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夕遊の映画座

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2020年7月の記事一覧

映画の原作を読んでみました。『阿弥陀堂だより』南木 佳士

映画の原作を読んでみました。『阿弥陀堂だより』南木 佳士

寺尾聡・樋口可奈子主演の映画『阿弥陀堂だより』の原作。
映画は信州での生活が始まったところから話がスタートしますが、小説の方は主人公が高校生の時代から始まって、東京での夫婦生活、挫折までしっかり書き込まれている。とてもリアリティがあって気に入って、一気に読んでしまいました。

小説家でやっていくという理想を掲げてはいるものの、なかなか実現できない(収入につながらない)夫・孝夫を、有能な医

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戦場に行った男たちに代わってフィールドに立った女性たち。映画『プリティ・リーグ』1992年、アメリカ。

戦場に行った男たちに代わってフィールドに立った女性たち。映画『プリティ・リーグ』1992年、アメリカ。

私の大好きな映画ベスト5の1つ。
第二次世界大戦中、出征した男子の代わりに女子野球リーグをつくったアメリカの実話が元になっているお話です。

劇場でみることがなかったのは、あまりにもな邦題のせいだと思うけど、野球映画がこんなに素敵だなんて、予想もできなかったせいもある。夫に勧められて、ビデオで見て大好きになって、TV放送でも何度も見ている。見るたびに笑って、泣いてしまう。

とりわけ仕事で辛いとき

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チャーミングなアイアンレディたち。映画『アタック・ナンバーハーフ』タイ、2000年

チャーミングなアイアンレディたち。映画『アタック・ナンバーハーフ』タイ、2000年

劇場で見て、とっても楽しくなれた作品です。タイの実在のチーム「鋼鉄の淑女」(サトリーレック)がモデルというから、本当に、現実は小説よりすごいを地で行くんですよね。

男性として生まれたけれど、男性として生きるのが辛い彼女たち。でも、とっても明るいです。そして、周囲に馬鹿にされながらもバレーボールが好きで、ステキな人はもっと好き。日本的な、いわゆるスポ根とはちょっと違って、彼女たちはかわいくて、おし

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つらい現実の中のともし火。映画『桃姐~桃さんのしあわせ』中国・香港、2012年

つらい現実の中のともし火。映画『桃姐~桃さんのしあわせ』中国・香港、2012年

アン・ホイ(許鞍華)監督の映画。
初めて見ました。ずっと期待していただけあって、とてもよかった。じんわり、やさしい映画でした。

かつて裕福だった香港。今なら、フィリピンとかマレーシアからの女性たちになるでしょうけど、昔は中国大陸生まれ、香港育ちの家政婦さんもいました。中流以上なら、家政婦さんは2人くらいいてもおかしくないのが香港だとか。

13才から4代にわたって長年住み込みで、家事をこなした彼

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彼女たちの未来に幸あれ! 映画『ストーリー・オブ・マイ・ライフ 私の若草物語』アメリカ、2019年。

彼女たちの未来に幸あれ! 映画『ストーリー・オブ・マイ・ライフ 私の若草物語』アメリカ、2019年。

原作は『若草物語』。有名な話だけど、私はあんまり好きじゃありませんでした。『赤毛のアン』と同じような感じで。いいような、悪いような。だって、みんな品行方正だし、唯一好きなジョーは、妹に好きな人を譲ってしまうし。

でも、この映画『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』は違います。ちゃんと現代的にアレンジされてて、まじめでお母さんがわりのメグもちゃんと葛藤を抱えているし、ジョーの自分勝手なとことかも、エイ

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テレサ・テンが結ぶ縁。映画『ラブソング』香港、1996年

テレサ・テンが結ぶ縁。映画『ラブソング』香港、1996年

無事、仕事の締切を守り、印刷した書類はポストに投函。
その後は、凝りにこった身体をほぐすべく、行きつけのスーパー銭湯の足つぼでしっかりマッサージをしてもらいました。

今回のマッサージ師さんはおばさま。しかも、今までの人たちとはちょっと違うやり方。今までが点重視の足つぼマッサージだとすると、今回のおばさまは流れ重視というか。そのせいか、施術後の感じもかなり違う感じでした。やっぱりこういうのって、人

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飲食男女。映画『恋人たちの食卓』台湾・アメリカ、1994年

飲食男女。映画『恋人たちの食卓』台湾・アメリカ、1994年

もう20年以上前になるけれど、映画館で見て、パンフを買って、とうとうDVDも購入。何度繰り返して見てもじんわりしてしまう。リー・アン監督の作品の中でも一番好き。風邪でぼーっとしている週末は毎日のようにDVDプレーヤーのスイッチを入れる。

舞台は台北。台湾で一番有名なホテルの料理長と彼の3人の娘達の物語。
頑固で不器用な父親と堅物教師の長女、美人でキャリアウーマンの次女、自由で芸術系らしい三女が毎

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ここにいない恋人からのメッセージ。映画『ある天文学者の恋文』イタリア、2016年。

ここにいない恋人からのメッセージ。映画『ある天文学者の恋文』イタリア、2016年。

Twitterで誰かがつぶやいていたので、次に見たい映画にメモしていました。なんとなくなので、何の先入観もなし。『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督さんだとは知りませんでした。

予告編だとミステリー映画っぽかったですが、めいっぱい恋愛ものでした。
日本的な感覚では、不倫を純愛といわれるとかなりモヤモヤしますし、私が若かったら微妙だったと思います。でも、私も年をとったし、人生の残り時間を考えるよう

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現代に残る道教のお葬式。映画『父の初七日』台湾、2009年

現代に残る道教のお葬式。映画『父の初七日』台湾、2009年

台風で自宅に閉じ込められたときに、見た映画。
お葬式の映画といえば、有名なのは伊丹十三監督の『お葬式』、韓国・林権沢監督『祝祭』、最近なら『おくりびと』などなど。

お葬式って、本当におもしろい。いろんな国どころか、一つの国の中でも地域によって全然違って、参加者の中で、若者はだいたい振り回されるばっかりの役回り。言われるまま、年長者の指示に従うだけ。

この映画の主人公の若い女性もやっぱり同じ。で

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