墓場珈琲店。

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墓場珈琲店5。

「おにはーそとー! ふくはーうち!」

友達は、そうつぶやいて、ぼくに石を投げつけた。
ぼくは何も言わず、静かにそれを受け止める。
体から、赤と黒を混ぜた絵具みたいなのが流れてた。

痛みはほとんどなかった。
なれっこである。

「おにはーそとー! ふくはーうち! きみはーおに!」

……また言ってるよ。
おにごっことかでは、追いかける側のことを「おに」と呼ぶ。
だったら、君達の方がおにじゃないの

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墓場珈琲店4。

……ピッ、ピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ……

カタッ。

僕は条件反射的に、目覚ましを止めた。

体が汗で、びっしょびしょに濡れている。
頭を押さえた。

……いやな夢を見た。

ほわほわとした幻聴、ピンク色の象が、まだ、頭に残って離れない。

気分は最悪だった。

真っ暗な天井を見ると、

誰かに笑われているような気分にならざるを得ない。

時計を見ると、午前3時。

いつもだったら遅く

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墓場喫茶店3。

私は朝早く、山を登っていた。
雪で不安定な足元に、杖を刺しながら登る。

私は時計を見た。

針は、午前6時を指している。
時間はあまり、残されていないようだと笑う。
雪混じる空気が、肌を刺している。

私の周りに、登山者はあまりいないようだった。
当然だ、皆、もう山頂にたどり着いているだろうから。

だが、それでいいのである。

私はグサッと杖を刺し、一旦休息を取った。
タイムリミットギリギリで

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墓場珈琲店2。

俺の人生を一言で評価しろと言われたら、俺は間違いなく『最悪』の一言だけで説明を終わらせるだろう。

俺はそう思って、空を見上げた。

クソみたいな曇天が広がっている。
降りゆく雪が俺の眉毛や唇に当たり、積もってゆく。

こんな寒い日なのに、町は活気づいていて、楽しげだった。
積もった雪で遊ぶ子供やそれをよそに雪かきに勤しむ大人たちは、みんなマフラーと手袋をつけている。

今日は12月31日。
言わ

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墓場珈琲店。

霜のように張り詰めた空気。
降り積もる雪。
悴む手。

長靴が雪を踏みつける感触を確かに感じながら、俺は歩いていた。

今日はクリスマス。
まるで光の粒子があたり一面に飛び散ったみたいに、
町は煌びやかに輝いている。

そんな中、無論、俺の心も弾んでいた。

クリスマスで心が弾む、と聞けば、考えられるのは一つだけだろう。
そう、俺は今日、とある女に告白をするのだ。

アルバイトで忙しげな学生、

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