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木賃ふくよし(芸名)
2024年1月13日 22:25
美食とは何だろう、と考える事がある。いや、そんな簡単な事もわからないのか?と問われそうだが、少し考えてもらいたい。 「グルメとは、少しでも美味しいものを追い求める生き方である」 こう言うと特に何も間違っていないし、問題はない。 では、続けよう。 「グルメとは、手間暇を惜しまず、美味しいものを求める生き方である」 おそらく、ここまでならば「そりゃそうだろ」と思うだけであろう。 問題は次であ
2023年9月12日 21:39
この世には、納得いかない食い物と言うものがある。 誤解なきように言っておくが、味覚なんてものは個人の好みが大きい。いや、味覚に限らない。どんな趣味も大概は、詰まる所、個人の好みに過ぎないものなのである。 どの料理が美味いとか、誰の歌が上手いとか、誰の絵が美しいとか、誰の顔が綺麗だとか。100mを何秒で走れるか、と言うような明確な基準でもない限り、そんなのはただの好き嫌いに過ぎない。 ある程
2023年8月25日 23:06
英国料理。世界中から馬鹿にされる、不味さの代名詞。それが英国料理である。 だが、個人的見解は世間票と大きく異なる。そう。英国料理は美味いのだ。 ミートパイ、ハギス、スコッチエッグ、サンドイッチ、フィッシュ・アンド・チップス、マフィン、スコーンなどなど。 美味い料理はちゃんとある。そもそも飲み物に関しては、紅茶、ビール、ウィスキーと世界を牽引してきた国なのだ。 スターゲイジー・パイ(イワシ
2023年8月15日 22:40
流行りの料理、と言うものがある。 料理に限らず、何にでも流行り廃りは付いて回るものだが、美食に関する流行り廃りは概ね感心しない。 この点は料理の中でもデザートにおいて顕著である。おそらくは1990年頃のティラミス辺りが最初ではないだろうか。 ティラミス、シフォンケーキ、生チョコ、生キャラメル、ナタデココ、なめらかプリン、カヌレ、ベルギーワッフル、ニューヨークチーズケーキ、マカロン、クリスピ
2023年8月3日 23:59
シチュー。魅惑の料理のひとつである。だが、問題はもう始まっているのだ。 そう。シチューと聞いた瞬間に、ブラウン・シチューとホワイト・シチューのどちらを思い浮かべたか、である。 無論、ブイヤベースやほうれん草のシチューなど、それ以外のシチューを思い浮かべた人もいるだろうが、それはまず間違いなく少数派なので、申し訳ないが割愛させていただく。 ロールキャベツなら、トマトの赤とクリームの白と出汁の
2023年8月1日 23:16
豆。それは夢の食品である。おそらくは穀物に次ぐ人類にとって不可欠食品のひとつである。 最強が穀物である点は否めない。米、麦、蕎麦、コーン。生産性、栄養価、保存性。どれを取っても超一級品の最強食品である。 欠点はただひとつ、人間が穀物を食べて生きていけるように設計されていない事だけだろう。 人類が穀物を栽培する事によって食料供給を安定させた事は紛れもない偉業だが、人類の肉体は穀物を食って栄養
2023年7月21日 23:20
美味いものが好きだ。おそらく、これに異を唱える人は少ないだろう。 まあ、全く食べ物に興味がないって人もいなくはないだろうが、美食という意味ではなく、明確に「自分が美味しいと思うもの」と付け加えたなら、否定する人は更に減ると思われる。 そりゃそうだ。自分が美味い、と思うのは、自分の好みとして美味いのだから、嫌いな筈はない。 無論、中には壮絶な幼少時代を過ごし、美味しいものを親の仇のように思っ
2023年7月6日 22:33
お茶漬けナショナリズム、という言葉がある。かの三島由紀夫の造語ではあるが、近年のネットを見ていると、三島の弁は非常に正しかったと言わざるを得ない。 お茶漬けナショナリズムとは、ちょっと海外に行っただけで、「日本はダメだ」と日本をこき下ろしたり、「日本に比べると海外はダメだ」と海外をこき下ろしたりする薄っぺらいく浅慮な意識の事である。 くだらない比較はやめるべき、と言うのが三島の論。筆者も概ね
2023年6月17日 22:56
美味いものが好きである。いや、考えても見てほしい。イギリスには食い道楽を賤しいとする文化があるらしいが、度し難い話だ。 我々は食わねば生きていけないのである。 特に食事は日に数回、まず必ず摂らねばならない。 しかも、人間が起きて活動する時間は限られている。つまり、数時間に一度、必ず訪れるイベントなのだ。加えて、一度の食事に掛かる時間を計算すれば、我々にとって食事がどれほど大事かは理解できる
2021年8月21日 20:48
私は美食家を自称するが、インスタント食品も愛している。そう。インスタント食品だ。「美食家がインスタント食品とは笑わせる」という意見もあるだろうし、一部は賛同もする。 「そこで手を抜くな」という点に於いては、反インスタント食品派と握手しよう。 だが、「そこ」とは何処なのか、である。 私は料理する側なら、「料理と真剣に向き合おう」という気持ちがある時は絶対に手を抜いてはならない、と思う。 一
2021年8月7日 20:17
唐突ではあるが、ミカンが好きである。ミカンというフルーツは素晴らしい。 甘いミカンも美味い。酸っぱいミカンも美味い。なんと素晴らしいフルーツである事か。 ミカンは美味いだけではない。まずナイフレスである。フルーツは数あれど、皮を手で剥いて簡単に食べられる果物はそう多くない。バナナとミカンぐらいのものである。 大きさも程よく、小腹を満たすにも、喉の渇きを癒すにも、口寂しい時にも、何個か放り込
2021年7月23日 21:05
情緒、というものがある。 例えば、昭和の男子なら多く経験したであろう、好きな女子の家に電話を掛ける、ということ。 あの子の母親が、まして父親が出てしまったらどうしよう? そんな事を考えながら、胸を高鳴らせ、ダイヤルを回す。ジー、コココココ、という規則的な音がもどかしくも、急かされているようにも感じる。 それが情緒。妙味とも言うのだろうか。 齢を重ね、世の中が便利になっていくと、この情緒が
2021年7月22日 22:52
オムライス。良い響きだ。 とかく日本人は、よほど米が好きなのだろう。カレーライス。ハヤシライス。タコライス。チキンライス。バターライス。ガーリックライス。そして、オムライス。 ライスとつく料理に心を動かされる。少なくとも、私は動かされる。 近頃はパンに押され気味だが、日本人の心は、やはり米。日本の主食である。 日本の料理の多くは、米を食うために存在すると言っても過言ではない。米を食う。パ
2021年7月21日 19:17
困った。実に困った。「現世界グルメ」という思い付きで書いたネタだったのだが、実に困った。何が困ったかと言うと、ネタがないとか、そう言う話ではない。 これはあくまで筆者ではなく、1人のグルモンド(食い道楽)を登場人物とした独白形式の短編小説であり、エッセイでもコラムでもないのだ。ましてやレシピでもない。 しかも、前回は書くことが思いつかず、先日、偶然にも配信動画で「異世界グルメ」的な作品を少し