「そんなつもりじゃない!」 強い口調で祐樹が言った。 「あ、ごめんなさい」 心からあやまる。祐樹がそんなつもりじゃなかったのに責めてしまった。 つき合ってか…
♪~ 音楽のあと 詩の朗読がはじまる もう よくないですか? 今日は 誕生日 しかも わたしにとってカンガイ深い年齢なのです だから もうよくない…
昔のはなしして、イイ? 女子校の高校時代、ランチタイム 「ねえ!この中で誰がいちばんはやく結婚すると思う?」 「そりゃマコがいちばん早いっしょ!」 マ…
小学校生活6年目。 6時間目。 ふと〝あの部屋〟を思いだす。 今日こそいってみよう。 下校時間。 〝あの部屋〟のことを忘れて帰る。 6年生の春。 〝…
パーン! 爆ぜる音と共に彼が跳んだ。 見上げる青空に彼が逆光のシルエットをみせ、太陽と顔が重なる。 スローモーションのように太陽を背に跳んだ彼の顔を徐々に…
この前、大好きなひとから告白されたの 高校入学のときから好きだったひとで 同じクラスになって、隣の席になって、話しかければふつうにやさしくて ずっと片想い ちょっ…
彼は浮気をしている。 カチカチカチカチ 私は腕に装着した機械のいくつものダイヤルをまわしていく。 えっと、髪はふんわりセミロング。 まっしろな肌で小ぶりな目鼻。 チ…
わたし、カズコ。三十八歳。 一週間前から突然、天涯孤独になった。 高齢の両親と一人っ子のわたし。 とても愛されていたのに私が休日ゴロゴロしているときに、二人が趣…
亜周 元
2022年11月4日 21:52
「そんなつもりじゃない!」 強い口調で祐樹が言った。 「あ、ごめんなさい」 心からあやまる。祐樹がそんなつもりじゃなかったのに責めてしまった。つき合ってからその繰り返し。 「今日は時間もお金もないから、究極に食べたいお惣菜をひとつずつ買う!ご飯は炊いてある!」 わたしの提案で夜ふたりでスーパーに行く。祐樹はめんどうくさそうに手近の野菜炒めをチョイス。わたしはかなり時間をかけて本当に
2022年11月4日 21:06
♪~ 音楽のあと 詩の朗読がはじまるもう よくないですか? 今日は 誕生日 しかも わたしにとってカンガイ深い年齢なのです だから もうよくないですか? もう メイクしなくてよくないですか? 髪の毛のハネをなおさなくてよくないですか? ごはんを毎日つくらなくてよくないですか? 家族のことを心配しなくてよくないですか?みんなにニコニコしなくてよ
2022年10月31日 21:03
昔のはなしして、イイ? 女子校の高校時代、ランチタイム 「ねえ!この中で誰がいちばんはやく結婚すると思う?」 「そりゃマコがいちばん早いっしょ!」 マコが微笑む。 「そうね。わたし、できるだけはやく、お見合いで結婚したいし」 「えー!理解不能!!わたしは多分絶対いちばん遅いか、しないよ」 「マコみたいにお金持ちだったらお見合いも素敵だけど、わたしは純愛で幸せな結婚がいいな」
2022年9月16日 21:36
小学校生活6年目。 6時間目。 ふと〝あの部屋〟を思いだす。 今日こそいってみよう。 下校時間。 〝あの部屋〟のことを忘れて帰る。 6年生の春。 〝あの部屋〟の、廊下をはさんだ斜めまえの教室になった。 給食時間、〝あの部屋〟を思い出す。 今日こそ先生に聞いてみよう。 下校時間。 〝あの部屋〟のことを忘れて帰る。 6年生の三学期。 手の甲におおきくマジックで書いた。
2022年9月11日 18:59
パーン! 爆ぜる音と共に彼が跳んだ。 見上げる青空に彼が逆光のシルエットをみせ、太陽と顔が重なる。 スローモーションのように太陽を背に跳んだ彼の顔を徐々に光が照らし、わたしは見た…! 美しい青年の顔を。 …精悍な顔つきにトルマリンのような複雑な色が混ざり合う美しい瞳の色をした…。 跳びながら彼はわたしを振り返って、そして微笑んだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2022年8月22日 19:21
この前、大好きなひとから告白されたの高校入学のときから好きだったひとで同じクラスになって、隣の席になって、話しかければふつうにやさしくてずっと片想いちょっとした会話があたたかくて、やさしくてね視界にはいると、彼だけくっきり見えるほかのコと話しているのを見ちゃったら…ほんと三日くらい落ち込む高三になって、彼から告白された「きみがすきだ」え…彼の表情はさえないし、言い方も
2022年8月20日 20:27
彼は浮気をしている。カチカチカチカチ私は腕に装着した機械のいくつものダイヤルをまわしていく。えっと、髪はふんわりセミロング。まっしろな肌で小ぶりな目鼻。チーーーーーーーー細身なスタイル。ツツツツツツ服はシアーとレース素材で肌見せ上手。カカカツーツー細かく調整する「お待たせぇ」甘えた声で彼のもとへかけよった。カチカチカチカチ今日は結構悩んでダイヤルが決まらない。
2022年8月20日 18:23
わたし、カズコ。三十八歳。一週間前から突然、天涯孤独になった。高齢の両親と一人っ子のわたし。とても愛されていたのに私が休日ゴロゴロしているときに、二人が趣味のドライブで…。 「えーっと、炊飯器のスイッチってどれだろう?」 〝保温〟という謎のボタンを連打してみる。 十センチの赤いつなぎ服の小人?妖精?が目の前をなんどかウロウロしてから〝炊飯〟という、これもまた謎のボタンを指さした