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札幌も1000年後には京都のようになっているかもしれない

碁盤の目の町といえば、真っ先に思い浮かぶのが京都と札幌。
どちらも何もないところに人工的に作った町だから、こんな町割りが可能になった。
東西南北が明確で、とても分かりやすい。

ただし、京都と札幌ではルールが微妙に違うのをご存じだろうか。
交差点名のつけかただ。

京都

京都はいたってシンプル。
三条通と烏丸通が交差すれば「三条烏丸」、四条通と河原町通が交差すれば「四条河原町」、ただそれだけ。

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待ち合わせはしやすい。
「四条烏丸で」と言われたら、四条通と烏丸通が交差する点を目指せばよいからだ。

札幌

札幌の場合は少々複雑。
「南一条通」と「西2丁目通」の交差点(下図赤丸)の名は、東側が「南一条西1丁目」、西側が「南一条西2丁目」になる。

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同じ交差点なのに二つの名前、これは正直ややこしい。

しかも「南一条西2丁目」と名がつく交差点は、西2丁目通にも西3丁目通にもあって、それぞれがかなり離れている。
札幌では「南一条西2丁目で」という待ち合わせはしないのだろうか。

札幌には10年間ほど、毎年10日間の出張で訪れた。
今宵の札幌メシは?と探し、「南一条西2丁目から西へ50m」と見るや京都感覚で出かけて行きつけず、路頭に迷ったことも数知れず。

なんでこんなにややこしいのか、札幌。
でも町割りを重ねてみると、そのわけが見えてくる。
赤枠で示したのが町割り、赤字が町名だ。

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札幌は、東西に走る道を挟んで南北の区域が一つの町を形成する。
たとえば、南一条通を挟んで「南一条西2丁目」という町割りになる。

上図をよく見ると、交差点(青丸)の名が町名(赤字)と一致し、それぞれの町(赤枠)の入口を示していることが分かる。

たとえば南一条通を東へ向くとき、交差点に「南一条西1丁目」とあれば「今から西1丁目に入るのだ」と分かる。

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逆に西へ向くとき、同じ交差点でも「南一条西2丁目」とあるから「ここから西2丁目なのだ」と分かる。

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便利じゃないか!

再び、京都

ではなぜ京都は違う?
京都も町割りを重ねてみれば、そのわけはすぐ分かる。

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はい、複雑。

平安京建都の頃は、京都も今の札幌のように美しく町割りがされていた。
条坊制というやつだ。
ところが1200年の長い歴史の間に、応仁の乱あり、秀吉の区画整理ありでどんどん町割りが変わり、複雑化した。
「これより先、米屋町」というような標示を道に立てられなくなり、交差点名は逆に単純化するしかなくなったのだ。

そこに生きる人々の実情に合わせ、歴史は積み重なっていく。
札幌も1000年後には京都のようになっているかもしれない。

(2021/10/24記)

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