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心うたれたnote

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言葉にできないほど好きな文だったり、ためになったり、助けられたり。そんなnoteを集めています。
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記事一覧

死に損なった家族について

死に損なった家族について

 姉が、死に損なった。
 私は、「ちゃんと死ねたら良かったのにね」と思った。

 「死に損なう」なんて、家族である私が使う表現としてあまりにも薄情に映るんだろうか。死にたくて死にたくてしょうがなかった世界に、姉は無理やり連れ戻されて、重い障害を背負い自我をなくし、もう自分で死ぬことも叶わなくなってしまった。

 自死について、なんで世の中では悪いことみたいな共通認識になっているのか、理解できなくな

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KAZENONE BOOKの週報(3/23~3/31)

KAZENONE BOOKの週報(3/23~3/31)

3月23日から始めた、間借り本屋「KAZENONE BOOK」。詳細はぜひこちらの記事をご覧ください。

オープンしてから8日ほどの営業日を過ごしただけなのですが、控えめに言って、控えめに言って、ものすっっっっっごく楽しいです。

楽しすぎて、5月末に終えるのが悲しい。きっとそれ以降は私、抜け殻になってしまうだろうなあと今から思うくらい。

始める前は「大好きな本が嫌いになったらどうしよう」「お店

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小さな取次の口座を持つ――新品の本を仕入れる5つの方法(2)

小さな取次の口座を持つ――新品の本を仕入れる5つの方法(2)

別冊 本の仕入れ方大全 2(2)

中小取次の多様性と仲間卸 大取次の口座を持つためには、それなりの売上を見込むと同時に、保証のハードルを越えなければならない。とはいえ、大きな取次と契約ができなければ、出版流通に乗っている新品の本を扱えないかといえば、必ずしもそうではない。中小取次という選択肢がある。

 大取次と中小取次の違いは、もちろん会社としての規模の違いでもある。だがそれ以前に、そもそも役

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ラジオって素晴らしい!

ラジオって素晴らしい!

5月はラジオをたくさん聴いた月だった。

4月後半から始まった「ふらりとこたつーの聴いてよラジオ」がラジオを聴き始めるきっかけになった。

そこから「ぼっち・ざ・らじお!」「ずっと真夜中でいいのに。の真夜中放送局〜過眠〜」
「はーい!鈴代です! 今行きまーす!」という風に数を増やしていった。

ずとまよさんのラジオは特番的な形だと思うが、その他のラジオは毎週、隔週配信なので一週間の中で楽しみが増え

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大切なことを大切にしたい。そしてnoteオンライン雑談会終わりました〜

大切なことを大切にしたい。そしてnoteオンライン雑談会終わりました〜

大切にしたいことはなんですか?

そんな問いをテーマに始まった「noteオンライン雑談会」。
(テーマについてゆる〜くZoomでお話しする交流会です)

今回の参加者は、Sarahさん、笠井さん、Takakiさんのお三方でした。

みなさん「海外」が共通しており、好奇心旺盛な方々です。

どこか似た雰囲気を持ちつつも、話してみると各々の個性がキラリと光っていました。

大切にしたいことを中心に話つ

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SNSで繰り広げられるお金の話を好きになれない理由

SNSで繰り広げられるお金の話を好きになれない理由

SNSでお金の話をすると嫌われるとよく耳にする。過去にライターさんを採用する立場になったときに、SNSでお金の話をする人は省きましょうという話になった。お金の話をする人はお金の問題によって離れていくがその人たちの持論だった。お金の話はしてもいいし、するべきだと思うが、その場所はSNSではないと考えている。

かつて自身にも未払い問題で悩む時期があった。何もなす術がなくなったときに知り合いに相談する

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諸行無常とマイブーム。

諸行無常とマイブーム。

中学時代、まったく古文に熱心な生徒ではなかった。

それでも平家物語で知った「諸行無常」と「盛者必衰」というふたつのことばは、なんだかやけに耳に残り、心に残っていた。意味なんて、ほんとうのところではまるでわかっていない。お勉強として暗記した辞書的な「正解」を知っているだけで、腹のところでどっしりわかるには、中学生の自分はあまりに若すぎた。

数年前に、四六時中考えていたこと。十年前に、これは自分の

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私もまた、言葉に救われている。

私もまた、言葉に救われている。

まだまだ私は言葉を舐めていた。乾いた土に雨水がぐんぐん染み込んでいくように、私の心は言葉のあたたかさに満ちていく。

たかが人間の、意思疎通を図るために生み出された言葉。単なる言語。なのに私たちはどうして、そこに言葉を超えた意味を見出し、心に広げていけるのだろう。

こうして文章を公開するようになって、3年が経つ。3年もいると素晴らしい出会いもあれば、まあ苦々しい別れだってあった。だけどこんなに続

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皐月まうワールドの魅力に引き込まれて

皐月まうワールドの魅力に引き込まれて

心の調子が悪くなってから本を読むことが難しくなった。文字を追うことはできるがなかなか頭に入ってこない状況が続いていたが、先月は久しぶりに本を楽しんで読むことができた。

それが嬉しくてたくさんの本を読んでいた。だんだん良くなってきたぞと思っていた矢先にまた本を読むことが難しくなった。

文字を追ってそこに書いてあることを頭の中で思い浮かべることが難しくて、できたとしてもとてもエネルギーを費やすこと

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そこに正解はいらないのだ。

そこに正解はいらないのだ。

「女性は『答え』を求めているのではなく、共感を求めているのです」

男性読者向けの恋愛指南やコミュニケーション術系の本に、よく書かれる話だ。たとえば女性が、風邪を引いたかもしれないと訴えてくる。そこで男性は「この薬、けっこう効くよ」と風邪薬を手渡す。違うのだ、と指南本は言う。女性はそういう問題解決の答えを求めているのではなく、「大丈夫?」のひと言がほしいのだと。

男女を問わずそれはそうだろうなあ

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「人生の記念品」から「誰かのための本」へ

「人生の記念品」から「誰かのための本」へ

エッセイ集の自費出版に向けて動こうと思いながらも、毎日の「やらなければならないこと」をなんとかこなすことで精一杯。それすらままならず、何も進まない日々が続いていた。
これではいけないなと感じ始めていた時、ある出版社のワークショップが大阪で開催されることを知った。自分で本を出したい人がどうやって出版までこぎつけるのか、企画書の書き方から出版までのノウハウを教えてくれるという。
どんなもんかなとも思っ

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朝ごはんはメロンパン【短編小説】

朝ごはんはメロンパン【短編小説】

あとはそこから身を投げ出すだけでよかった。終わりにするために。でもやめにした。理由は自分でもよく分からない。あえて理由を挙げるとするならば気持ちの変化だろう。こうやって私は終わりにできないまま時間と共にこの先も過ごしていくのだろう。

冷たい風が色鮮やかなドレスを身にまとった木の葉を揺らす。どのくらいの時間が経ったのだろうか。朝からずっとここに座っている。あとは身を投げ出すだけでいいのに。それで終

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公園とキャッチボール。

公園とキャッチボール。

犬の散歩で公園に行くと、キャッチボールする人らをよく見かける。

元野球部っぽい人らは、一瞬でそれとわかるほどキャッチボールがうまい。どこに投げられても平然と手を伸ばし、見事ボールをキャッチする。いや、当たり前のようにやっているけれど、あれってほとんど曲芸ですよ。なんてことを野球素人のぼくは思う。手を伸ばす位置、手首の微妙な角度、グローブを開いて掴むタイミング、あんなふうには取れないもん。

キャ

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