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詩・小説

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長い話はあまりないので、ぜひさかのぼって読んでみてくださいね。
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記事一覧

【 #詩 】年上の本

【 #詩 】年上の本

知らぬ時代の空気を纏う
年上の本が大好きだ

幾星霜もの時を超え
カビやホコリにまみれても
大切にされてきたそれは
わたしよりずっと物知りで
褪せぬことばを紡ぎだす

手に馴染む優しい肌の一頁
めくると彼の日の世界が広がる

【 #詩 #散文詩 】軽く薄く鋭い言葉

【 #詩 #散文詩 】軽く薄く鋭い言葉

薄っぺらいコピー用紙で怪我をするように
軽薄な言葉もひとを鋭く抉ることがある
──なんでそんな話を信じたの
──きっと当たり所が悪かった

こころの隙間に入り込んでくる
それはそれは軽く薄く鋭い言葉
──いつの間にか蝕まれているんだ
──あまりにも軽くて気づかなかった

傷口から生命が吸い取られてゆく
──はやく取り除いてお仕舞いなさい

──もうこれは私の一部
──痛みを感じるあいだだけ
──少

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【 #詩 #散文詩 】泥濘のなかで

【 #詩 #散文詩 】泥濘のなかで

※「自動記述」の手法によって編んだ詩です。仮名から漢字への変換、明らかな文法間違いの修正など、原文より調整を行っています。解読不能な箇所がある場合も、可読部位を文字に起こして投稿します。

泥濘のなかで永い永い時を微睡んだ。
目を覚ましたとき世界は大きくその姿を変えていた。
昼と夜は切り離され、秩序はふたつに分けられている。
魚は地を這い、空を泳ぎ、泥を飲んでいる。
ふたつの日常が、私の頭のなかを

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【 #詩 】死と生と、昼と夜

【 #詩 】死と生と、昼と夜

死に籠絡されて
ついぞ還ってこなかった人たちがいる
死の淵に身を投げるのは
かくも魅力的なことなのだろうか

彼らの夜はもう明けない
しかし本来昼と夜とに境目はないのだから
死と生も
実はほとんど差異のない現象なのではないか

もしそうなのだとしたら
昼の世界に
白昼夢のような生の世界に身を投じれば
案外心地良い死が訪れるのかもしれない
人びとよ
喜んで生に拐かされよ

「死と生と」は私の好きな絵

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【 #詩 #散文詩 】王の勅命

【 #詩 #散文詩 】王の勅命

※「自動記述」の手法によって編んだ詩です。仮名から漢字への変換、明らかな文法間違いの修正など、原文より調整を行っています。解読不能な箇所がある場合も、可読部位を文字に起こして投稿します。

街角には海藻が生えていて、寄る辺ないものたちはそれに絡まって孤独を埋めている。魚の顔をした人たちが闊歩する昼下がり、交差点を歩く鳩たちはやや足早に見える。あちらの御仁には珊瑚が刺さっているようだと思いつつ、人に

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【 #小説 #散文 】掌編小説 筋の通らない話が好きな変わり者たち

【 #小説 #散文 】掌編小説 筋の通らない話が好きな変わり者たち

※「自動記述」の手法によって編んだ物語です。仮名から漢字への変換、明らかな文法間違いの修正など、原文より調整を行っています。解読不能な箇所がある場合も、可読部位を文字に起こして投稿します。

Ⅰ 明かりがともることはもうないのだろうか。夜の帳が降りたあと、ホテルのバルコニーから眺めた景色は、昼が世界を支配していた。鳥は貝に姿を変え、死の予兆すら感じ取ることはできない。まるで明日葉の香りが脳内を満た

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【 #詩 #散文詩 】断章 かたち

【 #詩 #散文詩 】断章 かたち

 ⁂
それはつねにかたちを求めていた。鳥、牛、耳、虫、どんなものでもいい。姿を、かたちを心の底から欲していた。しかしついぞそれを手に入れることはできなかった。

 ⁂

ちからなく、かたちなくうなだれる世界は、偏光により3つに分かれた。昼と夜はかたちを取り戻しつつある。

 ⁂

見てみるがよい。この神々しい姿を、愛らしい猫を、苦しむ塑像を。見てみるがよい。魚が飛ぶ姿を、石が話す様子を、手がかじか

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【 #詩 】太陽を求めていた

【 #詩 】太陽を求めていた

ずっと太陽を求めていた
迷えるわたしを導く陽を
熱情を奮い立たせる緋を
新しきあすが訪れる日を

ずっと太陽を求めていた
裁きを受けるに能う非を
わたしの足跡を遺す碑を
全てを燃やし尽くす火を

【 #詩 #散文詩 】陽気な殺害予告─熱中症にはお気をつけて─

【 #詩 #散文詩 】陽気な殺害予告─熱中症にはお気をつけて─

耐えがたく暑いことを「殺人的な暑さ」ということがある。
しかし私はこれを「陽気な殺害予告」と呼びたい。
酷暑は太陽からのDierect mailだ。
書簡が届いたら、迷わず冷房をかけよう。

かくいう私も本日6月13日、2024年になって初めてエアコンの冷房をオンにしました。万が一入院することになったら、電気代よりはるかに高い代金を支払うことになります。どうか熱中症にはくれぐれもお気をつけください

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【 #詩 】断章 本を読む、詩を編む

【 #詩 】断章 本を読む、詩を編む

 ⁂

閉じた本はとても愛おしい
艶やかなカバーに包まれて
また触れられるのを待っている

 ⁂
まだ読み手はやってこない
しおりを挟んだその先には
知らない物語が待っている

 ⁂
ページをめくるとあの日の記憶が
香りとなって立ち昇る
まるで思い出の押し花だ 

 ⁂
古本はよいものだ
手放した誰かに寄り添った
優しいいのちを宿している

 ⁂

ギザギザぶちの本たちも
きっと生まれたときよりは

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【 #詩 】美しいものは

【 #詩 】美しいものは

美しいものは鼓動を打ち続ける
美しいものは歴史を刻み続ける
美しいものはいまを生き続ける

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ロベール・ドローネー《パリ市》(1912)
@京都市京セラ美術館「キュビスム展─美の革命」

【 #詩 】現れよ、現れよ

【 #詩 】現れよ、現れよ

現れよ、現れよ
救いの神よ
我に傅く悪魔よ
花束を両手に持った異形よ
おお、泣かないでおくれ
斜陽に身を焼かれたとしても
みな笑っておくれ

※「自動記述」の手法によって編んだ詩です。仮名から漢字への変換、明らかな文法間違いの修正など、原文より調整を行っています。解読不能な箇所がある場合も、可読部位を文字に起こして投稿します。

【原文】