- 運営しているクリエイター
#エッセイ
流れる今を切り取って特別にできるから、写真が好きだ。
過去の蓄積が今。今の連続が未来。
似たような日々を送っていたとしても、明日の私から見たら、今日の私は過ぎ去ったものだ。いつか命を失う日がくる以上、どんな時もきっとかけがえのない時間なのだと思う。
でも正直なところ「この時は二度とないんだ!」などと、ギラギラ気合を入れていたら疲れてしまうよね。
だから、写真を撮っておくのが好き。
* * *
例えば、仲の良い人と会う時。
取りたてて何をするでもな
駅貼りのポスターなんてそうそう作れない
短大に通っている頃、地下鉄の乗換駅で1枚のポスターを見た。
私は考えごとをしながら電車を待っていて、ボーッと反対側のホームを眺めていたのだけど、線路の向こうの壁に貼ってあった大きな広告に気付いた瞬間、心をわしづかみにされた。
30年くらい前のことだから残念ながら詳しい内容は思い出せない。けれど、全面写真にキャッチコピーが1本というシンプルなデザインのポスターから目が離せなかったあの日、心が大き
思い出、道路に転がして
小学…何年生の頃だったろうか。
2年…いや、3年生だったかも知れない。
クラスに転校生がやって来た。
先生がにこやかに彼の紹介をし、「じゃあ一言、あいさつを」と振ると、彼は挨拶をする代わりに私達をギリッと睨んだ。
強い黒目が白目の光を引き立たせ、短く濃いまつ毛の線が、眼球を際立たせていた。
──蛇。
人の目が蛇のそれに見えることがあるのだと、その時、初めて知った。
丨
スペシャルにカラフル ( #ゆたかさって何だろう )
もう20年も前になるか。
16歳の私は、アメリカの高校の教室の中にいた。
"Child Development "と書かれている黒板を眺める。
配布された時間割の紙をもう一度、広げる。
どうやら私は、今日から子供の発育成長について学ぶらしい。
あと数分でベルは鳴り、担当教師が入ってくるだろう。
チラチラ増えていく生徒達が気になって、私はくるーっと一周、教室内を見回した。
∇∇