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この本いいよ!

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これまで私がnoteに投稿した読書感想記事をまとめたマガジンです。本選びの参考になればいいなと思います。
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2021年12月の記事一覧

第123回:「好き」という気持ち。隠したままだともったいないかも。(此見えこ:僕を残して、君のいない春がくる)

第123回:「好き」という気持ち。隠したままだともったいないかも。(此見えこ:僕を残して、君のいない春がくる)

こんにちは、あみのです!
今回の本は、此見えこさんのライト文芸作品『僕を残して、君のいない春がくる』(スターツ出版文庫)です。

今作は、此見さんの既刊に比べると王道路線な内容だったと思います。
でも恋の綺麗な部分だけでなく、人間の「弱さ」とか人を傷つけることの重みも作中では描かれ、時々「闇」を感じる展開は今作でも現在でした。

1作目では日常に潜む何気ない「生きづらさ」、2作目ではLINEでのコ

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第122回:「クリスマス」が繋いだとっておきの恋(宇山佳佑:君にささやかな奇蹟を)

第122回:「クリスマス」が繋いだとっておきの恋(宇山佳佑:君にささやかな奇蹟を)

こんにちは、あみのです。クリスマスにおすすめな1冊を読んだので紹介します。
今回の本は、宇山佳佑さんの『君にささやかな奇蹟を』(角川文庫)という作品です。

私が今作を読むのは2回目です。前回は、数年前に期間限定でやっていた電子書籍の角川文庫作品が無料で読めるキャンペーンの時に読みました。

この時はなんとなく読んだのですが、登場人物の恋が実っていく様子や「絵本」を使った心温まる演出に涙したことを

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第120回:みんな違うから、世界は美しい。(汐見夏衛:雨上がり、君が映す空はきっと美しい)

第120回:みんな違うから、世界は美しい。(汐見夏衛:雨上がり、君が映す空はきっと美しい)

こんにちは、あみのです!
今回の本は、汐見夏衛さんの『雨上がり、君が映す空はきっと美しい』という作品です。noteにて汐見さんの作品の感想を書くのは6冊目です。

今作は「自己肯定感」が主なテーマとなっていました。周りの目によって自己肯定感が低くなってしまった主人公が、2人の魅力的な先輩との出会いを通して成長していく青春小説です。
私も自己肯定感が低い方なので、この物語には救われました。

先輩と

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第119回:悲しいけど幸せな「愛」の行方(横光利一:春は馬車に乗って)

第119回:悲しいけど幸せな「愛」の行方(横光利一:春は馬車に乗って)

こんにちは、あみのです!
今回の本は、横光利一の『春は馬車に乗って』です。今作も立東舎の「乙女の本棚」シリーズのものを読みました。

読む前は、大学の日本語学(確か)の授業で目にした上記の一文しか知らなかった『春は馬車に乗って』。

実際読んでみると、病気で衰弱していく妻と、妻を死ぬまで温かく支える夫の物語でした。最近の恋愛小説でも多いいわゆる「難病もの」の作品にもカテゴライズされるかと思います。

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第117回:K君の死と、これからへの「不安」(梶井基次郎:『Kの昇天』)

第117回:K君の死と、これからへの「不安」(梶井基次郎:『Kの昇天』)

こんにちは、あみのです。
今回の本は、梶井基次郎の『Kの昇天』です。私は立東舎の「乙女の本棚」シリーズのものを読みました。このシリーズの本は久しぶりですね。

まず『Kの昇天』はタイトルだけ知っていた感じです。
大学生の時、文学の授業で『檸檬』を取り上げた回にて先生がこの作品を少し紹介していたことを覚えています。『檸檬』とは違って不思議な世界観の作品だと先生は話していて、いつか読んでみたいと思って

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第115回:「物語」という箱を開ける短編集

第115回:「物語」という箱を開ける短編集

こんにちは、あみのです!もう12月ですね~。
さて今回の本は、PHP文芸文庫の『ラストで君は「まさか!」と言う』シリーズ傑作選の「トパーズの誘惑」という巻です。このシリーズは初めて読みました。今作には数分で読める短編が36本も入っています。

先日、フォローしているPHP研究所のnote記事で存在を知った1冊。
最近この手の短編集にハマっているので、「これはぜひ読んでみたい!」と思って早速本屋で見

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