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11013の手紙に寄せて

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11013でなければならない理由も、ないのだけれど。
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#読書

綱泉

綱泉

私は、お風呂に本やスマートフォンを持ち込んで、読み物や書き物や調べものをよくやります。すごくはかどることもあるのですが、リラックス効果が高すぎて秒で寝落ちすることも多いです。これまでに水没させた本の数は知れません。現在使っているスマートフォンも、これまでに少なくとも3度は水没させています。0.5秒(本人実感)で拾いあげてすぐさま水切り、拭きあげ、細部の水気取りと丁寧にやっていますと、意外と故障なく

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探究のしろもの

探究のしろもの

私が日々多くの時間を割く仕事にも今の情勢は大きな影響を与えています。これまでになかった、しなければならないことももちろん多くあります。けれど、しなくてよくなった、対応のために手間や時間を割かなくてよくなった(もちろん今だけの一時的なものですが)ことも多くあるのです。そのために、時間がとれる。考えることに時間がとれるのです。そして、考えたことを、実行する際のイメージをしてみる。可能な限り具体的に想像

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読書で対を知る

読書で対を知る

なかなか、家で本を読む時間がとれないでいます。先日、妻が、子どもを連れて、母親ともだちのところへ遊びに行った日は、この頃では珍しく、久しぶりにじっくり一冊の本と向き合えたなぁという実感がありました。子どもがいる家庭だと(いない家庭だとしても、でしょうけれど)、ひとりの時間って本当に貴重なものですね。

いまある生活の中に、急に新しい時間を設けることは困難です。ですから、生活の中に、少しずつでも

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豊かな時間

豊かな時間

まるで災害時のようだけれど。

先々月、私は福島県新地町に行きました。東日本大震災をきっかけにうまれた交流の連なりの先にある催しごとの関係で行ってきたのでした。その新地町のとなり、内陸側にあるのが丸森町とのことでした。(丸森町は、昨年の豪雨で被害の大きかった地域です。)新地町のほうでおこなった催しごとの中の「抽選会」では、「丸森町のビオラ」が景品になっていました。はっきりした色合いの、小さくき

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本があると、まっさきに奥付を見ちゃう。

本があると、まっさきに奥付を見ちゃう。

本が好きです。いえ、好きだという言葉で片付けてしまっているのかもしれません。ほんとうは、そんなに単純じゃない理由から私は、本を手に取っているのかもしれません。

本を手に取ると、私はまっさきに、いちばん後ろのページにある「奥付」を見てしまいます。いつ頃、誰が(なんという出版社が)発行したものなのかが気になるのです。また、さらにその前のページあたりに、何々という雑誌にいつからいつ頃まで掲載した内

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スランプとプラトー

スランプとプラトー

・リーグ勝者が決まった
先日、ある飲食店で過ごしていたら、店内の高いところに設置された大きいテレビに野球の試合が映し出されていました。巨人と横浜の試合でした。とくに何を急ぐでもなく過ごしていたので、しばらく画面を見つめていました。投手の指先を離れ、閃光のような速さでキャッチャーミットに着弾する、その球威が画面を飛び出して伝わってきて、「すげぇなぁ」と率直に思いました。それをカットしたりグラウンドや

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「おやすみ」の読み聞かせ

「おやすみ」の読み聞かせ

前にも同じことを書きましたが(読んでいただいたかは存じませんが)、萩原朔太郎の詩が僕には難しいと感じつつ、ためしに音読してみたら何か違って感じられた、むずかしいなりに詩を、文を、肉を感じられたような気がした、ということが僕にはありました。

赤ちゃんは、まだことばの意味を知りません。でも、絵本を読み聞かせると、目や耳の感覚を読み手に注いでいる様子を見せます。ことばの意味がわからなくても、その絵

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黙殺と音声

黙殺と音声

萩原朔太郎の詩を読んでみたのですが、なんだかよくわからず、ピンと来ないなぁ、いまのじぶんにはまだ早いのだろうかと思いました。

そこで、わたしは音読してみることにしました。言葉という記号を認識して、子音と母音をつくって発します。音波になったそれが、反響してかえってきます。お? なんだか、作品をじぶんが理解しているかは別として、ぼくはいま肉体で詩をとらえているのではないかと思えたことがあります。

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オカルトの処方

オカルトの処方

小学生くらいの頃は、実家でよくテレビを楽しく観た。幽霊や心霊現象、不可解な現象や謎の残る目撃証言、UFOや宇宙人なんかを扱った番組を観るのが好きだった。ほんとうにあるんだろうか? これは本当だろうか? という、謎を明かしたい気持ちがよりぼくを画面に引きつけていた。

そうした番組を結論まで視聴しても、ほとんどの場合、結論を教えてくれなかった。あなたがあると思えば、あるかもしれません……と実際に

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好奇心のマネージャーは融通利かせ屋さん

好奇心のマネージャーは融通利かせ屋さん

本屋さんによく行きます。お目当ての特定のタイトルを探しに行くこともあるし、そうでないときもあります。僕にとって、お目当てのタイトルが何かあることは、本屋さんに行く口実に近いです。お目当てのタイトルがあってもなくても、必ずと言っていいほど、ほかの何かおもしろそうなものが見つかるからです。そうやって、お目当てのタイトル以外の何かがレジを通って僕の家に連れて来られるという事件が頻発しています。

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ぼくの知らない金曜日

ぼくの知らない金曜日

ぼくは金曜日、寝坊をしなかった。いつもと同じ時刻に起きた。ぼくはいつも早起きなのだ。それを早起きといっていいのか正直、迷う。いつも、迷っているのだ。いや、いつもは迷っていないけれど、たまに迷うくらいだ、といっていいのかどうか迷う程度にはよく迷う。

ぼくは金曜日、動物園に行かなかった。水族館にも行かなかったし、美術館にも行かなかった。漫画をしこたまは読まなかったし、文章の多い本をしこたま読みも

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本読み(読まず)の、こうかい?日記

本読み(読まず)の、こうかい?日記

日記とは日々の出来事や雑感をそのまま記したものをいう。でたらめでも成立するかもしれないけれど、その場合は「でたらめ日記」とわざわざ分け隔てて呼ぶのがよろしいかと思う。というかそれはもはや「私小説」とか「日記風おとぎ話」とでもいうべきか。ある特定の人物の手記の体を思わせるかたちでつづられたミステリー小説なんかがあったなぁと思い出す。なんてことを並べ立てて何が言いたいかと言われても特に言いたいことはな

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過程にある、わたし的あるある。

過程にある、わたし的あるある。

1分間のフロスがけは、10分間の歯みがきに匹敵する……と、僕は思っている。あるいは、それ以上かもしれない。それくらい僕はフロスピック(糸ようじ)に感謝しているし、信頼を寄せている。頭が下がる思いで鏡に向かって面を上げて、フロスがけとブラッシングに励む1日およそ3回。そんな毎日である。

僕が後回しにせずにいられていることといえば、歯みがきとフロスがけくらいなものだろうか。メシもたぶん、いっちょま

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