私の彼と浮気するわたし
彼は浮気をしている。
カチカチカチカチ
私は腕に装着した機械のいくつものダイヤルをまわしていく。
えっと、髪はふんわりセミロング。
まっしろな肌で小ぶりな目鼻。
チーーーーーーーー
細身なスタイル。
ツツツツツツ
服はシアーとレース素材で肌見せ上手。
カカカ
ツーツー
細かく調整する
「お待たせぇ」
甘えた声で彼のもとへかけよった。
カチカチカチカチ
今日は結構悩んでダイヤルが決まらない。
ショートヘア? いやいやロングにお団子にしようか。
チ―――
ちょっとぽっちゃり柔らかめ。
ツツ
花柄ワンピ
カカ、ツー。
なのに気が強そうな眼つきと眉毛。
カチッ
「もういいよ!わたし、帰る!」
デートの途中で帰ってみた。
カチカチカチカチ
ショートの金髪。身長170センチ以上。
チ―ツツツ
浅黒く日焼けしてたくさんの人にふりかえられる。
ツツツチ――――
カチカチカチカチ
かなり大人な女性。
不倫や愛人のにおいがする。
カチカチ ツー チ――――
もう彼にとってどういうタイプが理想なのか、誰が好きで、そもそも私は彼にとって恋人なのかわからなくなった。
「ねえ!いったい誰が好きなのよ!!」
私は彼に怒鳴ってしまった。
「 ― みんな好きさ」
「え?」
「どの優希もみんな好き。かわいかったよ」
「え … 知ってた?」
「そりゃね。手が … 優希のまんまだったような気がして。ほかにも、
なんとなくだけど」
彼が頭をポリポリかいた。
「うれしい…わたしったら…あなたを試すようなことをして…」
「そんなに泣くなよ。大丈夫だから」
頭をポンポンしてくれる。
「すごいアイテムがあるんだね。今度それ、俺に貸してよ。きみにしか使わないからさ」
Fin
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