#掌編小説
SS『街路樹と換気扇』
空回りする換気扇を眺めていた。風に吹かれて回るだけの存在はもう何十年もそこにいるらしい。粉のような雪が申し訳程度に降っている。久しぶりにここら辺で降ってみようか、なんて思っているかのように少しずつ、微かに舞っている。
雀が小さな鉢に植えられたというのに大きく育ってしまった何らかの木に留まった。私にとってそれがなんの木であるかは関係ない。ただ、そこには木があって、窮屈そうに生えているのが心地
空回りする換気扇を眺めていた。風に吹かれて回るだけの存在はもう何十年もそこにいるらしい。粉のような雪が申し訳程度に降っている。久しぶりにここら辺で降ってみようか、なんて思っているかのように少しずつ、微かに舞っている。
雀が小さな鉢に植えられたというのに大きく育ってしまった何らかの木に留まった。私にとってそれがなんの木であるかは関係ない。ただ、そこには木があって、窮屈そうに生えているのが心地