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この本いいよ!

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これまで私がnoteに投稿した読書感想記事をまとめたマガジンです。本選びの参考になればいいなと思います。
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#成長

ナミダ列車(青春小説感想文)

ナミダ列車(青春小説感想文)

一ノ瀬亜子さんの「ナミダ列車」という青春小説を読みました。

ロードノベルテイストの青春小説というあらすじに魅了され、手にしてみました。栃木県を舞台に描かれるロマン満載の電車旅に胸キュンする作品です。

どんなお話?

感想

電車での小旅行中にいろはが出会う「ハルナ」や、意味深な乗客たちは何者なのか?旅行気分を味わいながら、ミステリアスな物語に浸れました。時間に関する描写が多かったのでSFっぽい

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君がいたから、壊れた世界が輝いた(青春小説感想文)

君がいたから、壊れた世界が輝いた(青春小説感想文)

小桜菜々さんの「君がいたから、壊れた世界が輝いた」という青春小説を読みました。この本は図書館で借りて読んだのですが、想像以上に心に響く物語で、私にとって素直に「読んでよかったな」と思えた1冊でした。

主人公の高校生たちだけでなく、彼女たちの周りにいる大人たちもすごく魅力的に描かれているので、主人公と同世代に限らず、幅広い読者に愛されてほしいと願っている1冊です。

どんなお話?

感想

まず上

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『君の青が、海にとけるまで』が素敵な話だったので紹介する

『君の青が、海にとけるまで』が素敵な話だったので紹介する

いぬじゅんさんの『君の青が、海にとけるまで』(角川文庫)という作品を読みました。

主に高校生たちの恋を描いたお話が多かったいぬじゅんさんの作品ですが、今作は社会人が主人公の居場所をテーマにした物語となっていて、これまでの作品とはひと味違う優しさを感じる内容でした。

念願の看護師になったものの、職場でのトラブルで心が病み、休職することになった胡麦。物語は休職中に胡麦がSESTAというカフェに訪れ

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最近のおすすめ本:猫のお告げは樹の下で

最近のおすすめ本:猫のお告げは樹の下で

青山美智子さんの『猫のお告げは樹の下で』を読みました。

今作は神社の不思議な猫・ミクジのお告げに導かれ、老若男女が日々をちょっぴり変えていく様子が描かれました。

「ニシムキ」「チケット」などミクジのお告げは一見すると意味深ですが、葉っぱに刻まれていた言葉をヒントに行動し、意外なところから、あるいは知らず知らずのうちに悩みを乗り越えていく数々のエピソードに心打たれました。

中でも私は、「スペー

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好きな作家さんの最高に心動かされる本を読みました

好きな作家さんの最高に心動かされる本を読みました

阿部暁子さんの『カラフル』という小説を読みました。

私は阿部暁子さんの本が高校生の頃から大好きです。魅力的で嫌いになれないキャラクターたちや丁寧な感情描写、作中でちらりと見せるユーモアも好きなところですが、中でも「いいな」と思うのが、自分と同年代の主人公が世の中の理不尽さに立ち向かう物語が多いところです。とても現実的で、読み終えると私も登場人物たちのように頑張ろう!と思わせてくれます。

今作は

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熟成読書感想文:電話交感

熟成読書感想文:電話交感

こがらし輪音さん『電話交感』(角川文庫)
2024年1月某日読了

こがらし輪音さんの作品はデビュー作から大体読んでいますが、作品を重ねるにつれて物語のクオリティに磨きがかかっているような感じがします。個人的に今作は現時点での最高傑作じゃないかと思っています。

まず、今作は現代の日常に怒りを抱える主人公・紗菜が、亡き祖母(タヱ)との不思議な電話でのやりとりを通して、今を生きるために大切なことを学

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レトロな喫茶店好きにはたまらない小説を読みました。

レトロな喫茶店好きにはたまらない小説を読みました。

喫茶店が舞台の小説が好きです。喫茶店が印象的に描かれている小説って、実際にそのお店にいるようなゆったり感を味わえる物語が多く、ハズレも少ないジャンルでもあるなと個人的には思っています。そんな喫茶店が出てくる小説で、また新たなお気に入りに出会えたので1冊紹介します。

今回紹介するのは、椰月美智子さんの『純喫茶パオーン』という作品です。タイトルの「純喫茶」の文字で既に美しいです(笑)。主人公の成長に

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食欲の秋っぽい青春小説

食欲の秋っぽい青春小説

今回は食欲の秋におすすめな1冊を紹介します。

紹介するのは、汐見夏衛さんの『さよならごはんを今夜も君と』という作品です。noteで私が紹介した汐見さんの作品は今作で10冊目となりました。汐見さんで食をテーマにしたお店ものって見たことがないなーと、発売前から凄く読みたかった1冊です。

『さよならごはんを今夜も君と』感想

物語の舞台は、10代限定でおいしい料理をふるまうお夜食のお店。今作では店主

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ずっと気になっていた青春小説のアンソロジーを読みました

ずっと気になっていた青春小説のアンソロジーを読みました

高校生の頃によく読んでいたような青春小説が社会人になった今でも大好きです。

いろんな青春小説を読んできた中、最近は切ない恋愛だけでなく、今を生きる人々の悩みと向き合い、解決を後押ししてくれる作品も多いと感じています。その中には私が高校生の頃にはなかった新たな常識に触れている作品も少なくはなく、今読んでも学びとなる作品も数多くあります。

先日、私が読んだスターツ出版文庫の『君の傷痕が知りたい』と

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「ナツイチ」から気になった本を読んでみる!

「ナツイチ」から気になった本を読んでみる!

本好きの夏の楽しみといえば、大手出版社による夏の文庫フェアではないでしょうか?集英社文庫(ナツイチ)とKADOKAWA(カドブン夏推し)のフェアが6月中旬より始まったので、早速本屋へ行ってラインナップをチェックしてきました。

各社1冊ずつラインナップから気になった本を購入してみたのですが、今回はナツイチより三田誠広さんの『いちご同盟』を読んだのでその感想です。青春小説が好きなのもありますが、何よ

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めちゃくちゃ面白い『ひとり旅日和』の2巻を読んだよ!

めちゃくちゃ面白い『ひとり旅日和』の2巻を読んだよ!

ちょっと前に紹介した秋川滝美さんの『ひとり旅日和』の2巻(正式タイトルは『ひとり旅日和 縁結び!』)を読んだので、今回はその感想です!

人見知りな主人公・日和がなんとなく挑戦したひとり旅にハマり、全国各地を旅して成長していくこのシリーズ。今回も「興味」と「挑戦」によって、日和が更に自信をつけていく様子を見ることができました。

まず、今作もひとり旅への興味と共感が最後まで止まらないです!
函館で

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「涙」のメリットを感じる物語(森田碧:『余命0日の僕が、死と隣り合わせの君と出会った話』)

「涙」のメリットを感じる物語(森田碧:『余命0日の僕が、死と隣り合わせの君と出会った話』)

今回紹介する本は、森田碧さんの『余命0日の僕が、死と隣り合わせの君と出会った話』(ポプラ文庫ピュアフル)です。今作は「よめぼく」シリーズの4作目になる作品となります。姉妹作が増えると、森田さんの作品世界も広がっていくみたいで楽しいです。

今作は「よめぼく」シリーズらしい王道な要素に加えて、人々が創作物に触れて涙を流す理由や泣くメリットといった興味深い話題も含まれていました。個人的にはシリーズでも

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私たちが星になるには100年早い!(櫻いいよ:『星空は100年後』)

私たちが星になるには100年早い!(櫻いいよ:『星空は100年後』)

記事を読んで頂きありがとうございます。
今回紹介する本は、櫻いいよさんの『星空は100年後』というライト文芸作品です。

今作はスターツ出版文庫版も出ていますが、私は数ヶ月前に発売された単行本版で読みました。スターツ出版文庫って他レーベルのように単行本から文庫という作品ももちろんありますが、最近は今作のように文庫から単行本という逆パターンの作品も増えていて、思わぬ傑作に出会えることもあって面白いで

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自分だけの人生を、自分らしく生きる!(六畳のえる:『今夜、消えゆく僕からたったひとりの君へ』)

自分だけの人生を、自分らしく生きる!(六畳のえる:『今夜、消えゆく僕からたったひとりの君へ』)

六畳のえるさんの『今夜、消えゆく僕からたったひとりの君へ』(スターツ出版文庫)という青春小説を読みました!

常に双子の姉と比べてしまい、自分に自信が持てない優羽と、「俊矢」という別人格になってしまう自分に悩まされている朔也。
境遇は異なるものの、どこか似たところもある2人が、お互いに刺激を受けて成長していく物語に心をぐっと掴まれました。性格とか美しいイラストを見たり描いたりするのが好きなこととか

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