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アート&美術館好きな人のためのWebMagazine「ANTIQUE」のnote版コラム。 http://rippusha.com

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    今日のあなたにぴったりな本をみつけてみませんか。

  • 身延線の駅から

    甲府駅(山梨県甲府市)と富士駅(静岡県富士市)を結ぶ、39駅とその周辺。 1駅ごとに違った表情が見えてくるかもしれません。

  • おうちで麺を打ってみた

    おうちで「うどん」や「ほうとう」などの麺打ちをしてみませんか。 打ち立てつるつるの手打ち麺なら、アレンジうどんのおいしさも格別です。

  • 冬の庭に野鳥をよんでみた

    八ヶ岳南麓の山梨県北杜市のある庭。 はじめてバードフィーダーを置いてみた体験を綴ります。 はたして庭に鳥はやってくるのか。

記事一覧

知る、そして、体感する。サントリー美術館の「大名茶人 織田有楽斎」

四百年遠忌記念特別展「大名茶人 織田有楽斎」2024.1.31~3.24【サントリー美術館】 織田信長の弟である織田有楽斎(長益、1547~1621)は、お市の方と同年の生まれ。京…

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2か月前
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東北への想いが溢れる。白崎映美著「あったこほうさ」

「あったこほうさ ー東北歌姫♡エッセイ集ー」白崎映美(ぱるす出版 2022年) 「日々のニュースに心を痛めているけれど、何もできない自分がもどかしい」これはきっ…

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2年前
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その多彩な仕事の全貌に触れる「和田誠展」

「和田誠展」2021.10.9~12.19【東京オペラシティギャラリー】 思い立って訪れた「和田誠展」。展示室に入ると、壁一面に飾られた数々の有名人の似顔絵が楽しい気持ちにし…

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2年前
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【身延線の駅から】小さくても歴史あるお宮や像に出会える、国母

国母(こくぼ)の地名は、清和天皇の母・染殿后(藤原明子)がこの地を領したことによります。国母8丁目には染殿宮があり、境内にある姫見塚は明子の墓と言われています。…

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2年前
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【身延線の駅から】神社に地名の由来がある、甲斐住吉

住吉の地名は、住吉神社にちなむといわれます。甲斐住吉駅から北に道を進み、伊勢三差路の交差点を東南方面に右折すると、道沿いに甲斐国 住吉神社があります。祭神は大阪…

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2年前

【身延線の駅から】昭和モダンの駅舎が印象的な、南甲府

南甲府駅は、どこか懐かしい雰囲気の立派な駅舎が印象的です。この駅舎は1928(昭和3)年に建てられたもので、ここにはJR身延線の前身である「富士身延鉄道株式会社」の本…

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2年前
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【身延線の駅から】歴史スポットにアクセスしたい駅、善光寺

金手駅を過ぎた身延線は大きくカーブして、南西方向へ向かいます。そのカーブの部分にあるのが善光寺駅です。階段を上った高い場所、なんと築堤の上に善光寺駅はあります。…

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2年前
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【身延線の駅から】城下町の風情を感じる、金手

難読地名にも出てくる、金手(かねんて)。身延線に乗って甲府から1つめの駅が、金手です。身延線はしばらく中央本線に沿って通っているため、金手駅は中央線からもよく見…

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2年前
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【身延線の駅から】湖水伝説が残る土地、甲府

甲府駅のホームは1番線から3番線までが中央本線、4、5番線は身延線です。身延線への乗り換えもスムーズにできますが、中央本線はJR東日本、身延線はJR東海の管轄です。身延…

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2年前

さくらんぼの6月

6月の山梨は、さくらんぼ狩りのシーズンだ。 南アルプス市立美術館へと向かう途中には、道の両側にさくらんぼ狩りの旗がたくさん立っていた。 きっと今年も観光で来る人は…

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2年前

南アルプス市立美術館の「川崎小虎展」

「詩情あふれる美の世界 川崎小虎展」2021.4.17〜6.27 「桜花鷹狩図」から「芍薬」「小猿」「おしどり」のような日本画らしい題材のなかに「白菜」や「胡瓜」の作品が登…

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2年前
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北斎の90年を描く凄み。映画「HOKUSAI」公開

1年の延期を経て映画「HOKUSAI」が公開された。命尽きるまで描き続けた絵師・葛飾北斎。言わずと知れた世界一有名な日本人だ。北斎は90年の人生で3万点以上の作品を残して…

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3年前
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わらびをいただいたので、山菜とろろそば

昨日、わらびをいただいた。 重曹であく抜きを完了したので、今日は献立を変更して、わらびを使ったメニューを。 ということで、山菜とろろそば。 お蕎麦屋さんでは、旬の…

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3年前
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食べたいなあ、おかめうどん

東京の下町で生まれ、家では商売をしていたため、子どもの頃は店屋物の出前を食べる機会も多かった。近くの蕎麦屋さんのメニューで好きだったのは、おかめうどんだ。 おか…

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3年前

【見逃しシネマ】2020年に日本公開「プラド美術館 驚異のコレクション」

映画「プラド美術館 驚異のコレクション」(2019年 イタリア・スペイン合作/2020年 日本公開) 神聖ローマ皇帝カール5世は、愛する絵画とともに旅をしてユステ修道院に…

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3年前
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平安時代の名作絵巻の謎に迫る「鳥獣戯画のヒミツ」

京都・栂尾の高山寺に伝わる《鳥獣人物戯画》は、平安時代末期に描かれたとされるウサギ、カエル、サルなどを擬人化したユニークな絵巻だ。2021年2月に発刊された『鳥獣戯…

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3年前
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知る、そして、体感する。サントリー美術館の「大名茶人 織田有楽斎」

知る、そして、体感する。サントリー美術館の「大名茶人 織田有楽斎」

四百年遠忌記念特別展「大名茶人 織田有楽斎」2024.1.31~3.24【サントリー美術館】

織田信長の弟である織田有楽斎(長益、1547~1621)は、お市の方と同年の生まれ。京都・建仁寺の塔頭「正伝院」を再興し、隠棲して茶に没頭。正伝院内に茶室「如庵」(国宝、現在は愛知県犬山に移築)をつくったことでも知られる大名茶人だ。

“逃げた男”と呼ばれながらも本能寺の変の後の乱世を生き抜いた有楽斎は

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東北への想いが溢れる。白崎映美著「あったこほうさ」

東北への想いが溢れる。白崎映美著「あったこほうさ」

「あったこほうさ ー東北歌姫♡エッセイ集ー」白崎映美(ぱるす出版 2022年)

「日々のニュースに心を痛めているけれど、何もできない自分がもどかしい」これはきっと、そんなひとにこそ読んでほしい本だ。

著者は、山形県酒田市出身の上々颱風・白崎映美さん。地元の酒田弁のエッセイは、読んでいるとまるで音が聴こえるかのよう。いや、音を感じながらでないと読めない。だからこそ、その言葉の1つ1つが心に寄り添

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その多彩な仕事の全貌に触れる「和田誠展」

その多彩な仕事の全貌に触れる「和田誠展」

「和田誠展」2021.10.9~12.19【東京オペラシティギャラリー】

思い立って訪れた「和田誠展」。展示室に入ると、壁一面に飾られた数々の有名人の似顔絵が楽しい気持ちにしてくれる。

1つめの展示室は壁面を利用するだけでなく、20本の4面の柱を利用して年齢と作品を紹介するユニークな構成。自由に行き来できるこの空間に、観たいものを観て、読みたいものを読むひとたちが集っている。

4歳からの和田

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【身延線の駅から】小さくても歴史あるお宮や像に出会える、国母

【身延線の駅から】小さくても歴史あるお宮や像に出会える、国母

国母(こくぼ)の地名は、清和天皇の母・染殿后(藤原明子)がこの地を領したことによります。国母8丁目には染殿宮があり、境内にある姫見塚は明子の墓と言われています。また、国母は湖水伝説にまつわる土地でもあり、治水のための国母地蔵が祀られていた場所としても知られます。

行基が治水のために刻んで篠原(甲斐市)に祀り法城寺と号したという地蔵が、その後、国母の上条に祀られていました。現在、国母8丁目の児童公

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【身延線の駅から】神社に地名の由来がある、甲斐住吉

【身延線の駅から】神社に地名の由来がある、甲斐住吉

住吉の地名は、住吉神社にちなむといわれます。甲斐住吉駅から北に道を進み、伊勢三差路の交差点を東南方面に右折すると、道沿いに甲斐国 住吉神社があります。祭神は大阪の住吉大社と同じ住吉三神であり、記紀にみえる底筒男命 (そこつつのをのみこと)、中筒男命 (なかつつのをのみこと)、表筒男命 (うわつつのをのみこと)で海の守護やおはらいの神様としても知られます。武田家の軍陣守護神でもあり、創建当初は高畑村

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【身延線の駅から】昭和モダンの駅舎が印象的な、南甲府

【身延線の駅から】昭和モダンの駅舎が印象的な、南甲府

南甲府駅は、どこか懐かしい雰囲気の立派な駅舎が印象的です。この駅舎は1928(昭和3)年に建てられたもので、ここにはJR身延線の前身である「富士身延鉄道株式会社」の本社が置かれていたそうです。貴賓室や大衆食堂、屋上庭園もあったといわれることから、当時はモダンな印象だったことが想像できます。

JR身延線は、中央線甲府駅と東海道線富士駅を結ぶ39駅、全長88.4キロメートルの路線です。駿河と甲斐を結

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【身延線の駅から】歴史スポットにアクセスしたい駅、善光寺

【身延線の駅から】歴史スポットにアクセスしたい駅、善光寺

金手駅を過ぎた身延線は大きくカーブして、南西方向へ向かいます。そのカーブの部分にあるのが善光寺駅です。階段を上った高い場所、なんと築堤の上に善光寺駅はあります。善光寺駅の駅名は、甲斐善光寺から。甲斐善光寺へは徒歩数分の距離です。

甲斐善光寺は、武田信玄が川中島合戦の際に、信濃善光寺の焼失を恐れて本尊や諸仏寺宝をここに移したことに始まると言われますが、本尊は武田氏滅亡後に、織田、徳川、豊臣氏を転々

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【身延線の駅から】城下町の風情を感じる、金手

【身延線の駅から】城下町の風情を感じる、金手

難読地名にも出てくる、金手(かねんて)。身延線に乗って甲府から1つめの駅が、金手です。身延線はしばらく中央本線に沿って通っているため、金手駅は中央線からもよく見えます。甲府から上り電車に乗ったときには「あれ、次の駅に着いたの?早いな」と思うことも多いはず。

さて、駅名の金手(かねんて)は、開業当初、駅が金手町にあったそうです。甲府の街は城に一気に攻め込まれないように道が鉤手(かぎのて)になってい

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【身延線の駅から】湖水伝説が残る土地、甲府

【身延線の駅から】湖水伝説が残る土地、甲府

甲府駅のホームは1番線から3番線までが中央本線、4、5番線は身延線です。身延線への乗り換えもスムーズにできますが、中央本線はJR東日本、身延線はJR東海の管轄です。身延線はICカード改札機が設置されていない駅がほとんどなので、まずは切符を買っておきましょう。

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身延線の旅の前に、まずは甲府の街の紹介を。甲府駅からは南北に道が伸びています。北口からは武田通り。武田信玄を祀る

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さくらんぼの6月

さくらんぼの6月

6月の山梨は、さくらんぼ狩りのシーズンだ。
南アルプス市立美術館へと向かう途中には、道の両側にさくらんぼ狩りの旗がたくさん立っていた。

きっと今年も観光で来る人は少ないのでは?と思っていたのだが、道の駅にでは、さくらんぼの棚は売り切れになりそうな勢いだった。

旬を逃すと食べられなくなるフルーツ。
なかなか身動きができないこのごろでも確実に季節を感じさせてくれる。

南アルプス市立美術館の「川崎小虎展」

南アルプス市立美術館の「川崎小虎展」

「詩情あふれる美の世界 川崎小虎展」2021.4.17〜6.27

「桜花鷹狩図」から「芍薬」「小猿」「おしどり」のような日本画らしい題材のなかに「白菜」や「胡瓜」の作品が登場するのがなんだか楽しい。なかでもその存在感に惹きつけられたのは「ひまわり」。その題名と描き方との印象に小さな衝撃を感じた。

川崎小虎(かわさきしょうこ)は明治19年岐阜県生まれ。祖父川崎千虎に大和絵を学んだ、東京美術学校の

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北斎の90年を描く凄み。映画「HOKUSAI」公開

北斎の90年を描く凄み。映画「HOKUSAI」公開

1年の延期を経て映画「HOKUSAI」が公開された。命尽きるまで描き続けた絵師・葛飾北斎。言わずと知れた世界一有名な日本人だ。北斎は90年の人生で3万点以上の作品を残しているものの、人生そのものには謎の部分も多い。映画ではどの作品にクローズアップするのか?それともエピソードに注目するのだろうか?そんな小賢しい予想を裏切るかのように、映画「HOKUSAI」は北斎の人生に真正面から立ち向かっていた。

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わらびをいただいたので、山菜とろろそば

わらびをいただいたので、山菜とろろそば

昨日、わらびをいただいた。
重曹であく抜きを完了したので、今日は献立を変更して、わらびを使ったメニューを。

ということで、山菜とろろそば。
お蕎麦屋さんでは、旬の食材を生かしたメニューが登場するけれど、その理由がわかった気がした。

今おいしいものをいただくのが一番いい。
旬を愛でる楽しみ。

食べたいなあ、おかめうどん

食べたいなあ、おかめうどん

東京の下町で生まれ、家では商売をしていたため、子どもの頃は店屋物の出前を食べる機会も多かった。近くの蕎麦屋さんのメニューで好きだったのは、おかめうどんだ。

おかめうどんには、たくさんの具材がのっている。当時は好き嫌いも多かったのに、なぜ母が私用におかめうどんを注文していたのかは不思議で仕方がないのだが、そのお店のおかめうどんにはグリンピースがのっていた。

そのグリンピースは何の変哲もない、まさ

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【見逃しシネマ】2020年に日本公開「プラド美術館 驚異のコレクション」

【見逃しシネマ】2020年に日本公開「プラド美術館 驚異のコレクション」

映画「プラド美術館 驚異のコレクション」(2019年 イタリア・スペイン合作/2020年 日本公開)

神聖ローマ皇帝カール5世は、愛する絵画とともに旅をしてユステ修道院に辿り着いた。1558年に最期を迎えたときには、目の前に数年前にティツィアーノに描かせた巨大な絵画〈ラ・グロリア(栄光)〉があった――。そんな語りから始まる本作は、過去と現在を結ぶプラド美術館の姿を浮かび上がらせていく。

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平安時代の名作絵巻の謎に迫る「鳥獣戯画のヒミツ」

平安時代の名作絵巻の謎に迫る「鳥獣戯画のヒミツ」

京都・栂尾の高山寺に伝わる《鳥獣人物戯画》は、平安時代末期に描かれたとされるウサギ、カエル、サルなどを擬人化したユニークな絵巻だ。2021年2月に発刊された『鳥獣戯画のヒミツ』(淡交社)は、この超有名な絵巻の謎に迫る内容が興味深い。

「カエルとウサギはなぜ相撲を取っている?」という疑問を前面に出しながら、読者にやさしいQ&A形式で解説、節ごとに夜噺を楽しむような構成にも心惹かれる。しかし、この可

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