亜周 元

亜周 元(ashu hajime)と申します 読んだ後、アレ?と気づくことがある作品…

亜周 元

亜周 元(ashu hajime)と申します 読んだ後、アレ?と気づくことがある作品を目指しています。 ご意見、感想など、忌憚なくいただけましたら嬉しいです。 ぜひよろしくお願いいたします。

最近の記事

『そんなつもりじゃない!』

 「そんなつもりじゃない!」  強い口調で祐樹が言った。  「あ、ごめんなさい」  心からあやまる。祐樹がそんなつもりじゃなかったのに責めてしまった。 つき合ってからその繰り返し。  「今日は時間もお金もないから、究極に食べたいお惣菜をひとつずつ買う!ご飯は炊いてある!」  わたしの提案で夜ふたりでスーパーに行く。祐樹はめんどうくさそうに手近の野菜炒めをチョイス。わたしはかなり時間をかけて本当に自分が食べたいホッケの干物を選んだ。  「いただきまーす」  食卓へお茶を運ぶあ

    •  『もうよくないですか?』幸子と文子

      ♪~ 音楽のあと 詩の朗読がはじまる もう よくないですか?  今日は 誕生日   しかも わたしにとってカンガイ深い年齢なのです  だから もうよくないですか?  もう メイクしなくてよくないですか?    髪の毛のハネをなおさなくてよくないですか?    ごはんを毎日つくらなくてよくないですか?    家族のことを心配しなくてよくないですか? みんなにニコニコしなくてよくないですか?   ほんとうはもう したくないです   ほんとうはもう 風呂も

      • 『女5友達』~銀座barで~

         昔のはなしして、イイ?    女子校の高校時代、ランチタイム  「ねえ!この中で誰がいちばんはやく結婚すると思う?」  「そりゃマコがいちばん早いっしょ!」  マコが微笑む。  「そうね。わたし、できるだけはやく、お見合いで結婚したいし」  「えー!理解不能!!わたしは多分絶対いちばん遅いか、しないよ」  「マコみたいにお金持ちだったらお見合いも素敵だけど、わたしは純愛で幸せな結婚がいいな」    五年後、マコは予定通り、見合い結婚をした。  それから十年くらいの間に、わ

        • 『学校の知らない部屋』小説

           小学校生活6年目。  6時間目。  ふと〝あの部屋〟を思いだす。  今日こそいってみよう。  下校時間。  〝あの部屋〟のことを忘れて帰る。  6年生の春。  〝あの部屋〟の、廊下をはさんだ斜めまえの教室になった。  給食時間、〝あの部屋〟を思い出す。  今日こそ先生に聞いてみよう。  下校時間。  〝あの部屋〟のことを忘れて帰る。  6年生の三学期。  手の甲におおきくマジックで書いた。  帰りに〝あの部屋〟にいくこと!!!  放課後、教室から出て斜めまえの〝あの

        『そんなつもりじゃない!』

          恋ひわたる恩讐【小説】                            ~ミライのイジメ対策ツール~

           パーン!  爆ぜる音と共に彼が跳んだ。  見上げる青空に彼が逆光のシルエットをみせ、太陽と顔が重なる。  スローモーションのように太陽を背に跳んだ彼の顔を徐々に光が照らし、わたしは見た…!  美しい青年の顔を。  …精悍な顔つきにトルマリンのような複雑な色が混ざり合う美しい瞳の色をした…。  跳びながら彼はわたしを振り返って、そして微笑んだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  …はあ。  どうやら私はイジメられやすい人間らしい。  小四の夏。  公園。

          恋ひわたる恩讐【小説】                            ~ミライのイジメ対策ツール~

          【小説】告白されるという失恋 そのあと

          この前、大好きなひとから告白されたの 高校入学のときから好きだったひとで 同じクラスになって、隣の席になって、話しかければふつうにやさしくて ずっと片想い ちょっとした会話があたたかくて、やさしくてね 視界にはいると、彼だけくっきり見える ほかのコと話しているのを見ちゃったら…ほんと三日くらい落ち込む 高三になって、彼から告白された 「きみがすきだ」 え… 彼の表情はさえないし、言い方もザツ なのに…私、どうしたら… あああああああああ 「あ、あああ、て、照れ

          【小説】告白されるという失恋 そのあと

          私の彼と浮気するわたし

          彼は浮気をしている。 カチカチカチカチ 私は腕に装着した機械のいくつものダイヤルをまわしていく。 えっと、髪はふんわりセミロング。 まっしろな肌で小ぶりな目鼻。 チーーーーーーーー 細身なスタイル。 ツツツツツツ 服はシアーとレース素材で肌見せ上手。 カカカ ツーツー 細かく調整する 「お待たせぇ」 甘えた声で彼のもとへかけよった。 カチカチカチカチ 今日は結構悩んでダイヤルが決まらない。 ショートヘア? いやいやロングにお団子にしようか。 チ――― ちょっとぽっちゃり

          私の彼と浮気するわたし

          天涯孤独カズコと七色の妖精

           わたし、カズコ。三十八歳。 一週間前から突然、天涯孤独になった。 高齢の両親と一人っ子のわたし。 とても愛されていたのに私が休日ゴロゴロしているときに、二人が趣味のドライブで…。    「えーっと、炊飯器のスイッチってどれだろう?」  〝保温〟という謎のボタンを連打してみる。  十センチの赤いつなぎ服の小人?妖精?が目の前をなんどかウロウロしてから〝炊飯〟という、これもまた謎のボタンを指さした。    洗濯機の洗剤はどれくらいの量いれればいいのか?  緑色のスエットを着た

          天涯孤独カズコと七色の妖精