コンパス(8686)

暗中模索しながら、イロイロな書き方で、イロイロな物を書いています。時々だらけてしまう自…

コンパス(8686)

暗中模索しながら、イロイロな書き方で、イロイロな物を書いています。時々だらけてしまう自分を律するために、毎日キーボードを叩くために、noteを利用しています。よろしくお願いします。

マガジン

  • 墓場珈琲店。

    現代社会における『死』をテーマとした、フィクションの短編集です。抵抗のある方はご遠慮ください。

  • 意味が分かると……

    意味が分かると怖くなったり、怖くなくなったり、悲しくなったり。わかったりわからなかったりする話を収録しています。

  • 私が勝手に感想を書かせていただいた記事(不都合があれば削除)

    原作の作者様の要望に応じて削除しますので、コメントにてお知らせください。 ⑪……人生=ゲーム/考えれば考えるほどに・・・ ⑫……雨/泥まみれの英雄 ⑬……絶望のなか、noteはじめました。/歯医者行くのが怖すぎて書いた文 ⑭……祝!!今日は花火の日!!今日になった理由は?/BUMP OF CHICKENが教えてくれた「なくてはならないもの」の話//第17回/女性と焼き魚の話/苦い花火

  • ノリと勢いで書きました。

    私がノリと勢いで書いた短編小説群です。

最近の記事

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子供部屋。

俺はため息をついて、目の前のトリセツを見つめた。 なんで日本の文章に英語が書かれているのか。 甚だ疑問である。 いや、マジで。 マジでなんで英語なの? 俺はセールスマンだ。 商品棚とかの角で立って、『安いですよー! 便利ですよー!』って声を張り上げる、あのセールスマンだ。 そして今、自分がまさに売らんとする商品の説明を読んでいる。 やっぱなんで英語なんて使うんだよ。 日本語でいいじゃんか。外国人に売るわけでもないんだし。 英語が大っ嫌いかつ苦手な俺は、覚束ない声で音

    • 墓場珈琲店15。

      「……」 口に栄養調整食品を口に運ぶ。右手側においた即席のコーヒーを手に取り、飲む。冷めきった食卓に、一人座った女。 その母親は、疲れ切っていた。 早い段階で夫に先立たれ、それと同時に生まれ長年面倒を見てきた娘も死んだ。故に痩せ細り、隈ができた、異様な見た目。 何も知らない人は、彼女を不審者としてしか認識できず、 事情を知っている人は彼女を避けた。 彼女は孤独だった。 天井の、静かに灯った薄暗い明かりを見、ため息をついた。 天井のシミを数えるような人生に成り下がった

      • 墓場珈琲店14。

        私はパソコンを叩く手を止め、あくびをした。 休日の昼下がり、カーテンも明けずに私はパソコンとにらめっこしていた。 その液晶の上には稚拙な文章がたくさん並んでいた。 私が書いた文章は、我ながら吐き気がする。でも具体的にその吐き気をどうやってなくせばいいのか分からず、結局諦めてそのまま投稿しているのだ。 そう、私はネット小説投稿サイトに作品を投稿している、いわば「作家志望」の人間だ。 いつか自分の投稿した作品がコンテストに引っ掛かり、 書籍化することを望んでいる。 「小説家

        • 昼下がりの戦争。

          クッソ、どうして…… 俺は手を丁寧に動かし、チュッパチャップスを開こうとしていた。 どうして俺はこんな簡単なことさえできないんだ。 手が震えているのは怒りのせいか、はたまた疲れのせいか。あと少しでイケるという歓声と、それが失敗に終わった悲鳴とを交互に発している。 左右に一人ずついる戦友のうち、右の指令は早々にこの戦況をかいくぐり、目標を討伐していた。口に入れたその白いタバコのようなものが、俺の眼には憎たらしく映る。 左の彼は心身ともに満身創痍で、やつれた様子で鋏を握っ

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        • 墓場珈琲店。
          15本
        • 意味が分かると……
          12本
        • 私が勝手に感想を書かせていただいた記事(不都合があれば削除)
          7本
        • ノリと勢いで書きました。
          13本

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          墓場珈琲店13。

          ところどころ穴の開いた薄灰色の壁と、金属製の檻に囲まれた狭い部屋の中、オレは煙草をふかしていた。 息を吐くと、灰色の煙が視界に映った。 タバコの煙は部屋に溜まり、視界が遮られるが、目を瞑ったので気にならない。オレは首を曲げ、隣から聞こえる怒鳴り声に耳を傾けた。 「……だーかーらー、俺は無罪だって! 何回言やぁわかんだよ!」 「何かしらやらかしてる奴は、全員そう言うんだよ」 囚人が怒鳴り、看守が適当にあしらった。 オレは口元に笑みを浮かべた。 そういや、オレがここに来た

          墓場珈琲店13。

          嬉しいお知らせ。

          こんにちは。 今回は小説ではなくて、ブログのようなものです。 というのもつい先ほど、二年間書き続けていたオリジナル小説『二刀を巡る黙示録』がとうとう書き終わりました。推敲はまだほとんど済んでいませんが、伏線管理のために投稿休止していたのを再開できそうです。 処女作なので、今見直すと色々と蛇足的な部分が多くありましたが、 蛇足を蛇足とわかるようになったあたり、私も成長したと感じています。 恥ずかしいような気もしますが、ぜひ小説家になろうで、二刀を巡る黙示録を読んでいただけ

          嬉しいお知らせ。

          タネ。

          私が大切にしているものは、タネだ。 タネといっても、種ではなくあくまでタネで、 ときおり「引き出し」とも表現されることもある。 かみ砕いて言えば、「経験」だ。 同じことを考えている人もいると思う。 「経験則」あるいは「失敗は成功の母」という言葉の通り、経験したことがあれば、次はより上手く対処できるようになるからだ。 しかし、私が経験を大切にする理由に、「次同じことがおきたとき、より上手に対処できるから」というものはない。 私が大切にしているのは経験ではなく、 あくま

          定型。

          いっろんなものに『定型』は存在する。 俳句の五七五や小説の起承転結なんかがいい例だ。 でも、その定型が人間にも存在するということを知っていると言う人は、実はあんまり存在していない。 はじめまして、私の名前はサラ。 色んな人の定型を見てきた、その道の専門家。 今日もまた、私は人の定型について見ていく。 私が路上の一角に立っていると、一人の男性が近づいてきた。 「……こんなところで一人かい、子猫ちゃん? 暇なら、俺の家についてきちゃいなよ!」 私は微笑んだ。 ありきた

          墓場珈琲店12。

          「マスター、コーヒーを一杯」 「了解」 コーヒーは好きかな? なんだかありきたりな会社のプレゼンみたいになってるけど黙って答えて。 正直に、好きな人は手を上げてみて。 まぁ僕にその結果は見れないんだけど。 僕は笑みを浮かべながら窓を見た。 雪が積もっていたのがつい昨日のことのようなのに、外にはゆき一つなかった。むしろ淡いピンク色の桜が咲いていて、春の訪れを感じさせる。 土筆……はまだ早いか。 「マスター、何ぼんやりしてるんですか! お客さん待ってますよ!」 「あっ

          墓場珈琲店12。

          ある女の子【ショートショート】。

          生命が消えるということはつまり、死ぬということだ。 そんなことを考えながら、私は鏡で自分の顔を見た。 青白く、しかし所々赤くなっていて、やつれ切っている。ちょうど、死人の様だと思った。 でもまぁ、ぶっちゃけ言って。 『死』ってのは、そこまで遠い感覚ではない。 自然界では食物連鎖の中でたくさんの生物が死んでいるし、 それを止める術は存在しない。私たちだってたくさんの生き物を殺して食べて、生き延びている。 『命を大切に』ってよく言うけれど、 裏腹私たちは生き物を殺している

          ある女の子【ショートショート】。

          意味が分かると怖い(?)話~シャンプー~。

          とあるドラッグストアにて、私はおかしなものを見つけた。 「恐怖の劇薬、キレイキレイ」 キレイキレイといえば、あの、もはやどこにでも置いてあると言っても過言ではない、有名なハンドソープである。 キッチンに一つはありそうな、あのハンドソープだ。 しかし、私が見つけたのは、そのキレキレイではなかった。 それは、シャンプーのコーナーに、一つだけ置いてあった。 女もののシャンプーコーナーを見ていたら、そこにキレイキレイがあった。 ボディソープではなく、あたかも他のシャンプーに

          意味が分かると怖い(?)話~シャンプー~。

          時計。

          私は、ある時から時計が嫌いだった。 というのも、目覚ましの音が嫌いとか、そういう理由じゃなかった。 シンプルに、時計関連のトラブルがきっかけで、恋人と別れたというだけの話である。 ともかく、時計が嫌いな私は、部屋に一つも時計をおいていなかった。 え、不便じゃないかって? 暮らしてみればわかるが、メチャクチャ不便だった。 今何時なのかわからないからいつ出勤すればいいのかわからないし、 朝目を覚ますのでさえ大変だ。 でも、慣れてしまえば案外、どうにかなった。 職場の友人

          墓場珈琲店11。

          全身が、冷たい痛みに覆われていた。 腹痛のように『波』のある痛みではなく、常に一定の痛みだった。なおかつ普通の痛みではなく、明らかな恐怖を覚えさせる痛みである。 おそらく、この痛みを経験したことのある者はいないだろう。 そう思いながら、私は目を開いた。 私は、明るい部屋にいた。水色のカーテン、真っ白な照明、埃一つない床。純白の布団は温かく、指先には透明なチューブが繋がっていた。 ここは、病棟302号室。 『病棟』は、広義で病にかかった人のための場所を示す。 横になって

          墓場珈琲店11。

          なんと、二週間連続で墓場珈琲店の続編が出せなさそうです……。 この土日忙しかったからなぁ……(他人事)。 とりあえず、27日までには投稿できるよう頑張ります。次回の来店は「10人目 女性 48歳」です。ぜひ、読んでみてね。

          なんと、二週間連続で墓場珈琲店の続編が出せなさそうです……。 この土日忙しかったからなぁ……(他人事)。 とりあえず、27日までには投稿できるよう頑張ります。次回の来店は「10人目 女性 48歳」です。ぜひ、読んでみてね。

          こんにちは、皆さまいかがお過ごしですか? 私は今週諸事情により創作の時間がとれなかったので、投稿お休みさせていただきます。ただ休みを断るだけなのもアレなので、何卒、拙作「墓場珈琲店」の方を、宜しくお願いします。

          こんにちは、皆さまいかがお過ごしですか? 私は今週諸事情により創作の時間がとれなかったので、投稿お休みさせていただきます。ただ休みを断るだけなのもアレなので、何卒、拙作「墓場珈琲店」の方を、宜しくお願いします。

          墓場珈琲店10。

          「うちの珈琲店も、大分繁栄してきたな……」 俺は背伸びをしながら、呟いた。 愛しのコーヒーの匂いとか、暖かな温度とかを、胸いっぱいに抱いて笑う。 「オーナー、エスプレッソ一杯、だそうです」 「わかった。……もう一回、お前がやってみるかい?」 「え、いいんですか?」 「いいよ。見よう見まねでも、実践は、上達への近道だ」 「ありがとうございます!」 バイトは、ニッと笑って俺に背を向け、カウンターの奥へ向かった。 その間に俺は、マグカップの整理を行う。 マグカップは基本的に

          墓場珈琲店10。