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言葉の罠にハマってしまった
突然ですが……。
私は作文を書くのがとても好きだったんです。小学校の時から。
でも、別に国語が好きだったとかではなくて、むしろ算数の計算のほうが好きでした。本の音読とか緊張するし、大嫌いで手を挙げるなんてもってのほか。何が嬉しくて、みんなの前で大きな声で本を読み上げるのか不思議で仕方なかったです。(大勢の前でスピーチするのが好きな人がいましたら、すいません)
ですが、作文の時間だけは楽しかった
短編小説(3)モバイルバッテリー
「まただ」
気がつくと、73%。私のスマホはすぐに充電が減る。まだ使い始めて、1年も経っていないというのに。機種変更するにはまだ1年以上残っている。食堂でランチを食べながら「うー」と言葉にならない感情がそのまま口から出てしまう。
「よ!」
カレーライスの皿が乗ったお盆を持ちながら、翔吾が私を見つけて近づいてきた。スマホを見つめて眉間にシワを寄せた私が気になったようだ。
「なんかあったの
短編小説(2)不思議
今年も今日という日を迎えた。生まれてきたことを感謝する日。世間では、それを「誕生日」と呼ぶ。
「おめでとうございます」
ネット上でもこの日を祝う言葉が飛ぶ。顔も性別も分からない文字だけの世界で、まさに文字だけが流れていく。僕が生まれた頃はお父さんもお母さんもこんなお祝いの形を想像できなかっただろう。きっと、それは時代の流れなのだ。そう考えると、不思議だと思うが、現実世界に一つ目を向ければ、