもらい購入した。

それからライブの小道具や衣装製作で何度かお世話になったが、バンドマンがああいうお店へ買い付けに行くの不思議だっただろうな。

演劇している学生の人だと最初は勘違いされていた。


一旦お互い自宅に戻り、持てる限りの新聞紙を自転車のカゴに入れ、ガムテープも持って再集合した。

作っていくうちに、"最後の数周はフワフワなまま包むと、それらしく仕上がる"ことに気づき、素晴らしい出来の巨大てるてる坊主が完成した。

中に人が入っていてもおかしくない、猫ちゃんが100匹出てくるかもしれない不気味さも抱えたレベルのモノができて、2人は大満足だった。

ファーストライブ

ギター、ドラム、それに関する小物。
今まではそれで良かった持ち物に、大量の小物と、巨大てるてる坊主が加わった。

電車に乗るときも、緊張したな。
でも不安で電車が怖い画伯ちゃんには良かった。

大量の荷物があることで、"理由"ができ、その緊張によって、いつもの不安は薄れていたから。

初ライブくらいちゃんとしようと思い、新神楽のスタッフ、対バンに軽いお辞儀で挨拶を済ませ、対バンのリハを見てその日の雰囲気を悟った。

お...俺たち...やりすぎたかもしんない...


リハーサルではPAさんに「本番では、マイクスタンド1個多めに使いますね」とだけ言い、ぶっつけ本番で巨大てるてる坊主を吊るす流れに。

ただ、どの大学生のコピーバンドよりも早い、1番目の出順だったから、リハ終わりにせっせと2人で舞台に巨大てるてる坊主を設置していた。

フロアには誰もいなかった。

マイクスタンド1個では、巨大てるてる坊主がうまく設置できず首は折れきったまま。
まぁ仕方ないか、と諦めライブの時間まで楽屋で瞑想。

スタッフに呼ばれ、自分たちが登場するSEが流れ、フィリピン名義の初ライブが始まった。
舞台に向かうと、コピーバンドの出演者であろう大学生たちがたくさんいた。

そして舞台の上のてるてる坊主を、ずっと修正してくれていた。

いいヤツらじゃん。ぶっ飛ばしてやる。

テンションが上がりすぎて、1ストローク目でギターのチューニングが狂った。
ドラムは叫び倒してビートが突き進んでいく。

"チューニングも、自分のことを考える思考も捨てなきゃな"

スイッチを入れたそこからは記憶があやふやで、データも完璧には残ってなくて確認できなかった。

ライブ終わりに

曲にならない曲を。
音楽を用いた表現を、舞台に置いた。

今でも漂ってるだろう。
あんなに強い思念。

最後まで観ずに全員フロアから消えていくと思った大学生たちは、思いのほか最後まで見てくれていた。

「面白かったです!オリジナルですか?」

「...はい」

そういってスイッチが入ったままの画伯ちゃんは、ブチ切れた雰囲気で答えてしまった。

話しかけてくれた人が、めちゃくちゃいい人そうだったから、ここは優しく返答したほうが良かったな...

あれは申し訳なかった。
あそこは優しく抱き寄せてキスして、ありがとねって伝えれば良かった。

若すぎたな。

2回目のライブ決定(メロディックパンクな夜)

そんな初ライブの精算時。
スタッフさんに次のライブをブッキングしてもらった。

このことで、人生が大きく変わることになる。


「メロディック系が多い日だよ〜」

とだけ聞き、

ドラムの鼻でか君は、後日受け取った前売りチケットを見て、他のバンドをチェックしていた。

彼の行動力、予習復習、コミュ力が異様に上がってきていた。初めて出会った頃は独り言を話して、みんなから気味悪がられたのに


当時は、インディーズバンドのCD-Rを取り扱うレコード屋さんが多くあった。そこで100~500円ほどで売られていたので、だいたいのバンドの音源が手に入る状況だった。

まだインターネットはそこまで普及していない。mixiも出来立てで招待制だった頃。


何バンドかの音源をチェックして、わかりやすくメロディックパンクをやってる日っぽいな当日は...と読み取った。

そして初ライブからのテコ入れで、狂気なステージングに、少し面白さを足そうという話になった。

巨大てるてる坊主を改造し、わざわざスタジオに持っていきどう設置するか思案する1日を乗り越えたり...

ライブ中はなるべく音を止めずにいこう!と言うと、鼻でか君は画伯ちゃんのチューニング中も、ずっとドラムを叩いてくれていた。

そうやって、いろんなことで時間を使ううちに...

"あれっ?俺たちってPUNKバンドだったっけ?"

とてつもない疑問が自分の中に生まれてきた。

ちゃんとしたコンセプトや、意味を持たずに進行すると、何をしているのかわからなくなっていった。

でも、2人の爆笑ポイントは、だいぶ合致するようになっていく。


そんな瞬間が好きだったのかもな。
俺たちに固定のお客さんや、仲のいいバンド友達もいなかったし。

舞台や状況を利用した、俺らなりの青春作り。
学校にも家庭にも理解者はいなかったし。

PUNKバンドではなく、同じ笑いに向かって突き進んでいた2人組だったのかもしれない。

全ての用意を終え、2回目のライブ当日

人生で1番の荷物量だった。

とうとうドラムの鼻でか君は、ガラガラを使い始め、画伯ちゃんも自転車の後ろに大量の荷物を載せ、ゴム紐で固定していた。

どんな大人数のバンドマンよりも、楽屋に荷物が多かった。


リハに進むと、初ライブと同じPAさんで安心できた。
もう音楽性、ステージング、小物の用意まで把握してくれていた。


「クラッシュシンバル1台使わず、巨大てるてる坊主用に使っていいですか?」

「ええよ〜!またやるんや笑」

初ライブ以降、このPAさんはずっと俺らを好いてくれていた。
リハーサルも本番もずっと笑って見てくれていた。

他のバンドさんの前では怖いし、あまり笑わないらしいのに。

この時から現在まで"PAさんは笑顔になっているか?"がライブのウケの確認としての、1つの目安になっていた。

荷物の多い俺たちに、メロディックパンクバンドたちは冷ややかな目をしていたように思う。
そして俺ら以外が、全員仲良しだという事実。

楽屋で瞑想できず、タバコを吸いながらタバコを吸うフリをしていた。


ライブが始まるまで、あともう少し。


これから、いろんなことが巻き起こっていくことを、まだ画伯ちゃんは知らなかった...


次回、この日のライブ模様の動画をnoteでお届けしたいと思う。

2005年5月4日のライブ編へ

つづく

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https://heavyendies.bandcamp.com/album/menbo

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note文末

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