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『学校の知らない部屋』小説

 小学校生活6年目。

 6時間目。
 ふと〝あの部屋〟を思いだす。
 今日こそいってみよう。
 下校時間。
 〝あの部屋〟のことを忘れて帰る。

 6年生の春。
 〝あの部屋〟の、廊下をはさんだ斜めまえの教室になった。
 給食時間、〝あの部屋〟を思い出す。
 今日こそ先生に聞いてみよう。
 下校時間。
 〝あの部屋〟のことを忘れて帰る。

 6年生の三学期。
 手の甲におおきくマジックで書いた。
 帰りに〝あの部屋〟にいくこと!!!

 放課後、教室から出て斜めまえの〝あの部屋〟にいった。
 鍵がかかっていた。
 ドアのガラスから、歴史の教科書で見たことがあるテントくらいの大きさの茅葺屋根の家の模型がみえる。
 土器や埴輪が展示されていて、博物館みたいだ。

 「その部屋、気になってるコ初めてみたよ」
 うしろに給食のおばさんがいた。
 「知りたきゃ校長先生にきいてみな」
 
 校長室に走った。
 いなかった。
 
 職員室に走った。
 だれもいなかった。

 あれ?
 あれれれれれれれ?

 学校中の廊下を走りまくり誰かひとりでも先生がいないか探す。
 気がつくとまた〝あの部屋〟のまえで立ちつくした。
 
 「あんた、まだいたんだね。先生たちなら体育館にいったよ」
 帰るところだったおばさんが声をかけた。

 体育館

 先生たちの活気のある声がきこえてきた。
 「あー、そのテンションじゃ、サプライズでも生徒たち感動してくれませんよ」
 「あのー、ピアノの調律してほしいです」
 「わかりました。でも、6年生を送る会に間に合わなかったらスミマセン」
 「さあさあ卒業生たちのためにもっと練習しましょ!!」

 うしろに一歩さがった。
 
 七不思議にすらならない〝あの部屋〟のことを忘れて帰る。
  
 Fin

#眠れない夜に

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最後まで読んでくださりありがとうございました。
こわい話…?
あ、読んでみたら全然こわくなかったワ、…と思いきや、結構こわいことに気づいていただければ嬉しいです。

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