hiroyuki

初めまして。パステル画を描いたり、詩を紡いだり、短歌を詠んだり…。なんかもうふらふらと…

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初めまして。パステル画を描いたり、詩を紡いだり、短歌を詠んだり…。なんかもうふらふらと、いろんなことをしている人です。本業はシナリオライターです。地方でのんびり暮らしてます。noteでは主にエッセイや詩を載せています。

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  • 【短編】右腕(全5回)

    短編小説「右腕」を集めました。

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私の作品紹介「紫陽花」

 これは僕の描いたパステル画である。  その中でも出来のよいものの一つで、お客さんが本来買う予定だった絵のほかに「これもいいね」といって買っていってくれた。  自分でも気に入っている。  題材は「紫陽花(アジサイ)」。  つまり梅雨時期に描いた絵なのだけれど、もう梅雨も終わりに近づこうとしているころだった。  僕はよく散歩する。  その散歩道で見つけたこれは、ガードレールの向こうにあった。梅雨が終わりに近づいていたから、他の紫陽花は少し枯れていた。それでもこの紫陽花は、異彩を

    • 【詩】ロビン

      その猫はいつも、ボンネットにいた 誰のものにもならない猫だった 決まって同じ車の、同じボンネットで寝ていた 暑い日は、姿を見ない きょろきょろ辺りを見回すと、 車体の下で寝転がっていた 一瞬、死体のようにも見える ぱちりと目を開けた瞬間、生きているとわかる 猫は涼しいところを知っているらしい どうしてなんだろう 僕はそいつをひそかに〈ロビン〉と呼んだ ロビンは白黒の猫だった 鼻が黒くて、目の周りが白かった 黄色い瞳が日陰でいつも輝いていた 彼はいつも何か警戒していた 僕が近

      • 【詩】彼女の庭

        彼女の庭は 誰にも見つかることなく そこにありました 誰にも奪われることを 望んでいませんでした 一生懸命 つくられた庭 彼女の手が 一つ一つをいつくしみます 一つ一つを育てあげていきます すべてが調和しています みごとに融合しています 庭は生み出され 一つも欠けてはなりません どれだけの年月がかかったでしょう 尋ねてみると 彼女ははにかみます 〈大したことはないのよ〉 口にするほど たやすいことはありません 庭はまるで 芸術品のようでした 触れてはならない 展示品を思

        • 【詩】レモネード

          レモネード 本や映画でしか聞いたことがない その響きが大好きだった いつか自分でも レモネードを飲んでみたい 子供ながらにそう思っていた でも いざ行動に移してみる気はなかった 僕の知っているレモネードは 本や映画の中にしか存在しない ネットで作り方を知っても 古びたアパートで作ったレモネードは 決して美味しくないだろう 少なくとも 僕の知っているあの味に とうてい及ぶべくもないとわかっていた だから作らない レモネードはずっと 本や映画の中だけにある 外国の子どもたち

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        私の作品紹介「紫陽花」

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        記事

          【詩】夏の海

          夏の海が 僕らを呼んでいる さざ波が 小さく揺れている けっしてうるさくはない 緩やかに寄せて返す波は 心に染みこんでくるみたいな音だ その音に、耳を傾ける 涙のようにも 歓喜のようにも うらみごとのようにも 僕の耳には聞こえてくる 砂浜を歩くときの足音は 波の音と共鳴し合って 消えたり浮かんだりする 暑くて、熱くてたまらない 素足でなんて歩けるわけがない サンダル越しの音は なんて味気ない音なんだろう 僕は日陰へと逃げて 素足でひんやりとした砂浜を踏みしめた し

          【詩】夏の海

          【詩】ビデオテープ

          ビデオテープを回す きゅるきゅるという音が 実家のリビングに響く 私は、 昔見たアニメのビデオが 歪んでいるのを その古いビデオの画面で 発見する ビデオは、 実家の倉庫から発掘されたもので、 私の記憶にはない。 しかし、確かにそれには使い込まれた跡があって、 後ろには、 ビックリマンシールが貼られていた。 貴重な、 スーパーゼウスのシールだった。 私たちは、 何の価値もわからないまま、 そこにぺたりと 貼りつけてしまったに違いない。 しかし今思えば それこそが、 そ

          【詩】ビデオテープ

          【詩】陶器

          あの陶器の 触れたときの質感が、 私は好きである。 重みのある感触。 ざらっとした表面。 滑らかなところと、そうでないところが、 均一ではなくて、不揃いなところが好きである。 誰かが手で捻った歪な形が、 陶器のあちこちに、残っている。 それはみすぼらしくはなく むしろ誇らしいとすら、 私には思える。 一つ、一つ。 丁寧に。 その人は、これを捻ったのであろう。 ぐにゃり、ぐにり、ぐにゅり。 水と、粘土と、体温が、土に含まれていく。 そして黒塗りは、焼いたあとにでも、描いたのか。

          【詩】陶器

          【詩】見えずとも

          見えずとも その手に触れるぬくもりと、 引っぱってくれる力が たのもしく感じられる それは暗闇に差す 一筋の光である 同時に、 ごくわずかな彼女の意思を 無視するものでもある 彼女には、 行きたい場所があって その手は、導いてくれる 引っぱってくれる誰かがいるのは 安心するものだ 一人で暗闇を やみくもに歩く心配はないから 不安と恐怖は 安心と保身の隣り合わせだ もっと引っぱってほしい そう願うほどに、力は弱くなっていく やがて彼女は 一人で歩かなくてはならないだろ

          【詩】見えずとも

          【詩】赤い髪(色褪せた)の男の子

          男の子はきっと 何か急ぐ用事があったに違いない 赤く染めた髪は ピンク色に色褪せていた まるで彼の青春が 少しずつ色を変えていったかのように 僕の前を通り過ぎていって 自転車のカゴには 黒いスポーツバッグを乗せている その端っこから 何か赤いものが見え隠れしていた まったくもって赤いままに 鮮やかに僕の目を 捕らえて離さなかった 彼の目が見ているのは 緑の点滅する信号機だった 今すぐ 急がなければ 横断歩道は渡れなくなる 赤へと変わってしまう前に 彼は横断歩道を渡りき

          【詩】赤い髪(色褪せた)の男の子

          机と椅子の新調/情報との付き合い方

          普段、座椅子を使っていたんですけど、ここ最近は腰のこととか気になりまして、椅子と机を新調しようかと考えています。正確には、椅子はもうすでにあるわけでして、机を買おうというわけですね。 というわけで、ニトリへ行って参りまして、いろんな机を見てきました。正直言って、机や椅子は買ってみないとわからないところもあります。店頭では良い感じに見えても、いざ自分の部屋へ置いてみると、ミスマッチだったり…。こうなると買い物には慎重にならざる得ません。今はYouTubeやネットで色んな情報が

          机と椅子の新調/情報との付き合い方

          感情と思考と行動を結ぶ線

           生活というのは、なんでしょうか? こういうとき、辞書というのは便利です。いつでも調べることができます。少なくとも、大学やら言語学の専門家やら、様々な偉い大人の人たちが知恵と知識を集合させて、完成させた見解を。  辞書によると、「生活」とはこうありました。  これは今回の意図に沿ったものだけを、提示しています。他にも生命活動としての意味や、家計のみに焦点を合わせた意味がありますが、今回は省かせていただきます。  要するに生活とは「考え、行動すること」だと言えるでしょう。しか

          感情と思考と行動を結ぶ線

          昔好きだったもの

           時間を持てあます時というのが、人生には何度もある。そういう、退屈というのか、暇というのか、空白の時間。それはそれで大切なものだ。けど、そういうとき、何かもっと良い過ごし方はないかと、僕らは自分の身の回りを探してしまう。  ふと、小さい頃を思い出した。最近はあまり観なくなっていたけど、子供のときは、アニメや漫画が大好きだった。今でも好きだと思う。でも、あのときのように、無邪気には楽しめなくなっていた。  なにか観るときは、前評判や、それを観たときに得られるものを気にしてしまう

          昔好きだったもの

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          花を描くの好きだなぁ

          花を描くの好きだなぁ

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          【詩】向かい合わせ

          お互いの 顔が向かい合わせ 歩く二人は いつも男女の様相を そのまま表している にもかかわらず 今日の二人は 険悪なまま にこやかにもなれず 会話は交わさず 歩き続ける それでも お互いの顔をちらちらと 見つめては 何か言いたげに 口を開きかけて 閉じるのを 繰り返している 空気はそのままに いつもの日課を 二人は続けてゆく

          【詩】向かい合わせ

          【詩】鍵のある部屋

          なぜ鍵をつけて 閉じこもらなければならないのか なぜ誰にも見られず 呟き続けなければならないのか ひと目に晒されるのが怖い バカにされるのが怖い 他人の気持ちを知るのが怖い 「わかっているよ」と表明されるのが怖い だから 吐き出す場所がほしいだけ 誰にも見られず 誰にも知られず ただ自分だけの フィールドが欲しかった それなのに 心は首をもたげてきて もしかしたら誰かに称賛されるかもって いつもささやいてくる それはアクマなのか テンシなのか 私にはわからない ずっと

          【詩】鍵のある部屋

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          なにげない日々の幸せ

          なにげない日々の幸せ

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