コンサベーション・インターナショナル・ジャパン

国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)のジャパンチームです🌱 10…

コンサベーション・インターナショナル・ジャパン

国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)のジャパンチームです🌱 100以上の国と地域で「自然を守ることは、人間を守ること。」を合言葉に、自然の保全を通じた持続可能な社会作りを進めています。 www.conservation.org/japan

記事一覧

アマゾンの熱帯雨林へ行った時のこと

コンサベーション・インターナショナル・ジャパン テクニカル・ディレクター 浦口あや CIに入って14年が経ちました。その間、観光旅行では行くことのできない、さまざまな…

世界海洋デー:海を守る新たな道筋

世界中の生命の源であり、原動力でもある海。 海は私たちに食べ物をもたらし、気候を調節し、経済を支えています。しかし、前例のない熱波や持続的ではない沿岸開発、乱獲…

<保全ニュース>南米ペルー 、新たな保護区の設置で息を吹き返す重要な漁場

漁業はペルーの生活の一部です。 ペルーで消費される魚のうち、3分の2は南米有数の漁場であるマル・トロピカル・デ・グラウ(the Mar Tropical de Grau)で獲れています。こ…

気候変動についてどのように子供に話すべきか

気候変動が加速している今、子供たちが地球がどのような影響を受けていて、自分たちが気候変動に対して何ができるのか学ぶことはとても重要です。しかし、このような複雑で…

女性のためのサステナブルビジネス ~ミツバチと共に~

勤勉なミツバチは、自然界の「欠かせない働き手」です。 ミツバチの受粉活動は、生態系や食料システム全体を支えています。世界の被子植物の75%以上と、全作物の3分の1は…

私たちについて

みなさん、こんにちは! コンサベーション・インターナショナル・ジャパンの広報、磯部と申します。 ブログのプラットフォームを新たにnoteへ移行するにあたり、私たちの…

「国際女性デー」自然保護活動と女性のエンパワメントの関係

3月8日は国際女性デーです。 1904年3月8日、ニューヨークで婦人参政権を求めて起きたデモをきっかけに国連が定めた「国際女性デー」は、”誰一人取り残さない”をスローガ…

菌類は、気候対策の新たな味方か?

地中の世界では、複雑な菌類ネットワークが植物と協力し合いながら大量の炭素を吸収しており、その量は世界に存在する化石燃料による年間排出量の3分の1以上に相当すること…

環境再生型農業とは何だろう?

みなさんは、「農業」と聞くと何を思い浮かべますか? 天候に左右されやすい、大変な職業。農家さん。私たちが毎日口にする食糧を生産してくれる大切な職業・・・日本の幼…

自然が人間の健康を支える5つの方法

世界各国が重要な生態系の保護に取り組む今、自然がどのようにして私たちの生活に役に立っているのか、そしてなぜ私たちは自然を守らなければならないのかについて取り上げ…

自然はどのようにして気候変動と戦うことができるのかーNCS(自然の力を活用した気候変動対策)の誤解

つい最近まで、自然が気候変動問題を解決しようとする私たち人間にとって、強い味方になるという考えは、ほとんど知られていませんでした。 人間活動による影響が生態系に…

「自然の力を活用した気候変動対策(NCS:Natural Climate Solutions) 」とは何だろう?

エディターズノート:「気候適応」や「ブルーカーボン」など、環境に関する専門用語はいたるところで見られます。コンサベーション・インターナショナル(CI)では、そうした…

生物多様性はなぜ大切なんだろう?

「人類は、野生生物の絶滅を食い止めなければならない。さもなければ、人類が絶滅の危機に瀕するだろう」- 国連報告書 100万種もの動植物が絶滅の危機に瀕している今、地…

”ブルーカーボン”とはなんだろう?

エディターズノート:「気候適応」や「カーボンクレジット」など、環境に関する専門用語はいたるところで見られます。コンサベーション・インターナショナル(CI)では、そう…

マングローブについて知っておきたい6つのこと

あなたは誰かが「私はマングローブが大好き。」と言うのを、きっと耳にしたこがないでしょう。マングローブ林はサンゴ礁や熱帯雨林、広々とした草原のように、私たちを驚嘆…

湿地について知っておきたい5つのこと

湿地は、水と陸をつなぎ、淡水や海水によって冠水、または覆われている低地です。自然の形態で、陸地と水中の生き物をつないでいます。そこでは、湿地特有の動植物が育まれ…

アマゾンの熱帯雨林へ行った時のこと

アマゾンの熱帯雨林へ行った時のこと

コンサベーション・インターナショナル・ジャパン
テクニカル・ディレクター 浦口あや

CIに入って14年が経ちました。その間、観光旅行では行くことのできない、さまざまな場所を訪れました。

「どこが一番良かったですか?」と、しばしば聞かれます。

すべての場所に思い入れがあります。繰り返し訪れて同じ顔に会ったときの喜び、文章やデータを通じて詳しくなった場所に初めて行ったときの感慨、森林破壊の現場を

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世界海洋デー:海を守る新たな道筋

世界海洋デー:海を守る新たな道筋

世界中の生命の源であり、原動力でもある海。

海は私たちに食べ物をもたらし、気候を調節し、経済を支えています。しかし、前例のない熱波や持続的ではない沿岸開発、乱獲、そして汚染は、海洋生態系の健康を破壊し、海に生活を依存しているコミュニティの生活にも危機を及ぼしています。

しかし、幸いなことに、2024年は海洋保全にとっていくつか画期的な年となりました。 世界海洋デーにちなみ、海洋の健全性のために

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<保全ニュース>南米ペルー 、新たな保護区の設置で息を吹き返す重要な漁場

<保全ニュース>南米ペルー 、新たな保護区の設置で息を吹き返す重要な漁場

漁業はペルーの生活の一部です。

ペルーで消費される魚のうち、3分の2は南米有数の漁場であるマル・トロピカル・デ・グラウ(the Mar Tropical de Grau)で獲れています。この海域は、潮流が合流するため豊富な海洋生物を育んでおり、クジラ、ウミガメ、ジンベエザメなどが生息しています。

しかし、この海域もまた、石油、ガス採掘、乱獲、沿岸開発、規制なき観光といった人為的な圧力にさらされ

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気候変動についてどのように子供に話すべきか

気候変動についてどのように子供に話すべきか

気候変動が加速している今、子供たちが地球がどのような影響を受けていて、自分たちが気候変動に対して何ができるのか学ぶことはとても重要です。しかし、このような複雑で不安な問題を子供たちに教えることは、どんな親にとっても難しいことです。ですが実際は、専門家ではなくても子供たちに気候変動の話をすることはできます。そのための5つのコツをここで紹介します。

1. 例を挙げる

気候変動は世界全体の問題なので

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女性のためのサステナブルビジネス ~ミツバチと共に~

女性のためのサステナブルビジネス ~ミツバチと共に~

勤勉なミツバチは、自然界の「欠かせない働き手」です。

ミツバチの受粉活動は、生態系や食料システム全体を支えています。世界の被子植物の75%以上と、全作物の3分の1は、ミツバチや他の花粉媒介者による受粉に頼っています。

しかし、ミツバチの数は驚くべき早さで減少しています。ミツバチの大量死は、農薬や寄生ダニ、生息地となる場所の縮小が原因だといわれています。また、気候変動の極端な暑さは、ミツバチのコ

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私たちについて

私たちについて

みなさん、こんにちは!
コンサベーション・インターナショナル・ジャパンの広報、磯部と申します。

ブログのプラットフォームを新たにnoteへ移行するにあたり、私たちのことを良く知らない皆様へ向けて、「コンサベーション・インターナショナルってどんな団体?」という疑問にお答えする記事を書きたいと思います。ぜひお付き合いください。

■創設者ピーター・セリグマンについて

コンサベーション・インターナシ

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「国際女性デー」自然保護活動と女性のエンパワメントの関係

「国際女性デー」自然保護活動と女性のエンパワメントの関係

3月8日は国際女性デーです。

1904年3月8日、ニューヨークで婦人参政権を求めて起きたデモをきっかけに国連が定めた「国際女性デー」は、”誰一人取り残さない”をスローガンとしとしたSDGsの一つ、ジェンダー平等社会や女性の社会参加、地位向上を考える日です。コンサベーション・インターナショナル(CI)が持続可能な社会を目指して実施する保全プロジェクトでも、女性たちは多くの重要な役割を担い、大切な家

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菌類は、気候対策の新たな味方か?

菌類は、気候対策の新たな味方か?

地中の世界では、複雑な菌類ネットワークが植物と協力し合いながら大量の炭素を吸収しており、その量は世界に存在する化石燃料による年間排出量の3分の1以上に相当することが、新しい研究で明らかになりました。

これまで菌類は、炭素のモデリングや保全活動計画策定の際に盲点となっていました。しかし今回の研究は、植物が大気から吸収した炭素を「菌根菌」として知られるある種の菌類に送る量を定量化した、初めての研究で

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環境再生型農業とは何だろう?

環境再生型農業とは何だろう?

みなさんは、「農業」と聞くと何を思い浮かべますか?
天候に左右されやすい、大変な職業。農家さん。私たちが毎日口にする食糧を生産してくれる大切な職業・・・日本の幼稚園や保育園に通ったことがある方は、秋に行うさつまいも掘りなどを思い出すかもしれません。また、農業と聞くと、野菜などの食べ物を思い出すかもしれませんが、私たちが毎日着る衣服の材料となる綿花なども農作物の1つです。しかし、農業は身近にあるべき

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自然が人間の健康を支える5つの方法

自然が人間の健康を支える5つの方法

世界各国が重要な生態系の保護に取り組む今、自然がどのようにして私たちの生活に役に立っているのか、そしてなぜ私たちは自然を守らなければならないのかについて取り上げたいと思います。本記事では、自然が人間の健康をどのように支えているのか、ご紹介します。

1. 自然は、人間が生きる上で最も基本的な欲求を満たしてくれる

私たちが生きる上で必要な空気、水、食べるもの、そのすべては自然からもたらされているも

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自然はどのようにして気候変動と戦うことができるのかーNCS(自然の力を活用した気候変動対策)の誤解

自然はどのようにして気候変動と戦うことができるのかーNCS(自然の力を活用した気候変動対策)の誤解

つい最近まで、自然が気候変動問題を解決しようとする私たち人間にとって、強い味方になるという考えは、ほとんど知られていませんでした。
人間活動による影響が生態系に出ているにもかかわらず、私たちが毎年排出する温室効果ガスの約半分は、自然がすでに「吸収」していることが研究で明らかになっています。2017年の研究結果により、さらに、私たちが自然を守り、再生させることができれば、自然の力によって気候変動の進

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「自然の力を活用した気候変動対策(NCS:Natural Climate Solutions) 」とは何だろう?

「自然の力を活用した気候変動対策(NCS:Natural Climate Solutions) 」とは何だろう?

エディターズノート:「気候適応」や「ブルーカーボン」など、環境に関する専門用語はいたるところで見られます。コンサベーション・インターナショナル(CI)では、そうした用語について、各専門家にインタビューする形で、「~とは何だろう?」というシリーズで解説します。今回は、気候変動問題に取り組む際に自然の力を活用する、「NCS」として知られる手法について、CIの気候科学者ブロンソン・グリスコムに話を聞いて

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生物多様性はなぜ大切なんだろう?

生物多様性はなぜ大切なんだろう?

「人類は、野生生物の絶滅を食い止めなければならない。さもなければ、人類が絶滅の危機に瀕するだろう」- 国連報告書

100万種もの動植物が絶滅の危機に瀕している今、地球全体の安全性はかつてないほど高いリスクにさらされています。

「生物多様性」は、地球上の生命の総称ですが、現在の種が絶滅している早さは、地球全体の安定性を損なうほど危機的な状況です。

生物多様性は、人類にとってどれほど重要なのでし

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”ブルーカーボン”とはなんだろう?

”ブルーカーボン”とはなんだろう?

エディターズノート:「気候適応」や「カーボンクレジット」など、環境に関する専門用語はいたるところで見られます。コンサベーション・インターナショナル(CI)では、そうした一般的に聞きなれない用語について、各専門家にインタビューする形で、「~とは何だろう?」というシリーズで解説します。今回は、気候変動を抑制するために非常に大切な存在である「ブルーカーボン」について、CIの海洋戦略ディレクター、エミリー

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マングローブについて知っておきたい6つのこと

マングローブについて知っておきたい6つのこと

あなたは誰かが「私はマングローブが大好き。」と言うのを、きっと耳にしたこがないでしょう。マングローブ林はサンゴ礁や熱帯雨林、広々とした草原のように、私たちを驚嘆させることも見事だと感じさせることもありません。それどころか、長らくの間、世界の多くの場所で、汚くて蚊がいるマングローブのもつれた根っこはオーシャンビューの邪魔になると嫌がられてきました。

環境の専門家たちでさえ、マングローブの生態学的な

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湿地について知っておきたい5つのこと

湿地について知っておきたい5つのこと

湿地は、水と陸をつなぎ、淡水や海水によって冠水、または覆われている低地です。自然の形態で、陸地と水中の生き物をつないでいます。そこでは、湿地特有の動植物が育まれており、生物多様性保全上、極めて大切な生態系と言えます。湿地は同時に私たち人間にも多くの恵みをもたらしています。しかし、開発の影響で世界各地の湿地は急速に減っています。つまり湿地生態系がもららす、様々な生態系サービスが失われているのです。

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