そして僕は、パジャマを天に贈った
秋がなく、夏の次に冬が来た。
夏日が続いたその翌日、上空に寒気…って何を言っているのだろう。
そろそろかと考えていた服のいくつかは、出番がないかもしれない。
それほどまでに急激な冬の訪れだった。
もしかしたら10月いっぱいは着つづけられるかもしれない――
そんなふうにも思っていた30年もののパジャマは、一夜にして季節外れになってしまった。
以前紹介した、大学で一人暮らしを始めた夏に母が贈ってくれた一着だ。
さすがに次第にボロボロになってきて、一箇所に穴が開くと他にムリがかかるのか、あちこちで一斉に綻びはじめた。
昨年、その贈り主の母が亡くなった。
母とパジャマへの感謝の念から、上の記事にも「今夏の役目を終えるまでは袖を通し、最後にお礼を言って天に贈ろう」と書いたが、今年はずっと夏だったので昨晩まで着ていたのだ。
とうとう夏が終わった。
パジャマとの永遠の別れだ。
震えるほどに寒かった夜が明けた。
着ていたそのパジャマをそっとたたみ、30年のお礼を伝えた。
長い間、ありがとう。
そして僕は、パジャマを天に贈った。
***
話はがらりと変わる。
先日、中学時代に初めて手にしたパソコン〈MSX〉の話をあげた。
これが、note公式の「今日の注目記事」と「その他ガジェット 記事まとめ」に選ばれた。
「今日の注目記事」に選ばれたのは正直驚いた。
われながらこれは少々マニアックに過ぎると思っていた記事だし、過去に僕の記事で選ばれたのはどれも飯テロばかりだったし。
そして、「その他ガジェット」に選ばれたのも、驚くべきだ。
他に選ばれている記事を見ると「USB充電器」「ゲーム実況機材」「デジタル読書」「キャッシュレス決済」など最新ガジェットばかり。
一瞥するかぎり、40年前のガジェットなど他にはなさそうだ。
それだけになんだか嬉しい。
その記事のタイトルにもしたように、MSXは僕にとってとてもかわいい存在だったし、将来を決定づけた頼れる相棒だった。
そのMSXが顕彰された気分だから、嬉しくないはずはない。
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大学から今まで、暑い夏をともに乗り切ったパジャマ。
中学からずっと僕の成長とともにあったMSX。
君らとずっといっしょに過ごせて楽しかったよ。
本当にありがとう。
(2021/10/19記)
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