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【読書ノート】ごちゃまぜで社会は変えられる

2020年は、中高生の自殺者が過去最高になっていました。僕はこの。悲しすぎる「社会の結果」と「高齢者の孤立」が無関係だと思っていません。
「高齢者が孤立している社会、幸せじゃない社会では、若者は未来に希望なんて抱けない」
「一生懸命生きた人の、大切なしめくくしりの期間が孤立して終わる。そんな社会は間違っている」

ごちゃまぜで社会は変えられる/濱野将行(著)

こんにちは、けいごです。

地域活動をしていく中、主に地域活動本では大枠としての地域活動ノウハウが提供されていることが多いです。
より具体的に地域活動をしていく上での行動を知りたい場合、一つの活動に焦点を当てた、事例系の本が非常に参考になります。

本記事では、多世代交流の場を作り上げている濱野さんの「ごちゃまぜ社会」を作り上げた方法を取り上げていきます。

ロールモデルにさせていただきます!


濱野将行さん

濱野さんは栃木県大田原市で「一般社団法人えんがお」という、生活支援事業を立ち上げ、地域の孤立解消に取り組んでいる方です。

作業療法士として働きながら、傍らで現在の事業を育てていったようです。
そんな濱野さんの社会貢献活動の原体験になったのは、東日本大震災の時でした。そこで感じたことが書かれている一文を以下に記載します。

3月13日から「とにかく人手が必要」との話を受け、避難所にお手伝いに行きました。掃除・炊き出し・傾聴。そんな活動のなか、避難してきたとあるおばあちゃんが言いました。
「家が流されちゃって」
僕は固まりました。何も言えませんでした。うなずくこともできなかった。

ごちゃまぜで社会は変えられる/濱野将行(著)

この原体験から、濱野さんは様々な社会貢献活動をするようになりました。

地域活動で必要なこと2つ

本書では、濱野さんが活動をするうえで普段から意識されていること(地域活動で必要なこと)についてまとめられています。それは以下です。

  • やる前から人を巻き込む:活動をする上で大事なこと

  • 支出の削減にこだわる:運営をする上で大事なこと

【活動】やる前から人を巻き込む

なにか活動をしたいと思ったときには、「関係人口」を増やしていく必要があります。
関係人口とは、「時々関わってくれる、いい感じの距離感の人」です。
濱野さんは活動をするときに、相談をする癖をつけているといいます。

・「オセロの角の人」を巻き込む
相談をすると、人を紹介してくれたり、その解決策を導き出してくれます。
相談を繰り返し、人を紹介してもらうことで、「オセロの角の人」さえも巻き込んで関係人口を増やすことが出来る。
オセロの角の人とは、その活動をするにおいて影響力の高い人、その人が何か発言をするとそのほかの人にも波及させることが出来る人のことです。
人を巻き込めば、団体戦で地域を変えていくことが出来ます。

・発信から逃げない
えんがおは4軒分の空き家をかなり安い家賃で借りたり、6軒分の冷蔵庫や洗濯機などをほとんど寄付でいただいているといいます。
それは、発信をしっかりして、信用を集めているからだ、と著者は言います。
「信用」は、人を幸せにした事実や思いが発信されて生まれるものです。
どんなにいい活動をしていても、発信をされていなければか関わった人だけでそれが終わっていまいます。そのため、「信用」を貯めるには発信が必須なのです。

モノが豊富であふれる時代には、安価で、あるいはタダで「誰か」の元へ辿り着きますが、その「誰か」は「信用が貯まっている人」です。
今後益々、信用の溜まっている人には、モノだけでなく、「知識」「技術」「ヒト」が集まる時代になります。

【運営】支出の削減にこだわる

濱野さんは本を書いた現在(2021年)時点で、サラリーマンの平均収入+αくらいの収入があると述べています。

これからのビジネスは「Society 5,0」といって、「社会性」と「経済(ビジネス)」を掛け合わせたビジネスがキーワードになっており、世界中でこのキーワードが重要視されています。
つまり、社会貢献活動において、「経営」を強めていく必要があるということです。

そんな社会貢献活動で収益を発生・維持させるには、「支出の削減にこだわる」ことです。
えんがおでは、ボランティア的なイメージがありますが、4期目の事業規模は1500万円でした。
どのようにしてそこまでたどりついたのか、以下にまとめていきます。

・依存を生まない
えんがおの生活支援事業は、30分500円から2000円と案件によりますが安くはないです。
それは依存を生まないためです。著者は、「もし高くて息子にお願いする」
と言われたら、それで嬉しいといいます。それは頼る人がいるということなので。
そんなえんがおのターゲットは、「自分ではできないし、お願いする人も近くにいない人」です。

・スモールスタート
えんがおは、月収100万稼げる事業を一つやるのではなく、月10万円稼げる事業が10個あるイメージで運営しています。
地域密着の事業は事業規模が小さいため、小さくても支出が少なく出来る事業から始めると良いです。
また、それぞれの事業の「相乗効果」を考えて運営する視点が必要です。既存の事業と新規事業が、どう相互に寄与するのか、ということです。

因みにえんがおの事業収益1500万円のうち、支出は1350万円で内訳は約半分が人件費、もう半分が6棟分の家賃や消耗品費と新規事業への投資です。
家賃や消耗品費を特に減らしているといいます。事業をやっていないと想像が難しいと思いますが、6棟分の家賃はかなり安いです。

若者を集めるには

若者を集めるには「余白力」が必要です。
余白力とは、「足りない部分」です。

著者の例だと、著者はスケジュール管理がとても苦手なようで時々学生に助けられることがあるようです。
ことように「弱みをあえてカバーしない姿勢」が、人の入る余地を与えて「役割」が生まれていきます。
組織運営でもこの考えは重要で、ぎちぎちに完ぺきに実行できる組織は人の入る余地がなく、活動していてもあまり楽しくないし何よりも役に立っている感覚にならないです。

しかし、だからといってすべての弱みの許容をするにも限界があります。
なので、弱みをカバーずるためにやるべきことはやる必要があります。
著者の場合だと会議を忘れないように会議前にアラームを鳴らすように設定することをしているそうですが、それでも忘れるようです(笑)

これからの地域づくり

濱野さんは、作業療法士として働いている時に、リハビリをした後に家庭復帰したご高齢の方が一人の家に帰り、活動をしなくなり、運動をしなくなり、またリハビリの現場に戻っていく、そのような孤立の状況を目の当たりにしたようです。

濱野さんとしては、「在宅復帰」は家に帰るまでではなく、地域や家庭での役割を見つけるまでの支援をすること、と述べています。
人は、役割がないから居場所がなくなり、役割があるから人から必要とされて能力が維持されます。

つまり、人とのつながりが少ない高齢者を「地域のプレイヤー」に変える必要がある、ということです。

一言まとめ(ここだけ見て)

本書を一言でまとめると、以下になります。

なにかをしたいと考えたら、人に相談をする癖をつける。
行動の「余白」を作ることで、人に役割を与え、人々の社会との繋がりを維持することが出来る。

ごめんなさい、上手くまとまらなくて2文になってしまいました(笑)
「人への相談」と「余白作り」で行動・活動をしていきましょう!

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