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続ちょこっとひとこと

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故郷・神戸に戻り、今を綴るもまだまだヨチヨチのエッセイ集。
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2021年10月の記事一覧

プリントは1枚40円近くになっているので、全集中でね

プリントは1枚40円近くになっているので、全集中でね

小学時代、写真部に所属した。
毎週撮影に行っては、理科室にあった暗室で現像した。

その頃、minolta 450Eを使っていたことは以前書いたことがある。

ポケットカメラというジャンルで、通常のカメラに比べると画質に劣る。
通常のカメラの35ミリ幅のフィルムに対し、ポケットカメラは16ミリ幅だから画質が落ちるのは当然だ。

それでも、むしろ味のある写真が撮れるのがたまらなく楽しかった。
高校時

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すんません…なんせ海初めてなもんで…

すんません…なんせ海初めてなもんで…

砂浜から幼子の泣き声が聞こえてくる。

ぅえーん! 手に砂ついたー!

手に砂や泥、塩水がつくのがたまらなく嫌だった。
なんとなく覚えているような、いないような。

隣に立つ呆れ顔の兄は、きっと胸の中でこう言っていたはずだ。

手が砂で汚れたとか気にせんでえぇわ💢
2年後には死んだ魚で遊ぶんやし…

死んだ魚で遊ぶ? え? 2年後? 何? 予言?
…という方はぜひこちらの記事を。

隣の兄は、実

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そんな温かい声がかかりそうな店構えだったから

そんな温かい声がかかりそうな店構えだったから

久々の神戸勤務の晩、同僚と飲みに行った。
ネスレの〈ROASTELIER〉でランチに満足したその日の晩だ。

***

同僚の案内で、しゃれた立ち飲み屋に行った。
豊富にある日本酒もアテも安くて旨く、大満足…のはずだった。

その同僚が全然楽しそうではないのだ。
話しかけても、一言二言返ってきて会話が途絶える。
あとで聞けば睡眠不足だったというが、一口飲むたび食べるたびマスクをかけ直す様子は、話す

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こっちこそ気づかなくてごめんなさい

こっちこそ気づかなくてごめんなさい

山道で突如カーナビが呟く。

速度超過を検出しました。安全運転を心がけましょう。

あ、はい…
下り坂でアクセルから足は離したけど、そのまま加速してしまって…

急減速を検出しました。安全運転を心がけましょう。

あ、だって速度超過って言ったから。
ブレーキぐっと踏み込みすぎたのがいけなかったかも。

急発進を検出しました。安全運転を心がけましょう。

え、急減速がアカンって今言うたやろ?
そんな

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マイルドだけどコーヒーのやる気を感じる味も好みだ

マイルドだけどコーヒーのやる気を感じる味も好みだ

昨日はほぼ1か月ぶりの神戸勤務だった。
神戸ってこんなにも人が多かったかと驚かされる。
この1か月で島の環境にすっかり順応したようだ。

緊急事態宣言が明けたら〈トアロードデリカテッセン〉に行くはずだった。

しかし、宣言が明けたその日から島勤務となり、叶わなかった。
昨日訪れたチャンスもまた、時間的な都合で行くことができず無念。

***

三宮にあるネスレの新展開業態〈ROASTELIER(ロ

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繊細な京の町を〈体育会系シリーズ〉が支えている

繊細な京の町を〈体育会系シリーズ〉が支えている

大学時代、40種ほどのバイトをしたと以前書いた。

夜通し働いた〈深夜シリーズ〉、厳しさと華やかさの〈料理シリーズ〉は先日あげたが、今日は最終回の〈体育会系シリーズ〉。

西陣織の展示会場設営
大学入って初めてのバイトは、西陣織の展示会場設営だった。

呉服には畳がつきものなのだろう、畳を背負って階段を上り下り。
畳がこれほどまでに重いものとはこの時初めて知った。
今なら1枚運んだだけで音を上げる

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次代の未来に繋ぐ責務が大人にはある

次代の未来に繋ぐ責務が大人にはある

前職では、中学生や高校生を前にして講演することが度々あった。

当時、商品開発を軸とした村おこしをおこなっていたが、教育委員会や校長からの依頼となると、話す内容は営業的なものではない。
地域の誇り、自分の役割、使命、大切にすべきもの、興味、関心。
話したのはだいたいそんなところだ。

横文字で言えば、ブランディングということになるのかもしれない。
地域のブランディング、自らのブランディング。

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札幌も1000年後には京都のようになっているかもしれない

札幌も1000年後には京都のようになっているかもしれない

碁盤の目の町といえば、真っ先に思い浮かぶのが京都と札幌。
どちらも何もないところに人工的に作った町だから、こんな町割りが可能になった。
東西南北が明確で、とても分かりやすい。

ただし、京都と札幌ではルールが微妙に違うのをご存じだろうか。
交差点名のつけかただ。

京都京都はいたってシンプル。
三条通と烏丸通が交差すれば「三条烏丸」、四条通と河原町通が交差すれば「四条河原町」、ただそれだけ。

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ふつうのホテルの方がよほど窮屈だ

ふつうのホテルの方がよほど窮屈だ

カプセルホテルは使ったことのない人の方が多いだろう。
狭くて窮屈、というのが理由だろうか。

確かに狭い。

カプセルの奥からはこんなふうに見える。

上から見た絵も描いてみた。

全国各地のカプセルホテルを利用したが、ほぼこの形。

ロールスクリーンが外との唯一の区切りだが、鍵なんてかからない。
下にスクリーンを留める金具があり、外から開けにくくはなっているが。

テレビをつけたら、いきなりAV

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昼酒場〈京極スタンド〉に充満する空気は、昭和のホンモノの香り

昼酒場〈京極スタンド〉に充満する空気は、昭和のホンモノの香り

レトロ居酒屋は数あれど、多くはレトロ調に造作してみました系。
あとは、ワケあって移転したけど昔の佇まいを再現しました系。
日本三大酒場といわれる大阪阿倍野の〈明治屋〉などはこの再現系だ。
いずれにしても、後世造られた点でホンモノとは言いがたい。

しかしこの〈京極スタンド〉は違う。
関東大震災で浅草から京都に移り住んだ初代が、京極の地で昭和2年創業。

大正築という建物も店内も、すべてが往時のまま

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マイナス11歳、ちょうどいいやん

マイナス11歳、ちょうどいいやん

いつの頃からだろう、実年齢と見た目が乖離しはじめたのは。
当然、実年齢は1年ごと確実に重ねるが、見た目は2年だか3年に1歳ペース、それどころかしばらく止まっている時もあったようだ。

30歳くらいまでは、たまに童顔と言われることはあっても、若いと言われることなどなかった。
35歳頃にインターンの担当となり、20歳前後の大学生との時間が急に増え、若いエネルギーを浴びるようになったのがきっかけだろうか

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〈料理シリーズ〉の厳しさと華やかさは表裏一体

〈料理シリーズ〉の厳しさと華やかさは表裏一体

大学時代、40種ほどのバイトをしたと以前書いた。

夜通し働いた〈深夜シリーズ〉は先日あげたが、今日は〈料理シリーズ〉。

修学旅行生担当上の記事でも触れたホテルの住み込み。
京都なので、担当するのは全国から毎日やってくる修学旅行生。
純朴な中学生が多く、かわいらしい。
毎晩、あとで送るのでいっしょに写ってくださいと女子が写真を撮ってくれるが、1枚も送られてきたためしがない。

裏は修羅場だった。

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そして僕は、パジャマを天に贈った

そして僕は、パジャマを天に贈った

秋がなく、夏の次に冬が来た。
夏日が続いたその翌日、上空に寒気…って何を言っているのだろう。
そろそろかと考えていた服のいくつかは、出番がないかもしれない。
それほどまでに急激な冬の訪れだった。

もしかしたら10月いっぱいは着つづけられるかもしれない――
そんなふうにも思っていた30年もののパジャマは、一夜にして季節外れになってしまった。
以前紹介した、大学で一人暮らしを始めた夏に母が贈ってくれ

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作った人の数だけバリエーションがあっていい

作った人の数だけバリエーションがあっていい

広島のお好み焼きについて、先日記事にした。

ここだけの話、その記事を書きながら、久々に作りたくなっていた。
そう思い始めたらすぐやりたい…で昨日中華麺を買ってきた。

***

小麦粉を水で溶くだけの簡単生地はサラサラ。

これをホットプレートに薄く大きくクレープ状に広げ、キャベツ、モヤシ、天かすなどを載せる、というか盛る。
大阪のお好み焼きと違って広島は具材にまとまりなく散らばるし、すぐ横で中

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